学力向上・勉強のコツ・学習計画・受験勉強法(大学受験、高校受験、中学受験)
(大学受験、高校受験、中学受験)

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 <記憶をよくする学習法>

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   <記憶をよくする学習法>


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 ミラーという心理学者は、7という数字に興味を持ち、この数字が記憶にも
当てはまることを発見しました。日常でも7という数字は親の7光、初七日、
7つ道具、一週は7日、ラッキーセブンなどの言葉があります。


 彼は数字、単語、言葉でも平均的記憶力の人の一度に覚えられる範囲が、7つ
前後だということを実験で確かめたのです。現在の認知心理学では、それは
7チャンク(プラスマイナス2)くらいだといわれます。


 ここで言う「チャンク」とは意味のあるかたまりのことを言います。
[チャンク]のもともとの意味は、パンやチーズの大きなひとかたまりの物を
さしていったものです。


 最近では英会話をチャンクで覚えようというNHKの放送番組があったり、
英文法チャンク学習法などのテキストがでています。ネイティブの日常英会話は
チャンクのキャッチボールだとも言われます。そういう意味でチャンクという
言葉を聞く機会が増えているようです。

 
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 それではチャンクを意識し、記憶をよくする学習法とはどんなものなのか。
アルファベット26文字、これをはじめて覚える時の学習法を例にあげてみます。
手順は次のとおりです。

1、 まず7チャンク分にあたる7文字を記憶します。

A,B,C,D,E,F,G…・・7チャンク


2、 次に記憶した7文字を1チャンクとし、それプラス新たに7チャンク分にあた   
  る7文字の合計8チャンクを記憶します。

    {A,B,C,D,E,F,G}…・・これだけが1チャンク
     H,I,J,K,L,M,N………・これで7チャンク
     
     合計:1チャンク+7チャンク=8チャンク


3、 さらに今まで覚えた分を2チャンクとし、それプラス新たに7チャンク分に
  あたる7文字の合計9チャンクを記憶します。

  {A,B,C,D,E,F,G}…・・これだけが1チャンク
  { H,I,J,K,L,M,N }…・・これだけが1チャンク
     O,P,Q,R,S,T,U…・・これで7チャンク
     
     合計:1チャンク+1チャンク+7チャンク=9チャンク


4、 最後に今まで覚えた分を3チャンクとし、それプラス残りの5チャンク分にあ 
  たる5文字を記憶します。

  {A,B,C,D,E,F,G}…・・これだけが1チャンク
  { H,I,J,K,L,M,N }…・・これだけが1チャンク
  { O,P,Q,R,S,T,U }…・・これだけが1チャンク
   V,W,X,Y,Z……これで5チャンク

   合計:1チャンク+1チャンク+1チャンク+5チャンク=8チャンク

こういうふうに1〜4まで、7チャンク(プラスマイナス2)を意識し、連続して
記憶していくと、無理なく覚えることができるのです。

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 そしてここでは、一度に覚えることのできる7チャンクを、さらに効率よく
記憶する方法について考える事にします。そのために、この7チャンク分の
記憶に加え、次の3つの方法を並行しておこなうようにします。


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 (1) 人のすべての感覚器官を動員する。
(2)絵や図を書いて視覚的にとらえる。
(3)何度も繰り返し暗記する。
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(1)人のすべての感覚器官を動員する。
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誰もが英単語を思い出すとき、手になぞったり、漢字を書くとき、一度紙に
書いた記憶があると思います。これは手がスペルや文字を覚えているからです。
ものを記憶するとき、目や鼻や口のすべての感覚器官が動員されます。


例えばテレビでテニスの試合を見ているとします。そのとき、はじめて見る
選手の名前でも、テレビを見ている間に覚えてしまいます。ところが翌日、
友だちに昨日見たテニスの試合の様子を語ろうと、選手の名前を思い出そう
します。しかし出てこない。


これは家でテレビを見ていた場所とは、ちがう所で話をしようとするからです。
なぜ思い出せないのか。それは現在の状況がテレビを見ていたときとちがうからです。
部屋の中のカーテンや照明の明るさなどがまったくちがう状況です。そのため思い
出す手がかりを、失ってしまったと言えます。


人はどんな記憶でも手や口や鼻を通して覚えます。しかしそれは無意識です。
そこで記憶力をよくするため、思い出す手がかりを確かなものにしてみればどうで
しょう。


ものを覚えるとき、意識的に口で発音し、耳で聞き、手で書いて、リズムをつけ
ながら体全体で覚えるようにします。すると体に思い出す手がかりが残り、どんな
場所でも想起することが容易になるのです。


例えばアルファベット26文字を覚える場合、テープで聞きながら、体でリズムを
取り、自分で発音しながら覚えていきます。そして手で実際アルファベットを書いて
みます。


 そうして思い出す手がかりを確かなものにします。そうすれば自分に最も
身近な手、口、耳や体が想起するとき、思い出す手がかりになってくれるのです。


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(2) 、絵や図を描いて視覚的にとらえる。
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 百聞は一見にしかず。という言葉があるように、聞くより見るほうが、よく記憶に
残ります。例えば知らない土地で、道をたずねたとき、言葉で道順を教えてもらって
もなかなか覚えられません。ところが地図や図をかいてもらって、道順を示されれば、
よくわかり、記憶に残るものです。


歴史のような事項でも図式化すると記憶に残りやすくなります。

例えば

「鎌倉にいる源頼朝の命を受けた義経が、壇ノ浦で平氏を滅ぼしたが、兄の頼朝と
対立し、奥州藤原氏の下に逃れた。」

この史実を文章で覚えるだけでなく、日本地図の概略を書き、その上に地名、
人名をいれ、矢印でその進路を示しておきます。するとこの史実はいつまでも
記憶に残りやすくなります。


 また日ごろの学習において、先生の授業を単に聞いているだけでなく、ノートに
図示やグラフ化したりしながら、視覚的にとらえるようにします。それはメモでも
何でもかまいません。それが記憶をよくする学習なのです。

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(3) 何度も繰り返し、暗記する。
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 脳は重要なことと重要でないことを区別し、重要なことだけ記憶し、重要でない  
ことは忘れ去るようにできています。それでは何が重要で、なにが重要でないのか
が問題です。


 まず脳は自分に興味・関心のあることが、重要であると認識することが、わか
ってきています。そして次に、何度も繰り返しでてきたことは、重要なことだと
認識します。


 つまり何度も繰り返すことが、記憶をよくすることになるのです。


 学習において、問題集を何度も何度も解いたり、教科書や参考書を何度も読み返
えすことが、記憶をよくしてくれます。また難しい問題でも何度も読み返すことに
より、過去の記憶を呼び起こし、解決の糸口を示してくれるのです。

 
 どんな人でも忘れたくないことは、何度も口ずさんで覚えようとしているはずで
す。試験前、すでに理解していると思い込み、何もしなければ、テスト中にうっ
かりミスをし、失敗してしまうのは、記憶がはっきりしていないからです。記憶を
はっきりさせるには、やはり繰り返しが必要なのです。


こういうふうにチャンクで覚え、(1)〜(3)に注意しながら、物事を覚えるように
すると、記憶がよくなります。これが覚えるための効果的な学習方法なのです。



 <成績が伸びない原因とその対策>


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  <成績が伸びない原因とその対策>


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 まず、たんに「成績が伸びない」という場合、その原因は自分に限界をもうけて
いる事が多いようです。「どうも自分には無理だ」、「どうせ自分にはできない」、
「自分は頭が悪い」というように。


 また中・高校生は青春期であり、自分たちの自由を奪われるのがいやで、根気の
いる勉強に真剣に取り組まないこともあります。なかには社会にでても、学校で
学習した内容が役に立たないと考える子もいます。


 ところがこうい子どもたちが何かがきっかけで勉強に取り組み、その結果、好成績
をとったとします。すると彼らは、そのことに満足し、大いに自信をつけるように
なるでしょう。そしてその後、彼らの勉強の取り組みかたが変わってきます。


