2003年06月の読書感想


書名 太陽強奪
原題 The Star Stealers and other Stories(1929)
著者 エドモンド・ハミルトン
訳者 野田昌宏
出版 ハヤカワ文庫SF(1972/03/31)
分野 SF

「赤色巨星アルトが奇怪にも突然針路を変え,わが太陽系めざし接近をはじめた。
このまま進めば,衝突は一年以内だ!
急遽〈八星連合〉最高評議会より派遣されたジャン・トール以下八名の遠征隊は,
やがてアルトの周囲に一個の惑星を発見。
だが,偵察中,謎の光線に宇宙船を吸い寄せられ,
無気味な都市の真只中に墜落する……!
赤色巨星,燃える星雲,暗黒星,巨大彗星,透明宇宙――
次々襲い来る異世界よりの敵に,敢然立ち向かう星間パトロールの勇者たち!
巨匠ハミルトンが得意のスペースオペラに縦横の筆をふるった,
傑作シリーズ待望の続巻!」

扉作品紹介より

宇宙にエーテルが満ちていたり、冥王星が発見されていなかったり、執筆年代を感じさせる古い小説ですが。
”激突する太陽”とか”太陽強奪”ですからね、勢いが違います。
似たようなプロットが並んでいるような気がしないでもありませんが、迫り来る太陽の迫力の前には些細なことに感じられます。
いやー、凄いというか豪快です。
0


書名 ミグ戦闘機
著者 野原茂
出版 サンケイ第2次世界大戦ブックス(1976/10/29)
分野 軍事

ソ連の軍事航空小史になっている。
とりあえず、これを地盤にして次の段階に進みたくとも、そういった本の出版されていない日本の出版状況の侘しさよ。


書名 ロッキード戦闘機
著者 鈴木五郎
出版 サンケイ出版1976/04/30)
分野 軍事

ロッキードの航空開発史、200ページのボリュームにコンパクトに収まっている。


書名 神竜特別攻撃隊 −潜水空母搭載「晴嵐」操縦員の手記−
著者 高橋 一雄
出版 光人社(2001/08/)
分野 軍事

乙飛行予科練6期出身の方なので太平洋戦争時は大変ベテランの方です、戦闘機搭乗員でいうと201空にて戦没された近藤任氏がこの期にあたりますね。
開戦を利根の水偵搭乗員にて迎え、その後潜水艦搭載の水偵搭乗員、内地での教員、横空でのテストパイロットを歴任終戦を書名にもあるとおり潜水艦搭載の晴嵐搭乗員として迎えます。
零式小型水偵では敵根拠地の偵察を敢行し生還しています。
潜水艦はこの機を分解して再び収容していますが、危険なことをするのだなと思いました。
晴嵐搭乗員の時には特攻を指示されていますが、他の方法を検討もせず何が何でも特攻を行うのだとする指示側の態度には怒りを覚える、”お前から先に死んでみせろ”。
唯、著者は特攻の任務につくことを拒否したりはしなかった、その気持ちはこの本の中に書かれている。

航空戦史に興味のある者にとって非常に勉強になる本でした。



書名 指揮官たちの特攻
著者 城山三郎
出版 新潮社(2001/08/05)
分野 軍事

この本の主役は中津留大尉と関行男大尉だが、今回は脇に登場する山下博大尉について触れたいと思う。

山下大尉が中津留大尉を殴ったことがあったことが紹介されている、この情景を著者は”・・であろう”、”だからこうなっていったであろう”と山下大尉と中津留大尉の心境を類推しているが、であろうと書くことによって、これが推定であることを明示している。
この辺りの心配りはさすがというべきで、小説形式に書かなかった著者の執筆態度は偉いことだと思う。

山下大尉は特攻に出撃する前「おれが死んでも戦況は変らんのだがなあ」と漏らしていたという、現場の指揮官として責任ある行動をとって死んでいった山下大尉は尊敬できる人物だと感じる。
しかし、このような気持ちを抱いたまま死なねばならなかった山下大尉のことを思うと哀しいと感じる。
死ぬな、生きよと声をかけることすらかなわぬ、過去の出来事。
(本当にそんな声をかけたら顔が変形する程殴られるような気がしないでもない・・・そんなイメージが山下大尉にはあるんだけど)。

書名 天皇の決断 −昭和20年8月15日
原題 Japan the final agony(1970)
著者 アービン・クックス
訳者 加藤俊平
出版 サンケイ第2次世界大戦ブックス(1971/07/27)
分野 軍事

