2003年10月の読書感想


書名 戦闘機
原題 Fighter(1977)
著者 レン・デイトン
訳者 内藤一郎
出版 ハヤカワ文庫NF(1998/8/15)
分野 軍事

再読、『英独航空戦』(私の感想)で、
「どちらか一冊だけというならお好きな方をどうぞといったところです」と書いたが、
今回『戦闘機』の方を再読してみて思ったのが、毎日の戦闘結果の数字自体は
『英独航空戦』の方が詳しく追っている、『戦闘機』の方はこの点案外あっさり流していたので意外だった。
ただキーとなるポイントを読み物としても面白く紹介していって、そのポイント、
ポイントを繋げていくことによってバトル・オブ・ブリテンという戦いがどのような戦いであったかが
非常に判りやすくなっている点において、『戦闘機』の方に軍配を上げたいような気がする。
双方長所があるので両方読むのが一番良いです。

書名 ユービック:スクリーン・プレイ
原題 (1985)
著者 フィリップ・K・ディック
訳者 浅倉久志
出版 ハヤカワ文庫SF(2003//15)
分野 SF

著者自身が書いた『ユービック』の映画化用の草稿です。
基本が原作に忠実です、それだけにやはり『ユービック』を先に読んでから読む方が良いと思います。
こちらは、こちらで、あっさりしている分読みやすいところが良いです。

-1


書名 星々の揺籃
原題 Cradle(1988)
著者 アーサー・C・クラーク、ジェントリー・リー
訳者 山高昭
出版 ハヤカワ文庫SF(1998/01/31)
分野 SF

序章はとても良い感じだと思う。
その後は、本筋とは関係ないことを延々と読まされてうんざりする。
長くったってね、SFじゃなくてもね、面白ければ文句言わないけど。
でも、これは、どうしようもないと思う、何か取り柄があるのか?。

-3


書名 フリーダムズ・ランディング -到着
原題 Freedom's Landing(1995)
著者 アン・マキャフリイ
訳者 公手成幸
出版 ハヤカワ文庫SF(1998/11/30)
分野 SF

「ある日、忽然と地球に襲来したキャテン人の巨大な宇宙船は、クリ スをはじめとする地球人を50の都市から誘拐し、奴隷として未開惑 星に送りこんだ。キャテン人はそうやって新たな惑星を開拓するの だ。しかも、ほかの星のヒューマノイド種族まで同じ惑星に送りこ まれていた。過酷な環境のなかで地球人と異星人は協力して生き残 りを賭けた戦いをはじめるが・・・逆境のなかでもたくましく勇敢に 生きるクリスを描く、冒険SF!」
裏表紙作品紹介より

マキャフリイの主人公って女性か少年ばかりなんだね。
今頃気付いた。
かなり退屈っぽいかなー、なぜかというと、
降りかかる窮地があまり窮地になってないからだろうか。

-2

書名 徹底研究 太平洋戦争[海軍編2]
著者 三野正洋、大山正
出版 光人社(2003/07/11)
分野 軍事

1巻(私の感想)ではかなり酷評したが、
この巻は酷いとは感じなかった、図表も多いし、初心者向けのガイドブックとしていいかもしれない。
でもやっぱり”徹底研究”じゃないと思うな。

書名  ラスト・マジック
著者 村上哲哉
出版 新潮文庫(1990/12/)
分野 小説

「プロ野球史上初、少女監督誕生!普通の女子高生だった由貴が、おじ いちゃんの遺言で東亜ホワイト・ウイングスの監督に就任。それも、パ・ リーグ万年最下位球団を優勝させなくちゃ球団は身売り!?幼なじみで 甲子園の優勝投手の柳葉くんが、入団してくれたけど……強豪オリック ス、西武、近鉄を敵に回して由貴の奮闘が始まった 第2回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。」
裏表紙作品紹介より

野球小説の体裁をしていても、どこかでファンタジーになってゆくんだろうと思いました。
でも、そうならないんです。
最後まで野球小説のままでした、
ラスト・マジックってペナント・レースのマジックナンバーの
マジックだったようです。
いいんだろうか、私は野球小説好きだからいいんだけど。

まあ、野球小説としては凡庸というか陳腐というかありきたりというか。
良いところ皆無、だと思うのですが、ありきたりの野球小説ってのは、
面白いものなんですよ。
それに舞台は珍しくもパシフィック・リーグ、
”オリオンズ”がまだ川崎球場にいた頃のお話です。