 おそらく彼らはひとつの成功体験を実感できたのでしょう。たった一度の成功
体験が彼らの心のもち方を大きく変えてしまうのです。 つまりこの成功体験を
経験することが大事なのです。


 「どうも自分には無理だ」、「どうせ自分にはできない」、「自分は頭が悪い」と
思っている人。これらの人は今までの過去の経験から、知らず知らずのうちに、
自らに限界をもうけてしまっています。


 確かに頭のよしあしは知能指数が高い人、親からの遺伝によることもあるかも
しれません。私はこれら先天的な能力を否定するつもりはありません。しかし
中・高校生が学習し習得する能力は先天的な能力だけではありません。むしろ
後天的に習得される能力を伸ばすことのほうが多いものです。

 例えば英語や国語のような言語的思考力、数学や理科に特に必要な抽象的能力は、
学習によって、後天的に獲得されていく能力です。


 子どもたちは成長とともに自我が芽生えてきます。自分の能力や体力の水準が
大体わかってきます。これを自我水準といいます。そして残念なことに、この
自我水準に自らが限界をもうけてしまうのです。


 この自我水準は心の中で、あがったり下がったりするものです。自分に限界を
もうけている人は、自らがこの水準を下げたままの状態にしているのです。


 この自我水準の性質は物事がうまくいくと急上昇し、失敗すると下がります。
そして上昇するときは大幅に上がり、下降するときはなかなか下がらないのが
普通です。


 この性質をうまく利用するには、たった1度だけでもいいから、やはり成功体験を
もつことです。得意科目だけでもよいし、範囲の決まった定期試験をたった一度で
いいから真剣に取り組むのです。そして「やればできる」を実感することです。


 次に「努力しているのに成績が伸びない」という場合、その状況をどういうふうに
考えればよいのでしょう。このことについてちょっと考えてみます。


 「努力しているのに成績が下がっていく」のでなければ、今現在、停滞している
状態と考えるのがよいでしょう。次の飛躍のための充電期間であると考えます。
心理学的にはその状態が高原に似ているという事で、プラトー(停滞期)とよんだり
します。


 これは新しい知識を吸収していくと、長期記憶の中に、知識の枠組み(スキーマ)
が形成されていきます。そしてこの枠組みは相互に関連しあって、さらに高度化
されます。 問題解決に当たっては、この高度化されたスキーマが呼び出され、
情報処理されているらしいのです。


 つまり学習停滞期はこのスキーマが、高度に構築されている段階と考えても
よいのです。この停滞期があって、次の上昇に転じると考えてもよいと思います。


 「努力しているのに成績が伸びない」からといって学習することを投げ出さない
ようにしてください。「継続は力なり」です。学習成果はある日突然、上昇に
転じていくことが多いと思います。


 ところで今度は試験の結果がうまくいかなかった場合、どういう考え方をするのが
ベストなのでしょう。


 「努力したのに試験結果が悪かった」場合、楽天家の人は問題が悪かったとか、
運が悪かったと考えます。これは細部にくよくよせず、いつでも元気にいられる点は
よいと思います。しかし反省がなく、自己努力を軽視してしまいがちになるので
マイナスです。


 かといって「いつも努力しているのに試験が悪かった」場合、これもいつもいつも
うまくいかないと「無能感」におちいってしまいます。そしてついには落ち込んで
しまいます。誰でも自分には才能があると思いたいはずです。


 そこで試験結果のよし悪しは、「成功したのは努力、失敗したのは努力不足」と
とらえるのが一番よいのではないでしょうか。停滞期でなかなか上昇に乗って
いかない場合は、まだまだ努力不足と考えるのです。そして結果がよい場合は、
努力のおかげだと考えます。


 つまり努力の有無が必ず結果にかかわってくると考えます。


 最後に、なかなか停滞期を乗り切れない場合は、勉強のしかたを少し変えて
みることもよいかもしれません。例えば数学の場合、今まで一問一問、問題集を
解く方法での勉強法しかとってこなかった場合、今度はそれプラス参考書の例題
丸暗記をしてみます。


 そうすると問題解決のための枠組み(スキーマ)の形成をはやめてくれます。
もちろん問題を解くことにより、次の問題解決に転移させることも重要です。
しかし数学をパターン化し、それを次の問題解決に転移させてもよいはずです。


 また脳は何度も繰り返し出てきたことは重要なことと認識して、長期記憶させる
ことがわかってきています。このことから学習し理解したら、たんに次に進んで
いくのではなく、それを何度も何度も暗記するほど、繰り返し復習することも
重要なのです。


 みんなが成績の伸びない原因をそれぞれ把握し、努力によりその問題を解決して
いくことが、やはり大事なのではないでしょうか。そして努力によってもうまく
いかない場合、そのときはやり方を少し変えてみるのがよいかもしれません。

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 <目標達成のための問題解決法>

   


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 この時期、受験生ならすでに目標は定まっていることと思います。そのほかの人
でも自分の目標を決め、すでにそれに向かって進んでいるかもしれません。ふつう
その目標を達成するには、多くの問題を解決していかなければならない事でしょう。


 確かに目標を現在の自分の力より下に置けば、問題はないか、あったとしても、
さほどその問題解決に力をそそがなくてもよいかもしれません。しかしほとんどの
場合、目標をたてれば問題は発生し、それを解決していかなければ、その目標に
到達することはできないでしょう。


 目標を立てたとき、それは初期状態にあるといえます。それを目標状態にして
いかなければなりません。そのギャップをうめる事が、ここでの問題といっても
よいでしょう。その問題を解決することができれば、目標をたてたときの初期状態を
目標状態にすることができるのです。


 そのためにはまず何が問題なのかを知ることです。とうぜん問題はたてた目標に
よって変わってきます。例えば国公立大学合格を目標にたてた人と有名私立大学を
目標にたてた人では、問題はちがってきます。


 もちろん両方合格を目標に立て、2つの問題を同時に解決すれば両方合格の目標は
達成されるでしょう。しかしそれは同じ問題ではなく2つの問題それぞれを解決
できたからこそ、2つの目標達成することができたのです。


 国公立大学の受験科目は私立大学の受験科目より多くなります。そこに問題が
生じます。国公立大学では広い知識が要求されます。それに対し、私立大学では
受験科目数が少ないので、その科目に対して深い知識を要求されるでしょう。


 この問題を解決していくには、国公立大学受験は最後までくまなく、全教科を
まんべんなく勉強していくことが必要です。それに対し、私立大学受験は少ない
受験科目を徹底的に追求し、きわめていかなければなりません。


 私立大学受験は現役生より高卒生が有利といわれるのも、目標達成のための
問題がちがい、その解決方法も国公立大学受験とはことなるからなのでしょう。


 ここでは目標を「国公立大学文系へ合格」とたてたとします。まだこの段階では
初期状態だといえます。これを目標状態に変えるには何が問題で、その解決方法は
何かを考えなければなりません。


 英語・国語には自信があり、いつも実力は出せるのに数学が足を引っ張っている
のなら、この場合の問題はもちろん数学の強化ということになります。このように
問題がはっきりすれば、今度はどういう方法でその問題を解決するのかを決めます。


 基本がまだできていないのであれば、教科書と基本問題集を徹底しておこなって
いく方法が考えられます。学校の定期試験・実力試験では成績はよいのに対外模試の
結果がいつもさんたんたるものであれば、チャートなどの参考書中心に学習する
方法が考えられます。


 また自分だけの勉強だけでは不安なら、学習塾・予備校の数学講座を受講したり、
家庭教師を頼み、自分の勉強でたりない部分を補足してもらうことも、この場合の
選択肢になるでしょう。


 ここで解決策が決まれば、次はなるべく早く実行することです。よく考えるだけで
実行しない人を見かけます。その人はもっとよい方法はないかと考えたり、実行した
ときの結果の不確かさから、なかなか実行に移せないのかもしれません。