著者は『ノモンハン』の著者の方ですね。
『ノモンハン』は読んでいませんから、この著者の本を始めて読むことになります。
昭和20年における日本の内情を紹介しつつ敗戦に至る経緯を手堅く纏めて紹介している。

本読みの私に一番印象深かったのが次の取るに足らぬエピソードでした。
空襲下の日本において明日命がないやもしれぬ状況下で、本を読む父親に向い不思議に感じた子供が尋ねます、この後に及んでなぜ本を読むのでしょう?。
父親は答えます、命があるうちに読んでおきたいのだよ、読んでおきたい本が後3冊あるのだ、と。

書名 新司偵
著者 碇義朗
出版 サンケイ第2次世界大戦ブックス(//)
分野 軍事

陸軍の司令部偵察機史です、現在では増補のうえ光人社より刊行されていますから読まれる方はそちらを読んだ方が良いでしょう。
この本は戦史の方にかなり力が注がれて執筆されているので、私にはかなり満足度の高い本でした、どうして刊行時に読んでおかなかったのだろう。
メカ的な事に興味がある方にも、排気タービン付の4型の事などきっと興味のある記事はあることでしょう。


書名 マッカンドルー航宙記
原題 The McAndrew Chronicles(1983)
著者 チャールズ・シェフィールド
訳者 酒井昭伸
出版 創元推理文庫(1991/04/30)
分野 SF

「日々、マイクロプラックホールとたわむれる変人科学者、マッカンドルー博士。奇矯な性分で知られるこの男こそは、太陽系でも最高の頭脳をもつ天才物埋学者であった。
やがて彼自身が開発した画期的な航行システムの宇宙船を駆り、相棒の女船長ジーニ一と共に大宇宙に乗りだすが……
二人を待ち受ける驚異の事件の数々!科学者である著者がその才能を遺憾なく発揮した傑作ハードSF。」

裏表紙作品紹介より
上手い、上手過ぎるぞ、シェフィールド、ハードSFというから、歯ごたえありすぎて、齧ったら歯が欠けそうなガチガチのSFだと思っていたら、スペースオペラ風味もタップリで、マッドサイエンティストも居るしね。
シリアスな中にも乾いた笑いを誘う中で、ほんのちょっぴり隠し味に入っている、人情味あるところがいいんだ、いいんだよ。

+2.5


書名 コンピュータが死んだ日
著者 石原藤夫
出版 徳間文庫(//)
分野 SF

古いSFなんだけど、現在の目から見てもそれほど違和感はない(巨大コンピューターの存在など些細な相違はあるが)、それはこの著者の未来予測力が優れていたことになるんだろうけれども。
しかし執筆当時驚きに満ちていたであろうこの未来社会も今更驚く所も何も無く。
さして面白くもない小説に成り果てている。

-1


書名 惑星救出計画
原題 The Planet Savers(1962)
著者 マリオン・ジマー・ブラッドリー
訳者 大森望
出版 創元推理文庫(1986/10/24)
分野 SF


ダーコーヴァ年代記の第1巻、とはいっても、これ1巻だけで、きっちり話の結末はついているし、おまけに短いから余計なことを読む必要はないし、満足だ。
0


書名 幻惑の極微機械
原題 Deception Well(1997)
著者 リンダ・ナガタ
訳者 中原尚哉
出版 ハヤカワ文庫SF(1999/02/28)
分野 SF

「遥かな未来、太古の殺し屋種族チェンジーム人が残した
攻撃機械やナノマシンによって、人類は絶滅の危機においこまれていた。
なんとか生き延びて委員会星団で暮らしていた人々は、強力な指導力
を持つジュピター・アポリナリオに率いられ、宇宙船ネセレス号に
乗り、人類の理想の地であるという陥穽星をめざしたが……
ローカス賞受賞作『極微機械ボーア・メイカー』の著者が
未来世界を舞台に壮大かつ華麗に描きだす冒険SF」

裏表紙作品紹介より

『極微機械ボーア・メイカー』がつまらなかったから、手を出すのをやめたという方にこそ、勇気を出して読んでみて欲しい。
こっちはとても面白い異世界冒険SFになっている。
+1.5