-2


書名 ルナ・ゲートの彼方
原題 Tunnel in the Sky(1955)
著者 ロバート・A・ハインライン
訳者 森下弓子
出版 創元推理文庫(1989/03/24)
分野 SF

学生達を未開の惑星に送り、数日間のサバイバルをさせる。
なんかバンシンの『成長の儀式』みたいだ、生徒の回収時にトラブルがあって、
ハインライン版”15少年漂流記”になってゆくのだが。
生き残った生徒には、”通過儀礼”になってゆく
面白い、説教臭さや政治色もあまりないし、見なおしたよハインラインって感じです。
サバイバル物としては甘い感じはしますが、元々少年達の授業の一環なんだから
そんなもんでしょう、と言い訳しておく。

+1


書名 ヴァリス
原題 Valis(1985)
著者 フィリップ・K・ディック
訳者 大瀧啓裕
出版 創元推理文庫(1987/8/20)
分野 SF

「女友達の自殺をきっかけに、ホースラヴァー・ファットは少しずつ狂い始めた。
麻薬に溺れ、彼もまた自殺を試みるが失敗する。
だが彼は神に出会った。ピンク色の光線を照射し、彼の頭に情報を送り込んできたのだ。
ファットは自分だけの秘密教典を記し始める。
さらに彼は自分の幻覚と符合する徴に満ちた映画「ヴァリス」に出会った。
ディック自身の神秘体験を投影した晩年の問題作。」

裏表紙作品紹介より
ディックってのは1冊読むと他の本も読みたくなるような中毒性があると思うんだけど。
これも、この長い小説を何の苦痛も無しに読み終わってしまった。
でも、読み終わったら何も頭に入っていないことに気付く、何の小説だったんだろう?。
-1


書名 最後の反乱
著者 ヨハネス・シュタインホフ
訳者 河野士郎
出版 原書房(1978/10/05)
分野 軍事

ドイツの戦闘機搭乗員だった著者は、終戦間際大事故で負傷するのだが、
その事故を起した機体の写真を見ると、とても搭乗していた者が生存できたとは、
信じられない壊れ方をしている。
そして、この回想記は著者が戦後事故の傷も癒えぬまま、記録者に対して終戦間際の
数ヶ月を語る形で始まる。
戦争というものは個人にもその家族にも大変な犠牲を強いるものだ。


書名 坂井三郎の零戦操縦
著者 世良光弘
出版 並木書房(2001/06/15)
分野 軍事

著者が坂井三郎氏に零戦の操縦方法を聞いて零戦の操縦法をマニュアルにしようと試みたものです。
コラムとして、PC用のフライトシミュレーターを使って坂井三郎氏が語る操縦法が出きるかどうか試みる欄があるのだが。
坂井三郎さんにフライトシミュレーターを使用してもらって実際とどう違うか語ってもらって欲しかったなと思いました。


書名 ムッソリーニの戦い
著者 B・パルミーロ・ボスケージ
訳者 下村清
出版 新評論(1993/02/25)
分野 軍事

イタリア人の著者によるイタリア第二次世界大戦記。
その意味で貴重だし、第二次世界大戦におけるイタリア軍の動静を俯瞰するには良い本だと思う。
しかし、扱う範囲が広いので、あまり詳細な部分に言及されているわけではない、
残念だが、しかし、それはこの本の役割とする所ではない。

書名 軍艦青葉は沈まず
著者 竹村悟
出版 今日の話題社(1985/04/25)
分野 軍事

著者は開戦時から終戦直前まで重巡青葉に乗艦していた方です。
第一次ソロモン海戦からサボ島沖海戦までは、丸の巻末長編に
掲載されていたものと同一だと思います。

艦上から見た航空戦の様子がいくらか出てくる。
P124,ショートランド B−17を迎撃する水戦。
P120,ラバウル B−17を迎撃する零戦。
P136,着水救助を要請する攻撃機。
P206,ラバウル 大型機迎撃の零戦と零観。
P255,バターン半島沖近く味方戦闘機搭乗員漂流者。