 一般に合理的に考え、その後実行するのがよいとされています。しかし問題解決
には実行することが欠かせません。逆に実行して、はじめてわかることは多いもの
です。実際に、実行してその後、合理的な理由がつくことが多いのではないで
しょうか。


 また解決方法を実行し、はじめてその結果がどうなるか評価できるものです。
実行もしないのに、その解決方法がよいものかどうかわからないのです。


 こういう風に、目標をたて目標状態がイメージできれば、目標達成するために
初期状態から目標状態へ移行しなければなりません。それには次の5つのステップが
必要です。


1、 問題の発見
2、 問題の定義
3、 解決法の探索
4、 解決法を実行
5、 結果の評価


ここでこれらを整理してみます。


 まず1の問題発見とは問題を感じ気づく段階のことです。そして2の問題の定義
とは気づいた段階ではまだ問題ははっきりしていません。それをはっきりさせる
必要があります。それが問題の定義です。


 次に3の解決法の探索です。これはできるだけ多く考えてみることです。そして
4のようにそれらの解決法を実行してみることです。


 最後に5のように解決法を実行してみたことを評価します。この5つのステップを
いつも考え、すすめていくことがよいと思います。ただ1から5の順番どうりに
進行しなくてもかまいません。
 

 これら5つのステップは必ず即効性があるとは限りません。しかし繰り返し行い
自分のものにできれば、必ず効果はあるはずです。


 ところで目標達成のために問題にしたことは自分にとって不得意なことが多く
なるかもしれません。それを解決していくには、ある程度のやる気の持続が必要
です。


 そのためには工夫が必要です。例えば不得意科目の克服が問題であるのであれば、
勉強疲れが出る週の後半、木曜日には不得意科目の勉強は避けてもよいでしょう。


 また勉強に取りかかかる最初の時間に、不得意科目をもってきて、その後得意
科目を勉強してもよいのです。不得意科目を得意科目でサンドイッチ状態にして
勉強してもかまいません。なるべくやる気が継続する方法をとるようにします。


 そうすれば無理なく問題解決でき、初期状態を目標状態に変えることができる
ようになります。ただ初期状態のときはまだ弱者の状態であるといえます。
今までの3倍の時間はかけないと、なかなか目標状態には近づいてこないかも
しれません。


 そういう弱者の戦略をとることも必要です。人と同じようにやっているだけでは
人と同じ状態のままです。しかし人の3倍の労力をかければ、必ず人より抜け出す
ことができます。


 一度こういう観点にたって、目標達成をおこなってみてください。繰り返し
おこなっていれば、必ず効果はでてくるはずです。




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 <2学期から能率よく効果的に学習するには>

 

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 受験生のなかには、この夏休み、大いに勉強に取り組んだ人は多くいると
思います。今まで習ってきた内容の復習に時間をたくさんさいたのでは
ないでしょうか。そういう人たちにとっては、2学期からまたやるぞ、という
気概がわいてくるかもしれません。


 まだ受験には間がある学年の人たちは、この夏休みに1学期の宿題をすませた
程度であるかもしれません。また一学期程度の内容はすっかりマスターし、
夏休みはゆっくり過ごしたという人もあるでしょう。


 みんな人それぞれ夏休みの過ごし方はまちまちです。しかし夏休みが終わると、
すべての人が2学期をむかえます。そして学校の授業を受ける事になります。


 2学期が始まると夏休みのように、たっぷりと時間はありません。自分の
苦手科目にじっくり取り組むような、余裕の時間はありません。


 それでは学校の授業がある2学期にはどういう勉強方法をとるのが、一番
能率的で学習効果が上がるのでしょう。今日はそれについて考えてみることに
します。


 学校が始まっても、なかには学校より塾や予備校の勉強のほうを優先し、
学校を休んだりする人がいることは確かです。しかしそれはもったいない話です。
学校、塾、予備校などすべての勉強を効果的に結びつけるほうが、能率よく
効果的だと思います。


 塾や予備校が学校より授業がはやく進むので、そのため学校を休んだり、
学校に行っても、もうすでに習ったことだからと、授業をいいかんげんに
聞いたり、授業中おしゃべりばかりしているようでは、効果的な勉強には
程遠くなってしまいます。


 また塾、予備校には行っていなくて、自宅で予習もしていかない人たちが、
学校で習う、はじめての授業がわからず、家へかえってじっくり復習するから
よい、と考えてしまってはいけません。


 効果的な学習は毎日学校で授業がおこなわれる以上、その授業中心に勉強
スケジュールを組み立てるのがベストなのです。


 学校の授業、塾・予備校の授業、自宅学習をそれぞれ別々に考えてしまっては
いけないのです。すべてをつなげて効果的な勉強スケジュールを組むべきです。


 塾・予備校に行っていれば学校の授業より先に進むので、いわば学校の授業の
予習をしていることになります。また得意な科目であれば、自分で学校の授業の
予習をすることは、さほど困難ではありません。


 こういうふうに予習するときの勉強のコツはいったい何でしょう。それは予習
段階で理解を100%完成させないということです。それではなぜ理解100%の
予習をしてはいけないのでしょう。


 それはまず第一に、授業内容をあらかじめ100%理解するることは、そのため
の勉強に要する時間が、非常にかかってしまうことです。


 そして授業内容を100%理解して学校の授業に参加してしまうと、授業中、
先生の話を聞かなくなってしまいます。それはすでに内容が100%わかって
いることを、その人はあらためて聞く気にはなれないからです。


 そういう意味で学校の授業のための予習は、わかる範囲だけ勉強すればよい
のです。このような勉強方法なら、予習に多くの時間はかかりません。


 そして内容があいまいなまま、学校の授業を受ければよいのです。学校の
授業では先生の話を導入部からじっくり聞くのです。学校の先生も重要な
ところは板書したり、何度も言ってくれるはずです。そこを聞きもらさず、
ノートにしっかりまとめておくのです。


 ここが一番のポイントです。何度もでてくることがやはり一番重要なこと
なのです。


 人間は忘れる動物です。人間の脳は忘れるようなシステムになっている
ようです。人はすべてのことを記憶しようとはしません。必要なことだけ
記憶に残そうとします。何度も繰り返し入ってくる情報は、重要なことだと
認識するのです。そしてそのほかのことはきれいさっぱり忘れ去ってしま
います。


 この人間の記憶のメカニズムにそって必要なこと、重要なことだけを
覚えるようにすればよいのです。何でもかんでも覚える必要はありません。
ですから何が重要で何が重要でないかを識別することが大切なのです。


 これからひとつの単元を教えようとする先生は必ず授業の導入部で、
その単元に関する用語の定義を述べ、板書し授業を進めているはずです。
また重要なことは何度もキーワードとして先生の口から出てきます。


 ノートのまとめのポイントはそういった重要なことを書き留めておくこと
です。それは走り書きでもかまいません。記憶に残すためにはきれいに書く
必要はないのです。後で読み返し、わかる程度でよいのです。


 最近、色とりどりのマーカーペンを使い、きれいにノートを作ることに
集中している人をよく見かけます。視覚的に見てノートがきれいな事はよいの
ですが、ノートをきれいに作ることのほうに神経がいって、先生の大事な話を
聞いていない人がいます。これでは何が大切なのか選別する事ができません。


 ノートは板書されたこと、何度も入ってきた情報を必ず書き留めるように
しましょう。それ以外は忘れ去ってもよいかもしれません。


 苦手科目など予習をせず、学校の授業に参加した場合もノートの取りかたは
同じです。後で教科書を見て復習すればよいとは考えず、板書された内容、
先生の口からよく出てきた言葉は、すばやくノートに書いておきましょう。


2学期はとにかく学校の授業を中心に予習・復習を考え、学習に取り組む
ほうが能率的で、学習効果が上がるのです。


 受験生であっても同じです。受験勉強は特別なものではないのです。毎日、
おこなっている勉強の内容を理解し、大切なことを記憶に残すこと、それが
受験勉強そのものなのです。