書名 機関銃・機関砲
著者 岩堂憲人
出版 サンケイ出版(1982/04/15)
分野 軍事

興味のない事だと全然頭の中に入ってこない、ちんぷんかんぷんだ。
日本軍の重機関銃は塗油機構がある時点で既にダメだそうで、このような物がなくとも動作べきだそうだ。

全般的に銃の性能の説明に重点が置かれており、実際に使用された状況についてほとんど言及されていないことには不満足に思う。

書名 ウエポンズ・アド
著者 西村直紀
出版 グリーンアロー出版社(1988/10/20)
分野 軍事

第2次世界大戦中にアメリカの航空会社の広告記事を紹介したもの、解説としてその対象となった航空機と会社についての説明もきちんと書かれている。
良書だと思うし、このような広告記事をよく集めたものだと驚くが。
いかんせん、私自身が興味を持っていないがないので何も感じない。

書名 コマンド
原題 Commando(1969)
著者 ピーター・ヤング
訳者 芳池昌三
出版 サンケイ出版(1973/01/29)
分野 軍事

イギリスのコマンド部隊の戦史です、この部隊に関する本は日本ではほとんど紹介されていないし、私も初めて読むため、非常に興味深く読めた。
ディエップの上陸作戦においてドイツのレーダーを捕獲したという事を聞いたことがあるのだが、この本にはそれについては触れられていなかった、捕獲記事自体がガセなのだろうか、どうだろう?。

書名 黒シャツの独裁者
原題 Mussolini(1972)
著者 クリストファー・ヒッバート
訳者 加藤俊平
出版 サンケイ出版(1973/02/28)
分野 軍事

この本を読む限りではムッソリーニが戦争指導者として箸にも棒にも掛からない人物のように思える。
実際はどうであったか判らないが、そんなイメージのある人物ではある。
イタリアがどういうつもりで戦争に関わっているのか作戦を行っているのか概略ながら知るには良い本ではないかと思った。

書名 クルスクのパンター
原題 (2000)
著者 マクシム・コロミーエツ
訳者 小松徳仁
出版 大日本絵画(2003/07/05)
分野 軍事

ソ連崩壊後公開された資料によって研究発表された本の一つ、日本にもようやく翻訳されるようになってきた。
ノモンハン航空戦の研究を誰かが出版してくれないものか、もし存在するなら翻訳出版されないものだろうか。
さて、クルスク戦が初陣となったパンター戦車の調査をソ連軍が行っているのだが、その調査はかなり徹底して行われたように思える。
鹵獲した戦車の全ての損失原因について調査し、この戦車に対する対応作が小冊子としてまとめられている。
写真も豊富(というかそればかり)でモデラーに喜ばれる本だろう。

書名 V1号V2号 −恐怖のドイツ秘密兵器−
原題 German Secret Weapoms(1969)
著者 ブライアン・フェード
出版 サンケイ出版(1971/06/30)
分野 軍事

V1号、V2号に限らずドイツの各種変りだね兵器についての本、出版半月後の7月16日にはもう9刷になっているので、出版当初はずいぶん売れた本のようだ。
現在ではわざわざこの本を探さないでも類書はいくらでも手に入るだろう。


書名 進化の使者
原題 AMBASSADOR OF PROGRESS(1984)
著者 ウォルター・ジョン・ウィリアムズ
訳者 坂井星之
出版 ハヤカワ文庫SF(1989/09/30)
分野 SF

「星界を征服し、あまたの植民星を築いた人類に、災厄がふりかかった。
度重なるワープ航法が空間を歪ませ、時空から秩序が失われた結果、
大半の植民星が孤立化を余儀なくされたのだ!
地球文明と切り離された人々は、やがてみずからの出自も忘れていく……
そうした星の一つ惑星エキドナにひとりの旅人が訪れた。
中世さながらの状態にとどまっているエキドナの住民にとって、
惑星イガラから訪れた旅人フィオナが語る星の世界の物語は、想像を絶するものだった。
そのおりもおり、エキドナに史上最大規模の戦乱が発生した!
新鋭が描くSF叙事詩」

裏表紙解説より

”進化の使者”っていうから人類が変貌してゆく小説かと思ったのだが。
異世界ミリタリーチックファンタジーと呼ぶのがいちばん相応しいのだろうか、その部分に一番重点が置かれているし面白い。
しかし、もっと面白く感じたのは孤立した惑星の人々とそこにやってきた文明をもたらす使者との異文化を通しての交流だった。
最初はこの部分から始まるので、ル・グインの小説を連想したが、どんどん違う方向に行ってしまった。

ウォルター・ジョン・ウィリアムズは今の所はずれがない、最近出版されたスターウォーズのノベライズも面白いことだろう。
+1.5

書名 空洞地球
原題 The Hollow Earth(1990)
著者 ルーディ・ラッカー
訳者 黒丸尚
出版 ハヤカワ文庫SF(1991/08/31)
分野 SF