書名 世界の無名戦車
著者 斎木伸生
出版 アリアドネ企画()
分野 軍事

オデッサ、ズィリニイ、BT42、Sav m/43、など27種類の知られざる戦車を。
開発の背景から性能、実戦における配備から戦闘状況にわたって紹介されています。
メガドライブのゲームのアドバンスド大戦略で名前だけは知っていた戦車がいくらかはあったにせよ。
全部知らない戦車ばかりでした、良く調べられたものよと感心する。
戦車好きの人にはおすすめ。

書名 太平洋戦争の読み方
著者 奥宮正武
出版 東洋経済論(1993/03/18)
分野 軍事

著者の奥宮正武の戦争感と『戦史叢書』及び『失敗の本質』戦争感の相違について書かれた本です。

書名 イルカと私が歩く街
著者 中井紀夫
出版 エニックス(2001/10/05)
分野 SF

イルカと私のラブストーリー?。
?がついたのは、あくまで話が淡々と進むからだ。
まあ、相手がイルカだからプラトニックな関係にしかなりようがないのだが。
この淡々とした所がミソだね。
中井紀夫の主人公は”なぜ歩くのか”とか”なぜ演奏するのか”とか
”なぜイルカと恋をするのか”とか悩んだりはしないのだ。
中井紀夫の持ち味が出ていて良いと思う。

余談である。
"プラトニックな関係にしかなりようがない"と書いたが、何しろ「銀河好色伝説」
を書いた著者であるから、なりようがないわけではないね
想定される読者層を考慮しなければだが。

+1.5

書名 われらの父の父
著者 ベルナール・ヴェルベール
出版 NHK出版(1999/11/20)
分野 SF

われらの父の父とは原人で、われらの父が、われらと原人との間をつなぐミッシングリンクのことです。
われらの父の父の世代における"野生の王国”(比喩が古すぎ)ストーリーと、
われらの世代におけるミステリタッチのストーリーが平行に進んでゆき、
最後にわれらの父の正体が明かされるのだが、……。
いやだー、こんなミッシンクリンクはとてもいやだー
ぜひ読んで確かめて欲しいと思う

+1.9

書名 壜の中の手記
著者 ジェラルド・カーシュ
出版 晶文社(2002/07/05)
分野 ファンタジー

「アンブローズ・ピアスの失踪という米文学史上最大の謎を題材に、不気味なファンタジーを創造し、
MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞を受賞した名作「壜堰の中の手記」をはじめ、無人島で発見され
た白骨に秘められた哀しくも恐ろしい愛の物語「豚の島の女王」、贈られた者に災厄をもたらす
呪いの指輪をめぐる逸話「破滅の種子」、18世紀英国の漁師の網にかかった極彩色の怪物の
途方もない物語「ブライトンの怪物」、戦争を糧に強大なカを獲得していく死の商人サーレクの奇怪
な生涯を描いた力作「死こそわが同志」他、思わず「そんなバカな!」と叫びたくなる、異色作家カー
シュの奇想とねじれたユーモアにみちた傑作集。」

カバーの作品紹介より

”平凡になったラファティ”読んでいる途中頭に浮かんだのはこの言葉だった。
悪口のようだが、そうではない、平凡つまり、わかりやすいということだからだ。
まあ、肩の力を抜いて、ちょっと風変わりなホラ話を楽しむが良いだろう。

0


書名 魔性の子
原題 Changering(1980)
著者 ロジャー・ゼラズニイBR> 訳者 池央耿
出版 創元推理文庫(1985/01/18)
分野 SF

「強大な魔力を持ち、長年に渡ってロンドヴァルに君臨した魔エデットが、不意討にたおれた。
魔王の血を継ぐただひとりの赤児は、すんでのところで命を助けられ、老妖術使いモ一の手で、遠い昔に魔法が忘れ去られた世界、すなわち地球の技術者の赤児と取り替えられた。
ふたりの子供は何も知らず、すくすく育ったが、運命の影は密かに思び寄っていた。」

扉作品紹介より
おもしれー、読んでも読んでも読んでも読んでも、今一つだったゼラズニイだが。
初めて絶賛できる作品に出会った。
なんかゼラズニイの読み方も判ったような気がする、
ファンタジーを読む気構えで読めばいいんだね、きっと。

追記
『地獄に堕した者ディルヴィシュ』の感想で面白かったと書いているし、
現に楽しんだ記憶はあるのだが、要はよほどゼラズニイの苦手意識が強かったのと、
『魔性の子』を読んだ印象が強かったのでしょう。