 つまり日ごろの学校、塾や予備校、自宅学習での勉強のなかで、繰り返し
出てくる内容を理解し、その情報を記憶にとどめていくことが、2学期からの
勉強には必要なのではないでしょうか。


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    <おまけの学習>



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 まず、“おまけの学習”について述べる前に、優等生といわれる人たちと、普通の成績や普通以下の成績しか取れない人たちとの違いは、いったいどこにあるのかを、みてみましょう。


 確かに優等生といわれる人たちは、日ごろからしっかり勉強しているので、普通の成績の人では、なかなか彼らに追いつくことはできません。


 また彼らは生まれつき知能指数が高いのかもしれません。しかしそれだけではないのです。何が違うのかというと、彼らはテストに対する取り組み方が違うのです。


 その違いは中間や期末などの定期試験のときからあらわれます。ふつう定期試験はテスト一週間前にテスト発表があり、テストが終わるまでがテスト週間です。このとき優等生達は、定期テストに対してどういう勉強の取り組み方をしているのでしょう。


 彼らは普通の成績の人がやるようなテスト一週間前の発表があって、始めて勉強に取り組むのではないのです。彼らはテスト発表のさらに一週間前から勉強をし始めるのです。そしてテスト発表の頃にはその範囲を一通り学習し終わっています。


 それではテスト発表があってからは、彼らは何をするのでしょう。それはその範囲の復習と、さらにはその範囲の高度な学習に取り組みます。なぜそうするかのかというと、習ったことの知識の枠組みをしっかりさせ、その枠組みを完全に記憶に残すために、そうするのです。


 彼らは普通の人より先駆けて貪欲に知識を求め、その知識を完全に長期記憶として保存させます。そんな彼らが定期試験を受けるのですから、テストの結果は完璧です。そして彼らはいつもどおり、オール5の優等生の成績をとる事になります。


 それに対して、普通かややうえの成績くらいで落ちついている人は、定期試験の発表があってから、はじめて勉強に取り組みはじめます。それでもテスト前の期間は一週間あるのですから、一通りの学習はできます。
 

しかし彼らはもう一歩の勉強がなされていないために、まだ知識の定着は不十分なままでしょう。内容の理解はしても知識の体系化や枠組みが、まだ完全には形成されていないのです。とうぜん長期記憶としても十分には保存されていません。それで試験が終わると、すっかりわすれてしまうことも多いと思います。


 それでもテスト発表と同時に勉強に取り組む人は、まだいいのです。テスト発表があっても勉強に集中できず、テスト前日になってしか勉強に取り組めない人もいます。優等生たちからみると、そんな人がいるとは信じれないことでしょう。


 そういう人のなかでも一夜づけすれば、少しは知識が身につきます。しかしせっかく身につけた知識もテストが終われば、それもすっかり記憶からなくなってしまいます。


 これが優等生たちとそれ以外の人たちとの、学習の取りくみ方の違いなのです。これではいつまでたっても、優等生たちとおなじにはなりません。同じになるどころかますます離されます。


 優等生達と同じように、いつもよい成績をとるにはやはり、彼らがやっているように、人よりはやく学習に取り組むほうがよいでしょう。


 そういうと“クラブ活動や家の手伝いでそんな時間なんて取れない。”、という人が必ずでてきます。また“テスト期間中はクラブ活動もないし、勉強に集中することはできるのだけれど”という人もいるでしょう。


 そういう人たちは、いつまでたっても、優等生のような学習効果の高い勉強はできないと思っています。ところが優等生のようにとはいきませんが、確実に学習効果をあげる勉強方法があるのです。それは“おまけの学習”いわれます。


 それは普通の人がやるようにテスト範囲が終わったところで、やれやれと思わずに、もう一度だけ、今やってきた範囲に目を通すのです。これをやることで学習した内容が確実に定着するようになります。これをおこなえば試験当日だけでなく、長期的に記憶としても残ります。


 これが“おまけの学習”といわれるものです。いってみれば優等生たちはテスト一週間前からすでに“おまけの学習”に入っているともいえます。


 また実は予備校、学習塾や家庭教師などのプロが先導する学習方法もこの“おまけの学習効果”を取り入れているのです。


 予備校、学習塾や家庭教師の先生で、確実に生徒の成績を上げている人たちは、必ずこの効果を意識して使っています。


 ご父兄の中には“なぜ予備校や塾は、学校より先に進むのでしょうね”と疑問を持っている方もおられます。同じところを2度やる必要もないと思われている方もおられます。しかしこれは生徒の学力を定着させ、長期記憶として、長く記憶に残させるためには必要なことなのです。


 そしてテスト一週間前には、復習または高度な学習も取り入れていきます。それが知識の枠組みをしっかりさせ、知識の体系化を容易にし、それがのちの実力につながるのです。


 人間は忘れる動物です。何度も繰り返すことで重要なことと重要でないことを区別していきます。そして重要なことは長く記憶として残すのです。


“おまけの学習”をやるとやらないではずいぶんちがいます。せっかく徹夜して覚えたことが試験中に、答えがここまで出てきているのにどうしてもでてこない。そんな体験をしたことはないでしょうか。それが“おまけの学習”をすることで
なくなります。


 ぜひみなさんも、範囲の学習が終わったからということで、それだけで終わらずに、もう一度“おまけの学習”をしてみてください。そうすればきっとその効果を認識することができるでしょう。


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<“練習のひっこし”による学習効果>




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 前回の中で述べた“一般化”は得意なことと苦手なことの共通点を
見つけて、それを一般化し取り入れることで、両方を伸ばしていく
ものでした。


 そして“練習のひっこし”の例として、右手と左手のそれぞれについて、
はしを使ってどれくらい多くの豆を、つかむ事ができるかについて取り上げ
ました。


 結果は利き腕の右手のほうが豆を多くつかむことができ、その後一週間、
左手だけはしで豆をつかむ練習をします。すると練習した左手が上達する
だけでなく、練習していなかった右手も同時に、豆のはしつかみがうまく
なっていたのです。これが“練習のひっこし”による効果です。


 このことを実際に経験で学んでいった子がいます。その子供、正夫君は
小学低学年のときは、家で勉強をしなくても、学校の内容は普通か普通以上
の理解がありました。


 しかし高学年になると、家での勉強習慣がついていない正夫君は、学校の
勉強だけでは理解が不十分になってきたのです。もちろんそれと同時に成績も
下降線をたどり、普通か普通以下になってしまいます。5段階評価では成績
2や3といったところです。


 それで中学生になった正夫君はテスト期間中、家で一生懸命勉強するように
なりました。ところが家での勉強習慣のない正夫君は、何から手をつけていい
のかわかりません。


 そういう時に手をつけやすいのが、理科や社会の暗記すれば何とかなりそうな
科目です。理科がちょうど植物のところで、これも暗記すればうまくいきそうに
思えます。


 それで彼はまず理科と社会が暗記科目であることに着目して、その共通点を
見出し、両科目とも教科書をじっくり読むことにしました。もちろん覚えにくい
ところは、そのつど紙に書いて覚えていきます。


 そのテストの結果はやっただけの効果があり、5段階の成績評価では4が
ついていました。残りの科目も勉強量はまえより少ないにもかかわらず、
成績3は維持しています。


 小学生のとき、家で少しも勉強しなかった正夫君は、家での勉強のコツを
少しつかみ始めます。暗記物は教科書をくまなく読み、重要事項を覚えると
よいことがわかってきたのです。


 この段階で正夫君の得意科目は理科と社会になっています。それで正夫君は
この成績が上がった成功体験を、他の科目にも試みようとしたのです。


 英語は中学生になって習うはじめての教科です。正夫君は最初、とりくみに
くいように思えていました。しかし学習していくうちに、英語は理科や社会と
同じように、暗記しなければならないことが多いことに気づきます。


