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<スランプからの脱出法>
現代社会はストレスに満ちた社会だと言われます。大人たちも
子供たちもこのストレス社会で生きていかなければなりません。
確かに働きすぎ、勉強のしすぎでストレスがたまり、多くの人
たちが心身ともに疲れはて、社会生活がうまく維持できなくなる
場合があります。
しかし適度なストレスは自分の生活活動をより活発にしてくれて
います。たとえば抗原が体内に入ることで、抗体ができ、免疫力が
強くなり、病気を防ぐことができるようになるのと同じです。
ところが実際、今の社会は適度なストレスではなく、過剰なスト
レスが与えられています。これでは抗原が過度になり、人はアレ
ルギー症状を起こし、病気になってしまいます。
それではこういったストレスに立ち向かうにはどうすればよいの
でしょう。それは適度なストレスはむしろ好ましいのですから、
過剰なストレスを適度なストレスに変えることができればよいこと
になります。
まずそのひとつの対策は、ストレスをなるべく小さくすることです。
ストレスから来る不利益をなるべく小さくしてしまいます。ここでいう
ストレスから来る不利益とは、人がある目的を達成しようとするとき、
社会的・外的条件との摩擦により生じるものの事を言います。
たとえば学習面において、ある人が学校において履修する全科目に
ついて完全にマスターすることができれば、不利益などは生じません。
しかし相当量の時間と労力が必要になってきます。それを達成しよう
とすれば、睡眠時間や自由な時間を大幅に削らなければならなくなるで
しょう。そうなれば大変です。
そういう場合,ここでは勉強する科目に優先順位をつけたり、その科目
の時間配分を決めたりしながら、自分が満足できる程度に工夫をするよう
にします。
そうすれば全科目を完全にマスターすることはできなくても、自分が
選んだ科目の勉強量は結果的に多くなるのです。それが志望する大学の
必要科目ならば、自分としてはより満足できることになります。これが
不利益を少なくするということです。
つまり過剰なストレスを減らし、適度なストレスに変え、それによる
不利益をできるだけ少なくするのです。適度なストレスは活動をより
活発にしてくれます。
さてストレスの話から少し離れて、今度はみなさんが陥りやすい劣等感
(劣等コンプレックス)について考えてみます。
人はもともと自分の能力や体力の水準を大体はわかっているものです。
この水準のことを自我水準といいます。この自我水準は自分の心の中で
あがったり下がったりしてしまうのです。物事がうまくいくと急上昇し、
失敗すると下がります。
ただ上昇するときは大幅に上がり、下降するときはなかなか下がらない
のが普通です。
しかしなかにはこの水準が極端に低く、それが原因で劣等感におちいって
しまうことがあります。「どうも自分には無理だ。」「どうせ自分には
できない。」と思い込んでしまう場合です。
こういう状態におちいると向上心がなくなってしまいます。ここでまだ
「がんばるぞ。」という気持ちが起これば、その人の道は開かれてきます。
しかしそうならずに態度がやけっぱちになったり、すてばちになってしまう
のが、ここでいう劣等感を持つ人たちなのです。
劣等感には身体的劣等感、能力的劣等感、社会的劣等感、性的劣等感や
道徳的劣等感などがあります。ここではその中で能力的劣等感について
述べ、その対処法を考えることにします。
能力的劣等感に一番多いのが、頭が悪いとか、才能がないということ
だろうと思います。そういう人たちは自分の学力が上がらないことに
すっかり自信を失ってしまうのです。
それではこういう学力不足からくる劣等感をどういう風に克服すれば
よいのでしょう。それはこういう人たちは基礎学力をしっかりやりなおす
ことです。何事も基本が大切です。基礎がしっかり固まれば、難しいと
思える事柄にも、解決の糸口が見出せるものです。
そしてもうひとつは人と競争しないことです。競争ではなく、自分を
向上させるという考えに切り替えるようにします。自信がなくなるのは
相手とくらべて競争するからです。負けてはイヤだという競争ではなく
、自分の学力が本当かどうか、力を試してみるという風に考え方を変えて
しまいます。
つまり人と競争するのではなく、自分と戦うのです。そうすれば成績
など気にならなくなります。