+1.9


書名 昭和は遠く
著者 松浦喜一
出版 径書房(1994/06/10)
分野 軍事

陸軍の特攻隊員だった著者がその当時の気持ちを分析を交えながら語っている。
読んでみて欲しい。



書名 外道の市
原題 Madwand(1981)
著者 ロジャー・ゼラズニイ
訳者 池央耿
出版 創元推理文庫(1985/12/13)
分野 SF

「意のままにならぬ七体の魔神像に落胆したポルを、ある日謎の魔術師が襲った。
危ういところで難を逃れたものの己れの腕の未熟さを痛感した彼は、折りから開かれる四年に一度の魔術師の大集会へ参加せんものと、盟友マウスグラヴとともに旅立つ。
そして旅の夜、七つの青白い炎がポルを奇怪な異世界の夢ヘと誘った……
『魔性の子』続編、遂に登場!」
裏表紙作品紹介より
やっぱり続編が正編を越えるのは難しいのだなあ。
『魔性の子』ファンのためのプレゼントにはなると思うのだが。

0


書名 ダミアの子供たち
原題 Damia's Children(1993)
著者 アン・マキャフリイ
訳者 公手成幸
出版 ハヤカワ文庫SF(1996/03/31)
分野 SF

「人類は友好的異星人ムルディニと協力して艦艇を送りだし、共通の敵〈ハイヴ〉の母星探索を続けていた。優れた超能力者ダミアの子供たちは幼いころからムルディニ人に親しんで育ち、〈ハイヴ〉探索の貴重な戦力となっていく。ある日、長男ティアンが乗った艦艇が〈ハイヴ〉の廃船を発見するが…!?」
裏表紙作品紹介より

書名 ライアン家の誇り
原題 Lyon's Pride(1994)
著者 アン・マキャフリイ
訳者 公手成幸
出版 ハヤカワ文庫SF(1996/06/15)
分野 SF

「敵対宇宙種族〈ハイヴ〉の主力をなす巨大球体船がついに発見された!
だが人類とムルディニは微妙な戦争観の相違から敵を目前に対立、
ライアン家の次男ロジャーは功を焦ったムルディニ側艦長の命に背いて
殺されかけ、失踪してしまう。かけつけたローワンたちは孫息子を救えるのか。
そして人類は〈ハイブ〉を打ち破ることができるのか……
類まれな能力に恵まれた一族の、銀河を股にかけた活躍を描くシリーズ待望の完結篇」

裏表紙作品紹介より
ローワンから彼女の孫までの3代にわたる物語もこれで一応のけりがついた。

-1


書名 ヤマト魂 −アメリカ・日系二世・自由への戦い−
著者 渡辺正清
出版 集英社(2001/08/08)
分野 軍事

この種の本としては、『ブリエアの解放者たち』という本を読んだことがあるのだが、
同じ題材を扱っていても、こちらの本はアメリカ社会における
日系人社会という点により重点を置いて書かれている。


書名 餓死した英霊たち
著者 藤原彰
出版 青木書店(2001/05/24)
分野 軍事

”餓死した英霊たち”について、かなり曖昧な書き方がされている。
それほど、記録が残っていないということなのだろう。
戦争に送って殺しておいて、そのことすら認識していないのは言語道断である。


書名 日本人はなぜ終戦の日付をまちがえたのか
著者 色摩力夫
出版 黙出版(2000/12/08)
分野 軍事

終戦は降伏調印をした日だということです。
著者が、終戦の日付ではなく、
日本は政治的には条件降伏であったにもかかわらず、なぜ無条件降伏だと受けとってしまったのかということに力を置いて書いている。


書名 猫の地球儀 −焔の章−、−幽の章−
著者 秋山瑞人
出版 電撃文庫(2000/04/24[幽の章])
分野 SF

終わりの方で宗教家が説得力のあることを言っている。
ころりと騙されて納得してしまったが。
宗教家の言うことが間違いであることは、このままではいずれ社会自体が
消滅する運命にあることからも明かだ。

+1


書名 宇宙大作戦 ヴァルカンの栄光
原題 Vulcan's Glory(1988)
著者 D・C・フォンタナ
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(//)
分野 SF

カークの前任者パイクの元での、新参乗組員スポックの活躍が描かれる、宇宙大作戦サイドストーリー。
スタートレックのサイドストーリーを今まで敬遠していたのだが、読んでみると、
案外面白いものだなあ。
0