 英語と理科や社会との共通点を見つけた正夫君は、今度は英語の教科書丸暗記
を試してみます。声に出して読んだり、スペルを書いたり、本文をそのまま暗記
していくやり方です。もちろん文法を理解しながら暗記をしていきます。


 すると今度はテストの結果、理科、社会に続いて英語でも成績4がつくように
なりました。このときすでに理科、社会では以前ほど勉強量をとらなくても、
成績4が取れるようになっています。


 今回は英語と理科、社会の共通点を見出し、“練習のひっこし”をおこない、
今度は理科、社会ではなく英語に集中したのです。その結果、すでに得意な科目
とまだ苦手な科目の両方とも、成績を上げることができました。


 また正夫君は勉強だけでなく、クラブ活動にも力をいれています、そして中学
1年生を無事終えることができました。彼の中学1年生の最後の成績は英語、
理科、社会と体育が成績4です。そして中学2年生をむかえます。


 中学1年生で勉強の習慣と勉強のコツを見つけた正夫君は、中学2年生に
なっても勉強にスポーツにと、さらに躍進することになります。


 まずは得意になった英語、社会や理科のように暗記すれば、何とかなりそうな
科目の成績を伸ばします。そして“練習のひっこし”をおこない、技・家、美術
や音楽も成績4がもらえるようになりました。


 この段階で彼の苦手科目は、数学と国語だけになっています。彼はそのうち
まず国語に注目します。それは語学という英語との共通点を見つけたからです。

 
 彼は国語も英語と同じようにじっくり教科書を、暗記するくらいに読むように
なりました。そして授業中にとったノートをみながら、文章の理解をよりいっそう
深めることをしたのです。


 その結果、国語も成績4をとることができるようになりました。それだけでは
なく、得意であった英語がさらに得意になり、成績5がもらえるようになって
いるのです。


 これはまさに“練習のひっこし”をおこなったことによる成果なのです。苦手な
ことと得意なことの共通点を見出し、苦手な科目に“練習のひっこし”をおこなう
ことで、それを克服し、さらに得意なことを伸ばしています。


 彼の中学2年生の最後の成績は数学が3、英語が5そのほかは4に変わって
きています。そして彼は中学3年生の中学生最後の学年を迎えたのです。


 彼は勉強ばかりしていたわけではありません。クラブ活動にも熱心で、3年生
最後の学年では、県大会にも出場しているほどです。その時期には彼の体育の
成績も5になっています。


 そういうふうに彼が中学3年生になった時には、苦手科目は数学だけになって
いました。そして彼は最後の学年で、ついに数学と他の科目との共通点を見つけ
ます。それは問題を解く量を多くして、数学の解法パターンを理解して覚える
ことだったのです。


 これで最後まで苦手だった数学の成績も、卒業までに4にすることができる
ようになりました。これは彼にとっては大きな自信です。そして高校に入学した
のちも、“練習のひっこし”をおこなうことで、さらに飛躍をすることになります。


 高校に入学すると、彼は中学校で最後まで苦手だった数学に、一番力を入れる
ようになったのです。するとどうでしょう。過去に一番苦手だった数学の成績が
5になっただけでなく、残り全教科ともオール5の快挙を達成してしまったのです。


 彼は最初成績が2か3の普通かもしくは普通以下の成績の子供でした。その
彼が勉強の達人ともいえる、オール5の成績が取れたのです。


 なぜ彼にできたのかはもうおわかりだと思います。彼は苦手な科目と得意な
科目の共通点を見つけ、それを一般化し、“練習のひっこし”をしながら、
苦手科目を克服してきたのです。その結果が全教科オール5という成績につな
がったのです。


 もちろんそれをやり続けるのには、絶えまない努力は必要です。しかし彼は
上達していくことで快感をえて、そのストレスをむしろ減らしていく事ができた
のです。


 このように苦手なことに得意なことの共通点を見出し、“練習のひっこし”を
おこなうと、苦手なことと得意なことの両方を伸ばしていくことができるのです。


 小学生の頃、成績がかんばしくなかった彼が一貫しておこなってきたことは、
“練習のひっこし”だったのです。そして苦手科目を次から次へと克服して、
さらに得意科目を増やし伸ばしていったのでした。


 成績が優秀とされる子供たちの多くは、何らかの形で“練習のひっこし”を
おこなっていて、その結果、オール4やオール5の成績をとっているのです。
苦手科目のある人はぜひ一度“練習のひっこし”を試してみてください。




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<学習効果が上がる回り道>



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 今ここにおなかをすかしたにわとりが十羽いるとします。そして今から
このにわとりにえさを与えることにしましょう。ただしにわとりとえさの
間には上下が遮断され、横幅が10mくらいある網が張られているとします。


 網の向こうにえさは見えますが、網で遮断されている状態です。さてこの
にわとり達はどうやってえさを食べようとするのでしょうか。


 にわとり達は、網の向こう側ですが、目の前にえさが見えているのですから、
とうぜん網に突進しようとします。


 しかし網にさえぎられて、えさまでたどりつくことができません。羽をばた
ばたさせたり、くちばしで網をつついてさわぎたてているだけです。


 そうこうしているうちに1羽がえさのあるところまで、直線的にいこうと
するのではなく、さえぎられている網を迂回すれば、そこまでたどりつくこと
に気づきます。そしてそのかしこいにわとりは、首尾よくえさ場にたどりつき、
えさを食べることができました。


 それを見ていたそのなかの2羽3羽のにわとりは、同じようにそのにわとりの
まねをして、これまた、えさ場にたどりつき、えさを食べることができたのです。


 ところが残りのにわとり達は相変わらず、えさ場まで直線的にたどりつこう
として、網にぶつかったり、網をくちばしでつついたりするだけで、さっきと
同じように騒ぎたてているだけです。もちろんえさ場にたどりつくことなんて
できません。


 これは知能水準が高い、かしこいにわとりが、えさ場まで直線的に最短距離で
いくのではなく、回り道をすることで、えさが食べられることを学習したのです。


 これがにわとりより知能水準の高い犬や猫であれば、回り道したほうがえさ場
まで、はやく到達できることをすぐにさとり、回り道をして、えさ場にたどり着く
ことでしょう。


 またこういうことがあります。自然界で生息するオウムの仲間には、非常に
学習能力が高いオウムがいるそうです。


 今、ここに中が透けて見え、取っ手がついた開閉できるふたつきの箱がある
とします。そしてこの箱の中に、鳥のえさを入れておくのです。すると中が透
けて見えるので、多くの鳥たちがこの箱に近づいてきます。


 しかしえさは見えるのですが、ふたを開けられずに、結局あきらめて、どこか
へ飛んでいってしまいます。しかしこのオウムは他の鳥たちとはちがいました。
好奇心もあり、箱のあちらこちらを、くまなくつついたり、ひっぱたりと長い
時間その箱で遊び続けます。


 そしてついに取っ手をくちばしで引っ張れば、ふたが開くことを探り当てる
のです。もちろんふたを開ければ、えさが食べれます。こうして学習したオウムは
次からも同じように、ふたをあける事ができました。もちろんそのたびにえさを
食べることができるのです。


 このオウムは他の鳥たちと違って、はじめからこの箱をああでもない、こう
でもないといろいろなことを試しています。そしてその結果、ついにふたを
開ける方法を見つけたのです。


 はたで見ていると、このオウムはなにか無駄なことをやっていると思われます。
そしてふたを開けることができたのは、偶然だと思われるでしょう。


 しかしこのオウムは無駄と思われるようなこともいろいろ試し学習し、そして
次からは、なんなくふたを開けることができるようになったのです。


 このことは一体何を意味するのでしょう。それは回り道をしたほうが、目的を
達成しやすくなる場合もあることを、示しているのではないのでしょうか。


 そしてこれは学習においても通じることなのです。学校で学習したことだけに
とどまらず、参考書や問題集を買って勉強したり、学校以外に家庭教師、塾や
予備校に通って勉強することは、回り道に感じるかもしれません。


