2002年3月の読書感想


書名 真珠湾艦隊2 追撃編
著者 川又千秋
出版 徳間書店(1996/10/31)
分野 仮想戦記

日本影響下の真珠湾に対する米軍の空襲で始まる太平洋戦争。
2巻を終わって未だ開戦当日です。
続刊が出そうにもなく企画倒れになっているようです。
と思ったけど「真珠湾艦隊」だからこれで完結しているのかな。


書名 白い迷宮
著者 田中芳樹
出版 講談社(2001/01/10)
分野 YA

「夏の魔術」 シリーズの3作目、夏、秋ときて今回は冬 が舞台です。
あんまり面白くなかったかなー。


書名 フラックス
原題 FLUX(1993)
著者 スティーヴン・バクスター
訳者 内田昌之
出版 ハヤカワ文庫(1996/01/31)
分野 SF

「強カな磁場を持つ中性子星<スタ一>の内部では、体長約10ミクロ ンの微小な人類が驚くべき都市を形成していた。
だが近年、グリッチと呼はれる星震現象が頻発し、人類の居住域は徐々に崩壊しつつあった!想像もつかないほど強大な何かかくスター>を騷がせているのか?その陰には宇宙の支配的種属ジーリーに関わる重大な秘密が・・・・・・
以上、裏表紙あらすじより抜粋。

小説が下手だとか言われているバクスターですが、そんな事は些細な事だと思う。
例えばこんな会話が文中にあるのですが 「じゃあ質問よ。どうして木の葉はこんなにおいしいんだと思う?」
ファーはちょっと考えこんだ。
「陽子がいっぱい詰まってるから」
デュラは真顔でうなずいた。
「ほぽ正解ね。じっさいは陽子の豊富な同位体のおかげなの−
クリプトンや、ストロンチウムや、ジルコニウムや、モリブデン……重い鉄だってすこしあるのよ。
たとえば、クリプトンの原子核には一○八個の陽子があるけど、あたしたちの体の錫の原子核にはそれぞれ五○個しかないわ。
あたしたちの体は燃料として陽子を必要とするの」
重い原子核は人間の胃のなかで核分裂を起こす。
陽子はエアのなかの中性子と結合して、さらに錫の原子核をつくりだし−−錫はエアのなかでもっとも安定した原子核だ−!その過程でエネルギーを放出する。」

確かに美しくない文章だと思う、技巧に優れた人はもっとうまく書けるだろう。
だが、中性子星の内部に生きる身長10ミクロンの人類の物語、こんな小説が書ける作家が他に何人いるというのか。
小説が下手でも、お話自体は無茶苦茶面白いわけでなかろうと、ハードSFが書けるという貴重な資質をこの人は持っているのだ。

中性子星の内部に生きる人々のメンタリティは驚くほど現在の私達人類と似ています。
人と同じ型をしていることは不便極まりないのですが、人と同じメンタリティでは住むには過酷すぎるのですが。
彼らはそのように作られたから、現在の人と同じように生きるのです。
彼らはある役割を持って作られた人類なのですが、その目的のためだけに作られた人々だとは思えない、思いたくない。
目的を達するためには、オリジナルの人類をスケールダウンした形態を持たせ、ほぼ同じメンタリティを持たす必要はないではないか。



書名 日独最終戦争1948 竜虎編C2
著者 牧秀彦
出版 学研(2000/08/04)
分野 仮想戦記

読むのは時間の無駄とは言わないが、感想書くのに時間をかけるのは無駄。


書名 日独最終戦争1948 総力戦ABC 3、4
著者 桂令夫
出版 学研(2001)
分野 仮想戦記

タイ・ボンバ作のシミュレーション・ゲームを原作とするこのシリーズも最後はちょっと駆け足だったですね。
扱う規模に比して、ページ数が足りなかった感があります。


書名 魔術探偵スラクサス
原題 THRXAS(1999)
著者 マーティン・スコット
訳者 内田昌之
出版 ハヤカワ文庫FT(1996/01/31)
分野 ファンタジー

「おれの名前はスラクサス。魔法の国トウライの探偵だ。
でぶで大食い、大酒飲み、借金だらけで女房には逃げられた。
そんなおれのもとにある日、舞いこんだ依頼は、単純な王室スキャンダルのもみ消しに見えた。
だが、次々と襲ってくる謎の集団、あちこちで発見される死体。
どうやら、国じゅうを騷がす魔法の赤布紛失事件に巻きこまれたらしい。
けんかと推理力なら自信のあるおれは、相棒の超美人剣士マクリと立ちあがった!」
裏表紙紹介より抜粋