書名 ソビエト航空戦
著者 飯山幸伸
出版 光人社(2003/10/16)
分野 軍事

ソビエト航空戦とはいいながら、主体は機体の解説です。
しかしながら、類書が無かっただけに出版がありがたい。
読んでいて既読感があって仕方かったが、類書を読んだ記憶もなく。
???だったが、つい4ヶ月前に読んだ『ミグ戦闘機』(私の感想)が犯人だった。


書名 ハートのタイムマシン!
著者 瀬名秀明
出版 角川文庫(2002/11/25)
分野 講演記録

著者の若者に向けての講演内容が書籍になったものです。
研究者としての自分と執筆者としての自分について語ったもの。
さて、『パラサイト・イヴ』でも読んでみるか。


書名 時の歩廊
原題 The Corridors of Time(1965)
著者 ポール・アンダースン
訳者 浅倉久志
出版 ハヤカワ文庫SF(1979/08/31)
分野 SF

「不当な殺人容疑で逮捕されていたマルカム・ロックリッジは,若くて美しい,見知らぬ女の尽力により無事釈放された。
彼女は一流の弁護士を雇い,莫大な費用をかけて勝訴にこぎつけたのである。
ストーム・ダロウェイと名のるその女から,ユトランド半島の地下道に埋められた秘宝の深索を依頼されたマルカムは,ただちにコペンハーゲンに飛んだ。
しかし,森林の奥深くにある地下道からふたたび地上にもどると,なんとそこは2000年前のユトランド半島だった!
時の支配をめぐって熾烈な戦いをつづける二大勢力−−
その時間戦争にまきこまれた−青年の運命は……!?」

扉作品紹介より

”タイムパトロール”物として扱えそうなものだった。
世界史に弱過ぎるなあ、私は。

0


書名 ブレイクの飛翔
原題 Timequest(1985)
著者 レイ・ファラデイ・ネルスン
訳者 矢野徹
出版 ハヤカワ文庫SF(1995/06/30)
分野 SF

「裸の背に白い翼を生やしたゾアたちは、時間流の中を自由自在に飛びまわる。
その一人ユリズンは、過去に手を加えて自らの理想郷を創りだそうと企て、18世紀の詩人ウイリアム・ブレイクを巻きこんで大規摸な歴史改変を開始した!
ブレイクの妻ケイトはこの計画を知るや、愛する夫を取り戻すためユリズンに必死の戦いを挑む。
かくして壮大な時間戦争の幕が切っておとされた……
謎とロマンに満ち溢れた、時間SFの新たな名作」


裏表紙作品紹介より

ブレイクを知らなくても楽しめると思う。
でも知っていなければこの本の価値はわからないんだろうなあと思のは。
余り面白くない。
それと、ちょっと長すぎですね。

-1

書名 マイン
原題 MINE(1990)
著者 ロバート・R・マキャモン
訳者 二宮磐
出版 文春文庫(1995/02/10)
分野 ホラー

「"ミスター・モジョは起きあがった。あの女はいまも涙を流している…。
ローリング・ストーン誌でこんな広告を目にしたとき、”神”からのメッセージ
だとメアリーは信じた。あの60年代の闘争の日々、リーダ一のロード・ジャックは
光り輝く”神”だった。その彼が自分を呼んでいる。あのとき彼に棒げることが
できなかった”供物”を求めて…」

裏表紙解説より
精神的に安定感を欠く女性が2人出てくるだけなんだが、どこがホラーなんだろう?。
マキャモン外れ多いなあ。

-2


書名 T2−未来からの侵入者−
著者 S・M・スターリング
出版 竹書房文庫(2002/12/)
分野 SF

映画ターミネーター2の後を継ぐ形のノベライズです。
ターミネーターが複数出てくるのだが、悪の怪人やロボットの数が
増えれば増えるほど反比例して弱くなってゆく法則がここでも適用されて、
物足りなさもある。
が、楽しく読めた。

-1


書名 時の迷宮
原題 Artifact(1985)
著者 グレゴリイ・ベンフォード
訳者 山高昭
出版 ハヤカワ文庫SF(1990/11/30)
分野 SF

「ギリシアで紀元前15世紀のミュケナイ文明の遺跡を発掘していたボストン大学の美人考古学者クレア・アンダースンは、同僚のジョージとともに驚くべきものを見つけた。これまでミュケナイ文明の遺跡から出土したこともない遺跡が、古代の王が埋葬されている墳墓に隠されていたのだ。それは、黒い石灰石でできた縦横一メートルの立方体だった。その側面には琥珀でできた長さ十センチほどの角が埋め込まれていた。これは三ヶ月にわたる発掘作業で最大の発見だった。だがこの苦労のすべてを水の泡にする事件がクレアたちを待ち受けていたのだ…!」
裏表紙作品紹介より