 しかしそれが結果的には学習効果をあげ、目的をよりはやく達成することに
つながっていくのです。


 これは各科目の勉強方法にも、同じことがいえます。例えば英語の学習の
場合、単語ひとつ覚えることにしても、教科書にでてきた単語だけを覚えても、
英語力の上達にはつながらないのです。


 回り道のように思えますが、その単語の類義語、反意語なども覚えたり、
辞書で教科書に出てくる以外のその単語の意味も調べて覚えることで、はじめて
英語力の上達につながっていくのです。


 数学の学習の場合であれば、定理や公式さえ覚えていれば、その公式を用いて、
簡単な問題は解くことはできると思います。しかし少し複雑な問題にあたれば、
もう解けなくなってしまうのがふつうなのではないでしょうか。


 回り道に思うかもしれませんが、数学は多くの問題を解くことをしなければ、
その力を伸ばすことはできません。数学の力をつけるには、あれやこれやと
試行錯誤を繰り返しながら、認知心理学で言われるスキーマ(枠組み)を、
より多く身につけることなのです。


 理科の学習の場合であれば教科書だけでなく、資料集や参考書により、
たくさんの実験結果や観察写真を見ることで、具体的知識が深まります。
もちろん法則を理解するためには、実験、観察や問題演習はとうぜん必要な
ことでしょう。


 国語の学習であれば教科書を学習することだけではなく、日ごろから新聞や
読書に親しむことも必要でしょう。両親や友だちとの間でかわす言語的な会話
なども、国語力に影響します。。毎日日記をつけて文章を書く習慣をつける
ことも大切なのです。


 社会の歴史の学習であれば、学校で習った人名や事がらを覚えることだけ
でなく、その時代の歴史小説を読んだり、参考書や資料集で調べたりする
ことは、その時代をよりよく知り、さらにその時代の理解を深めてくれる
ことになるでしょう。この場合も歴史の流れを知るために問題演習は
欠かせません。


 こういうふうに、たんに学校で学習したことだけを勉強するのではなく、
回り道と思えるかもしれませんが、いろいろなことをやってみることが、
実は学習をはやく上達することにつながっていくのです。そしてそれは
知能水準を上げることにもつながります。


 確かに学校で習ったことだけをコツコツとやれば、一時的には学校の成績を
上げることはできるでしょう。しかしいつまでもそれは続かないものです。
そういう人は肝心なときに成績の伸びが悪く、無念の涙を流すことになって
しまいます。


 それよりも多少遠回りに感じても、目標に向かっていくのに必要なことで
あれば、遠回りも入れながら、自分で学習計画を立てていくのがよいのです。
これは一時的には学校の成績を下げてしまうかもしれません。しかし結果的
には最後に成績の伸びが見られるのです。

 これは学習だけでなく、世の中でも、共通することではないでしょうか。
与えられた仕事だけでなく、多少遠回りに感じても、それをすることで、自ら
考え計画した目標がより早く達成されるのです。


 私は多少遠回りに思えても、必要とあれば回り道を自分の計画の中に取りいれ、
目先の成績にはこだわらず、将来の大きな飛躍につなげることは必要であると
思っています。


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<理解してから覚えることの大切さ(算数編)>




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 学習効果の高い人のひとつの特徴は、単に丸暗記ではなく、必ず
理解してから記憶することです。そうすれば長期記憶として、長く
記憶にとどめておきやすくなります。最近では人は自分に理解できる
ことを、記憶として残しやすいことがわかってきています。


 それでは具体的にどういうところを理解して記憶すればよいのか、
ここではまず算数という教科を通してみていきたいと思います。


 みなさんにも覚えがあると思います。まず小学校の算数でつまずき
やすいところは、小数の割り算ではないでしょうか。それまでの足し算、
引き算や掛け算はできても、割り算になると計算ミスが多くでてきます。
特にあまりの小数点のつけ方のミスが多いようです。


 これは筆算にすると足し算や引き算では、小数点をそろえて計算する
のですが、割り算では割る数の小数点を移動させた分だけ、割られる数の
小数点も移動させて計算することが原因しているようです。その結果、
移動させた小数点と同じ位置に、あまりの小数点をうっかりつけて
しまいます。


 例えば正解は4.7÷1.5=3あまり0.2なのですが、あやまって
3あまり2としてしまうのです。これは割る数と割られる数の小数点を
移動させて47÷15を計算したときに、あまりの小数点まで一緒に移動
させたまま、そこに小数点をつけ、あまりも一緒のように書いてしまって
います。


 つまりこれはあまりを求める時に、もとの小数点の位置にもどなければ
ならないことの意味が、正しく理解されていないからです。


 次に小学生にとって理解しにくいのは分数の割り算です。機械的に
割り算は掛け算になおして逆数をかけることはできます。しかし理解
のないまま覚えてしまっているので、少し時が経てばすぐに忘れて
しまうのです。


 それでは分数の割り算の理解はどうすればよいのでしょう。例えば
3枚のパイを4分の3ずつに分けると、何人に分けることができる
でしょうか。この場合の計算式は3÷(4分の3)になります。


 これは見方を変えて考えると、1枚のパイを4等分し、3×4=
12個のパイに切り、それを3個ずつ分ければ、12÷3=4(人)
に分けることができるのと同じことになるのです。


 つまり3÷(4分の3)=3×4÷3=3×(3分の4)で計算できる
ことになります。それで分数の割り算は割り算を掛け算になおして、逆数
をかける事になるのです。


 こういうことが理解されていないと、いつまでたってもすぐに忘れて
うっかり、計算の仕方をまちがえてしまうのです。


 次に中学受験でおなじみのつるかめ算の理解です。例えば「つると
かめが合わせて10匹いて、その足の本数を数えると合計26本でした。
はたしてかめは何匹いたでしょう。」


 この問題を解くには、まずかめが前足2本を隠して2本足でいたと
考えます。すると足の合計は2×10=20本となり、26?20=
6(本)足りなくなってしまいます。


 あれ、おかしいなと思っていたところ、ここでいっせいにかめが隠して
いた2本の足を出しました。そうすれば、それで6÷2=3(匹)のかめが
いた事がわかります。


 こういう理解がないとつるかめ算の問題がでてきても、解法を忘れて
しまい何をしてよいのか見当がつかなくなってしまいます。


 他にも例えば旅人算の場合でも同じです。同一直線上を向かい合って
走ってくる人が出会うとき、その出会うときの速さはそれぞれの速さの
和になります。


 また同一直線上を同じ方向に走っている人を追いかけるとき、その速さ
は二人の速さの差になることが、理解されていないと記憶にも残らないし、
それを使うこともできません。


 この場合、向かい合って走り出会う場合の速さは、いつもの自分の走る
速さより、相手が走っている速さの分だけ、速くなると理解します。そして
追いつく場合の速さは、いつもの自分の速さより、相手が走っている分だけ、
おそくなると理解します。


 こういった計算式の意味や文章題の理解だけでなく、正確に記憶として
残すのには、図形の問題でも同じような理解が必要です。


 例えば平行四辺形の面積の公式は、長方形の面積=たて×よこから導かれ、
底辺×高さで表せます。次に3角形の面積の公式は平行四辺形の面積の公式
から導くことができ、底辺×高さ÷2です。これらは図を描くことで容易に
導くことができます。


 また教科書にはでてこない、ひし形の面積=対角線×対角線÷2も、実は
長方形の面積の公式から導かれています。ひし形のそれぞれの対角線を、
長方形のたてと横とすると、ひし形の面積はその長方形の面積の半分に
なっているのです。これも図を書くことで容易に理解できます。


 このほか植木算のように、植木の数とその間の数の数え方が理解されて
いないと、中学受験・高校受験・大学受験によく出てくる数列の問題でも、
数の数え方があやふやになってしまいます。