「1830年代、南北戦争前のアメリカ・ヴァージニア州の少年メイスンは、ひょんなことから殺人をおかしてしまった。
逃げまわるメイスンが出会ったのは、なんと崇拝する作家エドガー・アラン・ポウ。
この奇矯な天才との運命的な出会いが、メイスンを驚異の旅へいざなうことになった−−
地球内部にひろがる広大な空洞を探険する冒険旅行へと!
鬼才が自由奔放な想像力で先達ポウに挑み、SF界の絶賛を博した傑作、ついに登場」

裏表紙作品紹介より
空洞地球に入りこんでからよりもその前の方が面白かったのですが、「狂犬の夏」といい『少年時代』や『テラプレーン』といいよほど”古き悪き南部アメリカ小説”が水に合ってるようです。
それはそうと、この小説エドガー・アラン・ポウについて良く知っているなら存分に楽しめるでしょうが、知らなくとも十分に面白かったです。
うーむ、しかし、どこまで本当でどこからフィクションなのか?。
1.5

書名 ヨーロッパで最も危険な男
原題 Skorzeny(1967)
著者 チャールズ・ホワイティング
出版 サンケイ出版(1973/06/30)
分野 軍事

独軍の特殊部隊の指揮官であるオット・スコルツェニィについての本です。
ムッソリーニを救出した際の立案者として有名な人だが、ドイツの頽勢を挽回するには彼とその部隊の力だけでは遺憾ともしがたかった。

書名 スターウォーズ・クロノロジー 上
著者 ケヴィン・J・アンダースン、ダニエル・ウォーレス
出版 ソニー・マガジンズ文庫(2002/05/30)
分野 SF

映画スターウォーズからは種々外伝が小説やコミックの形で派生し、それによスターウォーズの歴史や世界が形作られるようになっている。
この本はそのスターウォーズ世界の歴史を紹介するものだが、つまり日本においても出版されているノベライズ達の粗筋紹介にもなっている。
だから、そのノベライズを読む上でのサブテキスト、つまりその本で語られていない暗黙の了解などを知るためには良いのだろうと思う。
その反面あらすじが判って読むことになってしまうので面白さも半減になってしまう危険性もあるので注意が必要な本のようです。
上巻は映画の「ジェダイの復讐」の少し後まで扱っている、下巻を読むのは後回しにしようと思っている、楽しみは外伝小説を読むまでとっておくことにして。

書名 アブロ・ランカスター
著者 鈴木五郎
出版 サンケイ出版(1974/10/04)
分野 軍事

イギリスの4発重爆ランカスターについての本です。
この前ある方と話をした時にランカスター によるティルピッツ撃沈の話題が出たのですが、その方は10トン爆弾を投下したと言いました、私は6トン爆弾だったと記憶していたので、10トンも搭載できましたっけ?と疑問を呈したのですが、10トンですと断言されました。
さて実際にはどうであったかと言うとランカスターには10トン爆弾を搭載することはできました、この爆弾をグランドスラムと言います。
ただし、ティルピッツ爆撃に使用されたのは5.4トンのトールボーイと言う爆弾でした(四捨五入しても6トンにならんやないか)。
かほどに、人の記憶は当てにならないということですね。


書名 ガイア -母なる地球
原題 Earth(1990)
著者 デイヴィッド・ブリン
訳者 酒井昭伸
出版 ハヤカワ文庫SF(1996/02/29)
分野 SF

「2038年。若き天才物理学者アレックスはマイクロ・ブラックホールの生成に取り組んでいた。
これが完成すれば画期的なエネルギー源となる。
ところが思わぬ事故でブラックホールが地中へ落下、このままでは地球は内部から食いつくされてしまう!人口爆発や深刻な環境汚染などの危機的状況に加え、さらなる致命的な壊滅の危機に直面した”母なる地球”を救うべく、アレックスたち科学者チームは絶望的な戦いに乗り出すが!?」

裏表紙作品紹介より。
ガイア論や環境問題なんかはどうでもいいから”思わぬ事故でブラックホールが地中へ落下”という部分に力点を置いた小説になっていればなあ、と思う。
終盤のカタストロフを盛り上げるためには必要な書き込みだったと思うけれども、そのために1200ページも読まされるのは辛い。
もう、いらない部分は、ばっさり削ってしまえば、いいじゃないか。

