トップページ>勉強のコツ・学習のしかた>学習停滞期を乗り切る

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一般に学力が向上していくときには、一直線上に伸びていく
のではなく、階段を上っていくように、何段階もの段階をへて、
レベルアップしていくのが普通です。


 この階段の平坦部分は一般に高原状に似ているということで、
プラトーと呼ばれることがあります。 ちょうどこのプラトー
の部分が学習停滞期に当たります。


 学習状況で言うと一生懸命に勉強しているにもかかわらず、
なかなか成績アップにつながらないといった状態です。そういう
状態におちいると自分には能力がないと思ってしまったり、
やる気がなくなってしまうことがあります。


 しかし学習しても成績の向上が見られないといっても、後退
しているわけではありません。今現在、ちょっと停滞している
状態にすぎないのです。


 そういう状態の時には、一人一人が今の自分に何が足りない
のか、考察してみることが大切です。


 知識が不足しているのであれば、まずその知識を増やすことを
考えなければなりません。


 英単語や英熟語が不足していれば、これから毎日40語ずつ
覚えるなどの習慣をつけることです。数学の公式の記憶が完全
でなければ、公式集にある公式がすらすら出てくるように、
記憶しなおさなければなりません。歴史であれば、「1192年
に鎌倉幕府が開かれた。」などの知識を増やしていく必要が
あります。


 こういう知識を毎日、一定の数だけ記憶していくことを習慣化
することで、知識不足の解消ができます。よい習慣さえ身につけば、
一貫性のルールに従って現状維持メカニズムが働き、毎日継続して
いけるようになるはずです。


 知識は豊富にあるが、知識の整理がついていないのであれば、
知識の整理がつくまで、各科目の単元ごとや項目ごとに、整理
しなおさなければなりません。


 知識の整理がつくとは、例えば歴史なら江戸時代の享保の改革、
田沼意次の政治、寛政の改革や天保の改革などの各改革の内容が、
頭の中で区別して整理されていることを言います。


 この知識の整理には、やはり基礎的なところを反復することが
必要です。教科書・参考書や問題集などで基礎をしっかり身につけ、
いつでも引き出せるように知識を安定させます。


 知識の整理はすでに終わっているのであれば、今度は知識を
総合化しなければなりません。


 例えば数学の場合、図形、関数や方程式などはそれぞれひとつの
単元として独立しています。それぞれの単元は知識として整理されて
いたとしても、この3つの単元を総合して使わなければ、解けない
ような問題は数多くあります。


 こういう総合的な問題に対処できるようになるには、やはり
数多くの問題演習が必要になってきます。問題演習を重ねることで、
総合的な問題解決のパターンが身についてくるのです。


 このように学習停滞期に必要なことは、知識の拡充、知識の整理
と知識の総合化なのです。それでは学習停滞期にいくら勉強しても
成績向上が見られないのはどうしてでしょう。それはこの三つの知識
の獲得にまさに取り組んでいる、真っ最中だからだと考えられます。


 これは例えば氷が水に変わるのに熱をあたえたとしても、すっかり
変わりきるまで、一定の時間ずっと0℃のまま、温度が変わらないこと
に似ています。そしてすっかりとけきった氷は水になり、さらに熱を
与えると、今度は急速に温度上昇を始めます。


 学習停滞期もちょうどこれによく似ています。つまり次のレベルアップ
に向けての準備期間だといえるのです。


 この学習停滞期を無事に抜けることができれば、認知心理学で
言われるところの問題解決のためのスキーマ(枠組み)が、完成
されていく事になります。


 例えば計算をするときにそろばんを習ったことのある人は、頭の中に
そろばんを置きながら計算をすることになります。筆算で計算する人
より、処理速度がとうぜんはやくなります。


 こういうスキーマがたくさん長期記憶の中に蓄えられていくのです。
しかもコード化されて脳に蓄えられていくので、刺激に対して無意識
のまま反応することになるのです。


 これは例えばテニスの上級者が相手の視線の動きに反応して、ボールが
飛んでくる方向を予想して、その方向に動くことができるのと似ています。
こういうことは初・中級者にはできません。これは上級者がすでにスキーマ
を形成しているからできることなのです。


 さらにコード化されたスキーマは複雑に絡み合い、システム化されて
いきます。


 問題解決や思考は、認知心理学ではワーキングメモリ内で行なわれる
とされています。このワーキングメモリは容量が決まっていて、一度に
処理できるのは意味のあるまとまりで、”7チャンク”プラスマイナス
”2チャンク”くらいなのです。


 つまり”1チャンク”にコード化されたシステムが多くはいっている
ほど、思考や問題解決するのに余裕があり、処理速度がはやくなること
になります。これは能力が向上したことになるのです。


 このように学習停滞期の学習準備期間をへると、コード化やシステム化
されたスキーマの形成が容易になり、さらにそれが蓄積されていくことに
なります。


 つまり学習停滞期をうまく乗り越えることができれば、次の上級者の
ステップに進む事ができるようになるのです。


 氷が水に状態変化するのと同じように、学習停滞期は決して後退して
いるのではありません。次のステップのための準備をし、目に見えない
前進をしているのです。


 あなたにもぜひこの学習停滞期を乗り越え、次の向上のステップに
進んでいってほしいと願います。


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