 一直線上に植木をした場合、その植えられた木の数はその間の数より一本
多くなります。そして円周上に植木をした場合、その植えられた木の数と
間の数は同じになるのです。ここは正確に理解していないと、まちがい
やすいところです。


 さらに計算はできるだけ簡単に計算ができるように、いつも工夫して
計算するようにします。これは小学生では何度も教えられることです。
しかしその重要性が理解できていないと、中学・高校に進んでも、いつも
計算ミスばかりすることになってしまいます。


 例えば「半径が5センチ、2センチ、1センチの大・中・小の円の面積
の和を求めなさい。」この場合の計算式は

 5×5×3.14+2×2×3.14+1×1×3.14です。これを
最初からひとつずつ計算していたら大変です。


 この場合は分配法則の逆を使って
 
 (5×5+2×2+1×1)×3.14=30×3.14=94、2と
すれば、簡単に求めることができます。


 この問題が単独に出てくれば、工夫して計算する人は多いとおもいます。
しかしこれがその問題の中の一部の計算式としての位置づけであれば、
工夫せずに最初から計算してしまう人が多いのです。


 こういうことも理解して記憶することのほかに、とくに注意しなければ
ならないことだと思います。


 このように子供たちには小学校の算数から理解して覚える習慣を、
ぜひつけさせたいものです。小学生からこの習慣が身につけば、中学・
高校の数学に進んでも、同じように理解し長期に記憶することができ、
数学をマスターすることができるでしょう。


 つまり理解して覚えることが、上達者になるためのコツなのです。
これからは単なる丸暗記ではなく、理解して覚えることを意識して、
学習に取り組んでいってもらいたいと思っています。


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<理解してから覚えることの大切さ(中学数学編)>




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 世界にはインドのように算数と数学とを区別していない国は
たくさんあります。しかし日本では算数と数学を区別している
ので、今日は算数ではなく数学を題材にします。


 前回の算数でもわかりやすいことや理解しやすいことが、長期
記憶として記憶に残りやすいことを書きました。これは数学でも
同じです。興味のある内容や理解できた内容は長期記憶として、
長く記憶に残ります。


 そしてこれは新たな問題があたえられたときに、長期記憶から
認知心理学で言われるスキーマ(枠組み)として加工されて、
問題解決に使われることになります。


 理解して記憶することは大切です。中学1年生に出てくるかん
たんな計算でさえ、理解して記憶していないと、いつも間違いを
おかします。そうならないために、機械的に処理する前に、しっ
かり理解してから記憶するようにしましょう。


 小学校の算数は正の数と0だけしか取り扱いません。ところが
中学の数学では負の数が入ってきます。ここでよくつまずくのは
負の数の引き算です。「(−2)をひく。」これは足し算になおす
と「(+2)をたす。」ことと同じになります。


 負の数をはじめて習う中学1年生には、「ひく」が反対の言葉の
「たす」になり、それと同時に数字の符号も反対になることが、
なかなか理解されないのです。


 視覚的に数直線を書いて求めるときはできても、いざ数式だけに
なると混乱してミスをしてしまいます。


 この理解が不十分なまま、分配法則を使う文字式にはいると、
5a−(2b−c)=5a−2b+cのように、うまくカッコが
はずせなくなってしまいます。これは正負の計算の理解と分配
法則の理解があいまいなままなのです。


 さらにこの後、文字式から一次方程式へと学習は進んでいくと、
今度はこの二つの違いを、はっきり区別をしないまま学習を終えて
しまう人が、必ずでてきます。 


 それは文字式では分母が払えないのに、方程式では分母が払える
ようになるところで、理解があやふやになってしまうのです。


 例えば文字式を簡単にする場合、A÷C+B÷Cは(A+B)÷Cと
なるだけで、分母Cを払うことができません。


 これが方程式A÷C=B÷Cになると両辺にCをかけて、分母を払って
A=Cとできます。ここの理解が不十分なのです。


 文字式と一次方程式が単独の問題として出題されれば、多くの
人はこの区別がつくのですが、学習を終えてしばらくたつと、
文字式と方程式の区別の理解があやふやになるのです。


 そういう人は必ず分数の文字式の分母を方程式の時と同じように
払ってしまうのです。


 日常の世界では大体理解すれば、間違わないことが多いものです。
たとえば犬と猫の区別をはっきりいえなくても、それらを見間違う
人はいないと思います。


 しかし学習では、はっきり区別しなければなりません。そうしないと
かならず間違ってしまうのです。


 中学3年生になると素因数分解が出てきます。例えば90は素因数
分解して2×(3の2乗)×5のような素因数の積として表せるのです。
そしてこの90の約数は素因数分解を利用して求めることができます。


 ここで90の約数は素因数1個からなる約数{2、3、5}、
素因数2個からなる約数{2×3、3×3、2×5、3×5}、
素因数3個からなる約数{2×(3の2乗)、2×3×5、
(3の2乗)×5}、素因数4個からなる約数{2×(3の2乗)×5}
と約数1となり、合計12個の約数から成り立っていることがわかります。


 教科書ではまず、素因数分解のしかたから入ります。それで機械的に
素因数分解はできるようです。


 しかしそれから約数が求められることを正しく理解していないと、
小学校算数で習った約数の求め方でしか、求めることができなくなります。


 次に中学数学では算数にはなかった証明問題が、新しく学習内容に
入ってきます。まず三角形の合同の証明です。一般の三角形の合同
条件は、「(1)3辺がそれぞれ等しい。(2)2辺とその間の角が
それぞれ等しい。(3)一辺とその両端の角がそれぞれ等しい。」の
3つです。


 2つの三角形の合同を示すには(1)〜(3)のどれかの合同条件が
成り立てばよいのです。これは三段論法を用いて示すことになります。
例えば合同条件(1)を使うとすると、仮定ならば(1)、(1)ならば
合同、したがって仮定ならば合同がいえるのです。


 ところが証明を始めて習う中学生の中には(1)を示すだけで、
なぜ合同がいえるのかわからないもの、反対に結論から仮定を導こうと
するものや、証明の途中に結論を使ってしまうものがでてきます。


 これは「AならばB」と「BならばC」から「AならばC」を導く三段論法が、
理解されていないのです。


 また三段論法が理解されていても、仮定から(1)〜(3)の合同条件の
どれを示せばよいのか、問題から判断がつかない人がたくさんいます。


 一般に数学では方程式などの文章問題を解くには、与えられた条件と
隠された条件の両方を使って答えを導くのが定石です。これは証明でも
変わりません。


 まず与えられた条件はそのまま使えます。つぎに問題文に直接あたえら
れていない隠された条件は、図を描くことや補助線を引くことで、それを
確かな条件に変えてしまいます。


 つまり問題に与えられた明らかな条件と、隠された条件から導き出された
確かな条件から結論を導くのです。


 ここで理解しておかなければならないことは、問題を解いたり結論を
導くには、隠された条件からいかに確かな条件を導くかということ
なのです。


 このことが理解されていないと、問題を解くことも証明することも、
できなくなってしまいます。


 他に中学数学では2次方程式の解の公式、円周角の定理や三平方の
定理などが出てきます。これらの公式や定理は比較的覚えやすいの
ではないでしょうか。


 理解なくして使ってはいけないとは言いません。しかし必ず後で、
導き方まで理解するようにしておきましょう。


 これらの理解は必ず長期記憶されるときに、認知心理学でいわれる
ところのスキーマ(枠組み)となり、新たな問題解決のときに想起され、
有効に活用されることになります。


 スキーマが複雑にからみあって、脳に長期記憶されればされるほど、
新たな問題に対処するときに、たんにそれを解決するだけでなく、
その処理速度もあがるのです。


 ここに理解してから記憶することの大切さがあるのです。機械的な
処理だけでなく、必ず理解して覚えるように心がけてください。そう
すれば上達がはやまります。


                     
                           つづく



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 今回は「理解してから覚えることの大切さ(中学数学編)」を
書きました。こういう習慣をつけていけば高校数学になっても、
問題解決のためのスキーマを数多く蓄えていくことができます。
しかも何より一度覚えたことはなかなか忘れなくなるのです。
 