0


書名 ドイツの火砲
著者 広田厚司
出版 光人社NF文庫(2002/12/16)
分野 軍事

野砲、対戦車砲から装甲列車、対空砲とレーダーまでドイツの火砲全般に渡って紹介されています、文庫本なのでリーズナブルですし興味のある方にはおすすめです、私は読んでいる途中で混乱してどうでもよくなりました。
興味の無い者にとってはつらい本だ。


書名 戦闘爆撃機「モスキート」
著者 エドワード・ビショップ
訳者 野田昌宏
出版 サンケイ出版(1973/10/30)
分野 軍事

モスキートの艦上機型の存在は知っていたが、それが10000トン強の護衛空母に搭載して対日戦に準備していたというから驚きました、よく発艦できたなあというか、10トン爆弾を搭載させたランカスターといいイギリス人は豪快だなあ。

小松左京のSF『復活の日』に双発の木製飛行機が出てきて、昔の航空雑誌にこれはモスキートに違いないと書いてあるのを見たことがあったが、訳者後書きに『復活の日』にモスキートを登場させていると小松左京自身が語っている旨書いてありました。
そうか実際にモスキートだったのか。


書名 太陽の闘士
原題 The Prodigal Sun(1999)
著者 ショーン・ウィリアムズ、シェイン・ディックス
訳者 小野田和子
出版 ハヤカワ文庫SF(2002/10/31)
分野 SF

「人類の宇宙進出からおよそ50万年。
多くの種に分化した人類は幾多の星間国家を築いている。
そのなかのひとつ、帝国連邦の女性情報将校ロシュは
AI輸送の任務で囚人護送艦に便乗していた。
だが囚人の護送先の惑星シャッカで艦は突如、
敵国ダート・ブロックの艦隊に襲撃された!
破壊されゆく艦からロシュは脱出を試みるが……
オーストラリアの俊英コンビが、緻密に構築した世界観
のもとに描く、迫力の冒険SFシリーズ開幕」

裏表紙作品紹介より
逃げても逃げても追ってくる敵、ターミネーター的な展開になるかと最初は思いました。
、 まあ色々と事件が起こりまして、楽しみました。
で最後にメンツが揃ってさあこれからだ。といった期待をはらみつつ終わるのでした。
続編が訳されたら喜んで読むでしょうね。
でも続刊がなくとも落胆しないかもしれない、映画の荒野の7人でも仲間が勢ぞろいしたところが一番面白かったもんね。

+1


書名 巡洋艦・高雄と共に
著者 山本佳男
出版 旺史社(2003/04/29)
分野 軍事

昭和19、20年と巡洋艦高雄に乗艦しておられた方の手記です。
ベナンにおいて空襲をかけるB−29に対し攻撃をかける2機の零戦の姿が出てくる。
これこそ、B−29を迎撃した強風の姿ではないだろうか。
この方面において零戦による迎撃があったのかどうかは知りませんから確信を持っているわけではないのですけれども。


書名 プレシャス・ライアー
著者 菅浩江
出版 光文社(2003/06/30)
分野 SF

”仮想現実物”には飛びぬけて面白い物はない、わすかではあるが、今まで読んだ”仮想現実物”SFから思っていることですが、この本も例外ではないなと中盤にさしかかるまでは思っていた、それどころか凡作ではないかと。
しかし終盤その考えは覆された、確かに目を見張るような”新規性”はないのかもしれない、しかし、”仮想現実物”自体が目新しくそれを扱うことを主眼としていた時代から脱しつつあるのかもしれない。
バーチャライズド・マン というこの分野の先駆けを去年になって読んでいる体たらくだから、的外れな感想かもしれませんね。)

+1


書名 戦う翼
著者 ジョン・ハーシー
訳者 吉良 忍
出版 朝日ソノラマ(1988/05/)
分野 小説

1943年8月のシュワインフルト爆撃に向う1機のB−17の搭乗員達を主人公にした小説。
どこまで本当らしい小説になっているのかは、さっぱり見当がつきませんが、それらしさを感じさせる面白い小説になっていました。


書名 母なる夜
原題 MOTHER NIGHT(1961、1966)
著者 カート・ヴォネガット・ジュニア
訳者 飛田茂雄
出版 ハヤカワ文庫SF(1987/01/15)
分野 SF