面白いぞ、ベンフォード。
前半は発掘作業の目新しさ、後半は荒れる特異点と、
それをが過去に生きていた人間達がどうとらえていたかを推定するところが。

+1

書名 天才アームストロングたったひとつの嘘
著者 ジェイムズ・L・ハルペリン
訳者 法村里絵
出版 角川文庫(1998/11/)
分野 SF

”たった一つの嘘”がどうにも読んでいる私には辛かった。
隠し事を守るために段々悪事がエスカレートしてゆくさまを見守るには、
感情移入しすぎていたようでいけなかった。

-1


書名 ヨブ
原題 JOB: A Comedy of Justice(1984)
著者 ロバート・A・ハインライン
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1995/08/31)
分野 SF

ハインライン晩年の長い小説を読むつもりは全くなかったのだが。
とりあえず読んでみたら、案外楽しく読めて驚く。
晩年のハインラインの小説を指してエロじじいとけなす文章を目にしたこともあったのだが。
別にエロいわけではない、無邪気に表現しているだけだ。

-1


書名 グラス・ハンマー
原題 The Glass Hammer(1985)
著者 K・W・ジーター
訳者 黒丸尚
出版 ハヤカワ文庫SF(1991/02/28)
分野 SF

”ガラスの彗星”が上から落ちてくる話を想像していたのだが。
落ちてこないじゃないかよ、違った、全く違った。

-1


書名 三つの小さな王国
原題 LIttle Kingdoms(1993)
著者 スティーヴン・ミルハウザー
訳者 柴田元幸
出版 白水Uブックス(2001/07/10)
分野 ファンタジー

3編が収められた短編集です。
「J・フランクリン・ペインの小さな王国」について。
主人公に向ってよかったねと声をかけたくなるようなエンディングを読むのは幸せだ。
架空の話に過ぎないとしても。

これは、ネイサンの『夢の国をゆく帆船』に非常に似ている。
ストーリー以外は同じものと言っても良いのではないのだろうか。

「J・フランクリン・ペインの小さな王国」は+1
「王妃、小人、土牢」と「展覧会のカタログ−エドマンド・ムーラッシュ(1810-46)の芸術」は0

書名 ヴィーナス・シティ
著者 柾悟郎
出版 ハヤカワ文庫JA(1995/12/15)
分野 SF

「森口咲子、26歳、現在独身。職業は不良会社員。そんなあたしが、 夜ごとコンピュータ・ネットワーク・ゲーム用の転換ルームをくぐ り抜け、男性のボディを身にまとうジェンダーさえもが望みど おりとなる、コンピュータ・ネット上に構築されたヴァーチャル都 市<ヴィーナス・シティ〉で多発する暴力事件は国際的情報犯罪の 布石だった。21世紀初頭、巨大ネットワーク国家となった日本を描 いた第14回日本SF大賞受賞作。」
裏表紙作品紹介より
日本における仮想現実物の初期の小説だと思うが、
この頃翻訳された海外の仮想現実物の小説が仮想世界のハードウェア的な仕組みに
興味の重点が置かれていたように思えるのに比べて、
この小説はそんな所に興味は持っていない、自由自在です。
その分、仮想世界における行動に制約がなく、ストーリー自体は面白い。
本当は、制約があった方が面白いはずなんだが。

0


書名 ドラッケンフェルズ
著者 ジャック・ヨーヴィル
出版 角川文庫(1992/08/)
分野 ファンタジー

「吸血鬼ジュヌビェーブ嬢は6世紀以上にも渡る長い生に退屈し
ていた。選帝侯の皇子オスバルト達の、大魔法使いドラッケン
フェルズ退治の旅に加わったのも、冒険を欲していたからだ。
血みどろの惨劇の末、彼らは遂にドラッケンフェルズの息の根
を止めた。帝国の危機は免れたのだった!
それから25年。オスバルトの下にかつての仲間が再会。ドラッ
ケンフェルズ砦の劇場であの冒険の旅が再現されるという。
幕は上がった。ところが本当に役者達が次々と何者かに殺され
てゆく...。それは見えない大きく邪悪な力と、ジュヌビエーブ
達の真の闘いの幕開けを意味していた!
超弩級ドラキュラ・ワールド大展開!」