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<理解してから覚えることの大切さ(高校数学編)>




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 前回にも述べたように日常生活においては、犬と猫の定義が
述べられなくても、それらを見間違える人はいません。しかし
こと学習面においては、はっきりと区別をつけていないと、
問題解決において、すべてあやまってしまうことが多いものです。


 特に高校の数学は算数や中学数学のように、具体的な事柄
ばかりとは限りません。むしろ抽象的な事柄のほうが多く
なってきます。それだからこそ、定義を理解してから覚える
ことが、大切さになってくるのです。


 ここではまず中学校でも学習する確率についてみてみましょう。
確率を学習すると「同様に確からしい。」という言葉がでてきます。
まずこのことからはいりましょう。


 例えば1つのさいころを投げて偶数の目の出る確率はというと、
1・2・3・4・5・6の6つの目のうち、偶数の目は2・4・6
ですから、その確率は2分の1です。


 次に2つのさいころを投げて、その合計が偶数になる場合をみて
みましょう。2つのさいころの合計は、2・3・4・5・6・7・
8・9・10・11・12の11とおりになります。


 このうち合計が偶数になるのは2・4・6・8・10の5とおり
なので求める確率は、11分の5としてよいのでしょうか。


 もちろんそれはいけません。なぜなら前者は1・2・3・4・5
・6のそれぞれの目の出る確率は6分の1となり、同様に確からしい
ことが言えます。しかし後者は、2・3・4・5・6・7・8・9・
10・11・12となるのは、同様に確からしいとは言えないからです。


 例えば、合計が2になる確率は36分の1であり、3になる確率は
18分の1となるように、それぞれの場合について、同様に確からしい
ことがいえないのです。


 また前者の場合、奇数になる確率は偶数のときと同じ2分の1ですが、
後者の場合は奇数となる確率は11分の6となり、偶数になるときとは
異なってしまうのです。


 つまり後者の場合は同様に確からしい場合を出発点として、考えない
といけないのです。この場合、(1,1)、(1.2)、(1、3)、
…・、(6,4)、(6,5)、(6,6)の合計36通りのなかから、
合計が偶数になる場合は18通りなので、その合計が偶数になる確率は
2分の1となります。


 このように確率では、同様に確からしいことを確認して考えないと、
間違った結果を導いてしまうのです。


 もうひとつ例をあげます。コインを2回投げたとき、1回目・表、
2回目・裏となる場合と1回目・表、2回目・表となる場合の確率を
考えてみましょう。


 この場合、1回目・表・2回目・裏のほうが確率は高そうに思われ
ますが、その確率はどちらもともに4分の1で同じになります。


 それではコインを2回投げたとき、2回のうち1回が表になる場合と
2回とも表になる場合の確率はどうでしょう。この場合は2回のうち
1回が表になる場合の確率が2分の1になり、2回とも表になる確率は
4分の1になります。


 この両者は、表・裏の出方が同様に確からしいことが、確認できれば
問題なく解けると思います。この場合、(表、表)、(表、裏)、
(裏、表)、(裏、裏)が同様に確からしい事になり、それぞれの確率は
4分の1なのです。


 今度は同様に確からしいに関連して、独立についてみてみます。
先ほど2つのさいころを投げて、目の合計が偶数になる確率は2分の1
であることがわかりました。


 それでは2つのさいころを投げて、2つの目の合計が偶数になり、
かつ、ひとつの目が少なくとも1になる確率はどうでしょう。


 この場合、余事象の確率を考えて、2つとも1以外の確率36分
の25を、1から引いて、36分の11とし、それを2分の1にかけて、
72分の11としてよいのでしょうか。


 もちろんこれはいけません。それは2つの場合が独立になっていない
からです。2つの場合が独立で、相互に影響がない場合ならば、かける
ことはできます。


 実際、先ほどの36通りの中から、この条件を満たすものを選び出すと、
(1.1)、(1,3)、(1、5)、(3,1)、(5,1)の5通りで、
その確率は36分の5となるのです。


 それでは独立の場合とはどういうときでしょう。それは例えばさいころを
2回投げ、1回目が偶数で2回目に1がでるようなときです。この場合、
それぞれが独立なので、その確率どおしをかけることができます。


 このように確率では、同様に確からしいことと、独立であることの理解が
大切なのです。このほかにも順列と組み合わせのように、理解があいまいな
ところもあります。


 それは順列は並べる、組み合わせは選ぶと機械的に覚えてしまうことに
よるものです。この場合、順列は並べると覚えてしまうより、区別して
選ぶと理解したほうがよいでしょう。


 例えば10人のなかから、委員長と副委員長の2人を選ぶ場合は
10×9=90とおりとなり、選ぶと書いてあっても、組み合わせ
ではなく順列なのです。


 今度は論証についてみてみましょう。命題は「PならばQである。」と
表されます。これが日常生活では、例えば「18歳以上ならば自動車免許
が取れる。」や「37度以上ならば医者に行く。」のように使われます。


 この場合、この表現は「18歳未満なら自動車免許がとれない。」
「37度未満なら医者に行かない。」のようにとられます。しかし
数学では「PならばQである。」は「PでなくてもQである。」であっても
よいのです。


 例えば「正方形ならば四角形である。」これは正方形でなくても
長方形やひし形でもかまわないのです。ここが日常生活と数学で
使われる命題の違いなのです。ここはしっかり理解しておきましょう。


 そして数学では命題「正方形ならば四角形である。」、逆「四角形
ならば正方形である。」、否定「正方形でないならば四角形でない。」、
対偶「四角形でないならば正方形でない。」と定義されています。


 ここでいえるのは命題が真であれば対偶も真であることです。
日常生活では命題と逆が同じとして、間違った表現がなされている
ことがあります。


 例えば「総合的な学習を増やせば、子供たちは活動的になる。」と
聞いたときに、逆に「子供たちが活動的になるには、総合的学習を
増やせばよい。」と思われがちなのです。 


 これは確かに相関はありますが、命題と逆は同じにはなりません。


 このように日常で使われる表現と数学の定義には、ずれを生じる
場合があるのです。学習するにおいて、このことは正しく理解して
おく必要があります。


 さらに正しく理解が必要なのは必要十分条件です。先ほどの命題
「正方形ならば四角形である。」この場合、正方形ならば四角形の
条件を十分兼ねそなえていると言う意味で、正方形は四角形で
あるための十分条件であるといいます。


 逆に四角形だけでは正方形の条件をすべて満たしていません。それで
必要ではあるがそれだけでは十分ではないと言う意味で、四角形は
正方形であるための必要条件であるというのです。


 それでは必要十分条件とはどういうときに言うのでしょう。それは
「ひし形、かつ、長方形ならば正方形である。」という場合です。
つまり「PならばQである。」と「QならばPである。」の両方が同時に
言えることなのです。


 こういった論証に使われる定義は、あいまいなままではなく、正しく
理解されていなければなりません。このほかにも「すべてのXについて
Pである。」の否定は「あるXについてPでない。」ということも、よく
間違われるところです。正しく理解しておきましょう。


 最後に、公式が一番多く出てくる三角比や三角関数などは、理解して
から覚えないと、大変だと思います。この場合は三角比の基本公式や
三角関数の加法定理から、他の公式が導けるようにしておくべきです。 


 公式を導く手順を知っているということが、問題にあたったときに
余裕をうみだし、問題解決をよりはやくできるようになるのです。


 このように高校の数学においては、特に公式の丸暗記ではなく、
公式が導けるまで理解してから記憶することが、高校数学上達の
コツになるのです。


 高校数学の上達を望む人は、ぜひ理解してから覚える習慣を身に
つけてほしいものです。そうすれば長期記憶の中に、新たなスキーマ
(枠組み)ができ 、次の問題解決にあたり、そのことがきっと
有効にはたらいてくれることでしょう。
 




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