「第二次大戦中、ヒトラーの宣伝部員として対米ラジオ放送のキャンペーンを
行なった新進劇作家、ハワード・W・キャンベル・ジュニア−−はたして彼は、
本当に母国アメリカの裏切り者だったのか?戦後15年を経て、ニューヨークは
グリニッチヴィレジで隠遁生活を送るキャンベルの脳裡に去来するものは、
真面目一方の会社人間の父、アルコール依存症の母、そして何よりも、美しい女優
だった妻ヘルガへの想いであった……
鬼才ヴォネカットが、たくまざるユーモアとシニカルなアイロニーに満ちた
まなざしで、自伝の名を借りて描く、時代の趨勢に弄ばれた一人の知識人の
内なる肖像」

裏表紙解説より
ドレスデンの大空襲、著者が繰り返し語るこの恐るべき記憶は、この本においても重要なキーワードとなる。
忘れてはならぬ、繰り返してはならぬ大殺戮の記憶だ。

ところで、私にはこの小説のどこがSFなのかさっぱりわからなかったのでした。
-3


書名 あゝ飛燕戦闘隊
著者 小山進
出版 光人社NF文庫(//)
分野 軍事

凄惨なニューギニア航空戦を戦った戦闘機搭乗員の手記。
読んでいると、あんまり負けている気がしない。
(すいません、でも正直な感想です)。
飛行の軌跡が図示されているので状況が判りやすい。
ニューギニア航空戦の途中でこの手記は終わる、書くのが辛いことがその後起こったのだろうか。


書名 アメリカ潜水艦隊
原題 The American Submarine(1981) 著者 ノーマン・ポルマー
訳者 手島尚
出版 サンケイ出版(1982/06/15)
分野 軍事

再読らしい、というのは、記憶に残っていないからです
水深200メートルを遙に越えて潜水することがあるドイツの潜水艦と比べ。
100メートルも潜れれば御の字な日本の潜水艦はその点だけを見ても見劣りがするが。
アメリカの潜水艦も100メートル強の潜水能力だったようだ。
最も100メートル潜るのが画期的な兵器と、着実にできる兵器の差は歴然としているのだが。


書名 神々の座を越えて
著者 谷甲州
出版 ハヤカワ文庫JA(1999/10/15)
分野 SF

「スイスに滞在していた登山家の滝沢は、自らのミスで遭難事故を起こし、
苦しい立場に立たされる。そんな折り、旧友でありかつてともにヒマラヤを
毎駆けたチベット独立運動の闘士ニマの窮地を告げる手紙を受け取り、滝沢は
ヒマラヤへ向かう。手紙を出したのは、ニマが自分の父親ではないかと疑う
日本人女性、摩耶。滝沢は彼女とともに政治の罠が待ち受ける苛酷な山々ヘ
踏みこんでゆく。雄渾の筆致で描く迫力の山岳冒険小説。」

裏表紙解説より
『遙かなり神々の座』(私の感想)
の続編です。
銃でドンパチやってる所よりも山に登っているシーンの方が迫真で、凄いと思いました。
地味な設定の小説が多い作家ですが、手練の作家というイメージはこの本においても崩れなかった、お勧めです(SFじゃないけど)。

+1


書名 ブギーポップは笑わない
著者 上遠野浩平
出版 電撃文庫(2000/01/)
分野 YA

複数の人間の視点から”ブギーポップ”という人物の実像が明かになってゆく、そんな構成を口絵から知り期待した。
けれども、”スパスパ人が死んで行くな”、それしか感じなかった。

-1.5


書名 空母瑞鳳の生涯
著者 桂理平
出版 霞出版社(1999/10/25)
分野 軍事

空母瑞鳳に昭和19年初期から捷1号作戦において沈没するまで乗艦していた著者が綴った空母瑞鳳の生涯です。
かなり詳細に書かれているので満足の一品です。
現在流通している本なので未購入の方は買っておいた方が良いでしょう。

マリアナ沖海戦において多数の未帰還機が出たことは重々承知の上でも、瑞鳳における戦闘爆撃隊の隊員19名全員が6月19、20日のわずか2日間で戦死していることいは、戦慄せざるを得ない。
その戦闘爆撃隊員達のかなり鮮明な集合写真が掲載されているのだが、皆若い顔をしている、幼ささえ感じられる顔も混じっているのを見て、涙が滲んできた。
その指揮官伊藤大尉の遺骨箱(迎撃に出撃して帰還しなかったのであるからもちろん遺骨は入っていない)を抱いて著者は上陸する、涙が止まらなかったと言う、そうだろう、毎日晩酌に付き合わされていた人の遺骨箱なのだから。

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