とはいうものの過度のストレスや、劣等感からスランプ状態におちいって
しまったらどうすればよいのでしょう。そういう状態におちいってしまった
とき、今度はどう対処すればよいのか、それが問題です。
そのためにまずスランプとはどういう状態なのかを把握しておきましょう。
一口で言うなら「気の抜けた放心状態。」これがスランプです。
たとえば何か勉強していても、しばらくすると、イヤになってきて集中
できず、なかなか手につかなくなってしまうこういった現象です。今まで
の一定した調子がくずれ、どうしても元に戻らない期間のことを「今
スランプ」といいます。
それでは人はスランプにどう対処すればよいのでしょう。弱腰になって
「自分にはできない」と劣等感の時と同じようになってしまうと押されて
しまいます。ですからまず、「自分にはできる」という心で、立ち向かう
ことが必要です。
さらにひとつの目標を達成させるには、たゆまぬ努力が必要なことを
認識することです。毎日こつこつ努力を積み重ねることで、それを達成
する根性が養われます。この考え方もひとつのスランプの予防法です。
しかし根性があっても長く続けていれば、かえってだらけてしまい
ます。そういう場合はひとつの勉強が一段落ついたら次の勉強に移る
という、けじめをつけることで、スランプを防ぎます。
最後に無理な計画や過労をできるだけ避けるようにします。計画には
余裕をもち、少しずつ着実にこなしていくようにしましょう。いくら
精神的にタフでも勉強をしすぎて、過労や睡眠不足になれば、肝心の
勉強もにぶってきます。
スランプには体の疲れから疲労がつもり、精神的にアンバランスになる
場合や、劣等感などの精神的要因によるものがあります。
生活の支障、失恋や肉親の突然の死などの要因で、本来の自分を見失い、
心が動転して、どうしてよいのかわからなくなる場合もあります。
また学生の場合は基礎学力の不足から、勉学に対してすっかり自信を
失い、スランプに落ちってしまいます。こういう場合はとくに受験を
ひかえた学生に多いものです。
それではそういうスランプにどう対処すればよいのでしょう。まず
いろいろなスランプに共通することは何かを考えてみます。すると
その共通点は過去の後悔と未来への不安が根底にあるようです。
この後悔や不安のためにあせり、また後悔や不安をさらに大きくし、
そしてあせるというさらに悪循環におちいってしまうのです。
これが体の疲れや気持ちの疲れからくるものなら、まず何より体の
疲れを解消することが必要です。そして気持ちの疲れの原因を払い
のけます。
しかしこれら後悔や不安というものは、何度でも人に忍び寄って
くるものです。特に勉強やスポーツをして忙しいときより、むしろ
時間をもてあましているときや何もしていないときに忍び寄ってきます。
そういうときにはどう対処すればよいのでしょう。ひとつの方法は
その悪循環の思考を途中で中断してしまうことです。「思考中断法」
は実際、神経強迫症の治療などによく使われています。
どうするのかというと、名刺やテレカサイズの紙に「ストップ」
という文字を書き入れ、それをいつでも持ち歩くようにします。
頭の中で、後悔や不安が悪循環し始めたら、それを取り出し、その
「ストップ」と書かれた文字を3秒間ながめるのです。人がいない
ところであれば、「ストップ」と声をだしていってみます。
そうすれば悪循環におちいっている不合理な考えを、途中で中断
させることができるのです。これを「思考中断法」といいます。
過去の後悔や未来への不安は、今現在の妨げにはなっても、今現在
をよくはしてくれません。
「おがくずを引こうとするな。」ということわざがあります。これは
木を引いて建設的な物を作り出すことはできるが、木を引いたあとに
できる、木のカスからは建設的なものは、何も産み出すことはできない
ことを言います。
つまり人は過去の後悔や未来への不安におびえ、精神を疲れはたすのでは
なく、今現在のことをしっかりやり、未来へ建設的なものを引き渡そうと
いうことなのです。
みなさんも、ぜひ過去の後悔や未来への不安などの考えが、頭の中で
悪循環におちいりはじめたら、「ストップ」と心の中でさけんでください。
そうすれば必ず悪循環の考えを中断させることができます。そして今現在を
しっかり前向きに取り組んでください。そうすれば必ず明日につながります.
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