裏表紙作品紹介より
これは素晴らしく出来が良い、序盤とてもありそうもないことが起こるので、
おかしいと思ったのだが、そのありそうもないことが惨劇につながってゆく。
話の仕掛けはだいたい見えていても、順次見えてくる仕掛けを登場人物たちがどう見出すか
どう反応するか、話の展開が早く、読んでいてあきさせない。

+2


書名 ストーンエイジ・COP
著者 藤崎慎吾
出版 光文社(2002/08/25)
分野 SF

裏表紙作品紹介より
コンビニ警官大活躍、変化した近未来の日本風俗描写の中、
コンビニ弁当を食す警官の様子ばかり印象に残った、
これだけ変わってないような気が・・・。
いやきっと中身は変わっているんだ。
ぬるめで良い感じのはーどぼいるどでした。
エンディングも良い感じだった。

0


書名 ラプラタ沖海戦
著者 酒井三千生
出版 出版協同社(1985/01/)
分野 軍事

ドイツの装甲艦グラフ・シュペーは自沈しなくとも結局捕捉されて撃沈されていたろう。
存在が暴露し軽快な軽巡2隻につきまとわれた時点で運命は定まっていたのだろう。
艦長のラングスドルフは部下の命を救ったことになる。

今でも入手可能なラプラタ沖海戦に関する唯一の本でしょう、価格が980円と安価なのもありがたい。

書名 ゲーリング言行録
著者 金森誠也
出版 荒地出版(2002/09/20)
分野 軍事

ニュールンベルク裁判でゲーリングが弁護士に語ったことを中心に紹介されている。
ドイツ空軍自体にはあまり触れられていない。

書名 ハルヲの戦争 −清水艦砲射撃−潜水艦ではない−
著者 渡邊晴朗
出版 文芸社(2002/08/15)
分野 軍事

昭和20年の清水に対する艦砲射撃に関する本です。
非常に詳細に調査されている。

書名 艦艇学入門 −潜水艦−
著者 石渡孝夫
出版 光人社NF文庫(2003/08/14)
分野 軍事

潜水艦に関する種々の薀蓄が書かれている。
村上水軍に関する文献に記されているものから、旧日本海軍の潜水艦まで
扱われる範囲は広い。
特に初期の潜水艦史についてよくわかると思う。

書名 日英同盟
著者 平間洋一
出版 PHP新書(2000/06/05)
分野 軍事

関榮次著の日英同盟(私の感想)と読み比べてみると、日英同盟が解消された原因が第一次世界大戦における
日本の自国の利益を追求する態度に単を発することに関しては一致しているが。
同盟の存在意義自体は両者の述べていることに相違があるところもあり、両方読むと 面白いと思う。

書名 異形家の食卓
著者 田中啓文
出版 集英社文庫(2003/02/25)
分野 ホラー

「国際会議のため未日した、ゾエザル王国の外務大臣・ジュサツ。
独裁国家に対する強い風当たりにもめげず、常に笑顔をたやさない彼を
癒す、おぞましいストレス解消法。つぷれかけたフレンチ・レストランを
救った、魅惑の食材の正体。一家団簗のテーブルで告白される、悪食の数々
など、全11篇。異才が贈る、駄酒落XホラーXグロテスクのフルコースを召し上がれ。」

裏表紙作品紹介より

ぐちゃぐちゃでどろどろの食卓であった。
しかし、食卓のメニューにバラエティが乏しくかなり物足りなかった。
これではグルメじゃない、…とは言っても、彼らは別にグルメ気取っているわけじゃないから、いいのか。

ユーモアあるぐちゃぐちゃがお好きな方は楽しめるのではないだろうか。

-2

書名 真珠湾攻撃
著者 淵田美津雄
出版 PHP文庫(2001/05/)
分野 軍事

真珠湾攻撃の飛行隊総指揮官による手記です。
驚いたことに2年半前刊行の本がもう品切れになっている。
価格も安いので一度は読んでおくといいと思うと書きたいのに。

書名 エリアンダー・Mの犯罪
現題 Elleander Morning(1984)
著者 ジェリー・ユルスマン
訳者 小尾芙佐
出版 文春文庫(1987/01/10)
分野 SF

SFとはいっても、これはミステリファンの方が楽しめると思う。
第二次世界大戦のなかった世界に存在した第二次世界大戦に関する本。
なんて良く出来た偽書なんだろうと読む人の様子が面白かった。

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書名 宇宙大作戦 新たなる航海
原題 Star Trek: The New Voyages(1976)
編者 サンドラ・マーシャク、マーナ・カルブレス
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/05/31)
分野 SF

宇宙大作戦のサイドストーリー短編集。
玉石混交ではなくて収録短編それぞれ楽しめた。
宇宙大作戦のキャラクター設定がしっかり出来ているからだろう。
特に宇宙大作戦に出演した俳優が撮影中に実在のUSSエンタープライズ号の船内に
行ってしまう奴が面白かったが、こんな楽屋落ちを面白いと感じる自分には問題があると思う。

0


書名 時に架ける橋
原題 A Bridge of Years(1991)
著者 ロバート・チャールズ・ウィルスン
訳者 中野善夫
出版 創元SF文庫(2000/02/25)
分野 SF

購入したワシントンの田舎の家の地下に
1962年のニューヨークに繋がるトンネルがあった。
かつてその家にはトンネルを監視する番人が住んでいた。

フィニイにようにノスタルジックでもなく、シマックのように牧歌的でもないのは意外だった。

トンネル利用者に対して謎の襲撃者がいるのです。
その襲撃者やトンネルの番人を含め、色々と謎が多く、読んでいて飽きない。

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書名 外人部隊の女
原題 Tomorrow to be Brave(2000)
著者 スーザン・トラヴァース
訳者 高橋佳奈子
出版 新潮社(2003/09/25)
分野 軍事

自由フランス軍の兵士として北アフリカなどで戦った著者の手記。
北アフリカ戦域での兵士の手記はあまりみないのでありがたい。
戦後一緒に戦った外人部隊に入隊している。


書名 天空の遺産
原題 Cetaganda(1996)
著者 ロイス・マクマスター・ビジョルド
訳者 小木曽絢子
出版 創元推理文庫(2001/9/28)
分野 SF

ヴォルコシガンシリーズ屈指の地味さで、物足りなかった。
セタガンタの社会機構がこの巻の売り物で、なるほどなーという
システムになっていて、この辺りは読みでがある。

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書名 フェミニズムの帝国
著者 村田基
出版 ハヤカワ文庫JA(1991/12/31)
分野 SF

男性と女性の社会的立場が逆転した未来をエンターテイメントに徹して書かれている。
そんな社会でも自分の人生にはあまり影響ないかもしれない。
本を読むのに影響ないし。


書名 星の綿毛
著者 藤田雅矢
出版 早川書房(2003/10/31)
分野 SF

綿毛がどんなメカニズムで星の世界に進出できるのか、
その説明が不充分で納得がいかないし、ラストシーンにも何の感動もないのだが。
それを抜きにしたら、読みやすく面白いファンタジックなSFになっている。

-1


書名 硫黄島 −太平洋戦争死闘記−
著者 R.F.ニューカム
訳者 田中 至
出版 光人社NF文庫(1996/02/)
分野 軍事

古くから日本で紹介されていた本で後発の本に引用されている部分も多い。
現在でも存在価値は減じていないと思うが。

それにしても、なんと無駄な命の浪費か。

書名 夜が明けたら
著者 小松左京
出版 ハルキ文庫(1999/11/18)
分野 SF

「夜が明けたら」「空飛ぶ窓」「海の森」「ツウ・ペア」「真夜中の視聴者」
「葎生の宿」「秘密」「保護鳥」「安置所の碁打ち」「兇暴な口」「沼」
「猫の首」「腐蝕」「青ひげと鬼」「牛の首」「黄色い泉」「怨霊の国」
を収録

SF度は低い、「夜が明けたら」などSFに仕立てたらもっと恐い作品に
仕上っていただろうと思う。
が、そこに言及しつつばっさりと切って捨てている。
他でもない小松左京がそう書くことを選んだのだから
、 へへーっと平身低頭するしかないです、文句なんて言えませんよ

今まで余り読んでこなかった小松左京だが、面白かった。
話のバリエーションも多彩だし。
それに文章が平易で読みやすい。
他にも読んでみたいと思う。

+1.5

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