これは面白いよ、娯楽小説として。
ファンタジー小説によくある長大なシリーズ物じゃなくて読みきりたってのが読んでみた大きな理由の一つなんですが。
もちろんこの本一冊で完結しているのですが、スラクサスシリーズとして続編があるんだそうです。
でも、これなら続編も読んでみたいね。

主人公の探偵フラクサスはちょっと、つきすぎていると思いますが、"眠り"程度の魔法をたった一回使えるだけの魔術師に"心臓停止"などの強力魔法などバシバシ使ってくる男や、戦闘用ドラゴンが襲い掛かってくるのですから、多少の幸運では命がいくらあっても足りません。運は必要だよ、この人の場合。
それをどうやって切りぬけるのかってーと、頭を使って・・・じゃなくて、自らと友人の腕力と剣技とたっぷりの幸運。
中年おじさんとは思えぬバイタリティですが、ただの脳みその軽い方とも違います。
頭脳の方は探偵らしく謎解きの方に使ってらっしゃいます、謎解きの部分はミステリファンが読んで満足できるかどうか、判りかねます、多分犯人が簡単に割れると文句言うかもしれないと思う、普段ミステリ読まない身としてはこれぐらいがちょうどいいや。


書名 時間泥棒
原題 OUT OF TIME(1993)
著者 ジェイムズ・P・ホーガン
訳者 小隅黎
出版 創元SF文庫(1995/12/22)
分野 SF

「ある日、ニューヨーク市の時間がおかしくなりはじめた。
全世界でもこの街でだけ、時計がどんどん遅れていくのた。
しかも街の場所ごとで遅れ方が違う。
前代未聞の事態に有名物理学者が言うには「異次元世界のエイリアンか我々の時間を少しずつ盗んでいるのです」!?
議論は際限なく続くが、その間にも時間は本当になくなっていく。」
裏表紙紹介より抜粋

ちょっとねー私生活上で”ピー”な人相手に応対していたせいで、腹がたってそちらの方にばかり気をとられてしまい、あまり頭に入ってこなかった。
いずれ読みなおそう。
きっとおもしろいんだろうと思う、ちゃんと読めば。
うーむ、こんな事で”時間泥棒”を退治できていのかなー。
それと”時間泥棒”をちょっとだけ生き残らせておく理由がホーガンらしいねー。


書名 地を継ぐ者
原題 INHERIT THE EARTH(1998)
著者 ブライアン・ステイブルフォード
訳者 嶋田洋一
出版 ハヤカワ文庫SF(2001/05/31)
分野 SF

「コンラッド・ヘリアーは、死んでいない、発見せよ」
謎のメッセージをきっかけに、テロ集団エリミネーターが暗躍を始めた。
だがかつて人類を絶滅の危機から救った父は、50年近く前に死んたはずだ…
天才科学者である父の名声を嫌い、仮想環境デザイナーになったヘリアーの息子デーモンは、
エリミネーターをめぐる陰謀にいやおうなく巻きこまれていくが!?
人々が不死に近づいた22性紀の世界に迫る危機を描いた、冒険SF」
裏表紙紹介より抜粋

不老長寿を実現しつつある未来社会を見事に構築している。
死の危険が薄れることによる若者の行動の描写が、いかにもそれらしいと思う。
ストーリー的にはあまり面白くなかったかなーとは、個人的に思う。


書名 ホームズと不死の創造者
原題 ARCHITECTS OF IMORTALITY(1999)
著者 ブライアン・ステイブルフォード
訳者 嶋田洋一
出版 ハヤカワ文庫SF(2002/02/15)
分野 SF

「現場の白骨死体には遺体の肉を栄養素にして成長した花々がからみつき、謎のメッセージが残されていた…
25世紀末、ナノテクと生物学の進歩のおかげで、人類は数百年もの寿命を寿命を獲得していた。
だがそれでも殺人事件が絶えることはなかった。
花束を持つ謎の女性の訪問とともに起こる奇怪な連続殺事件に、
女性刑事シャーロット・ホームズとフラワー・テザイナーのオスカー・ワイルドが挑んでいく!」
裏表紙紹介より抜粋

「こんなのホームズじゃないっ!、騙されたー。」


解説にシャーロック・ホームズとは余り関係がないと書いてあるけど、買う前に解説読まないから効力ないもんね。
帯に「シャーロット・ホームズ」と大きく書いてあるけど、「恐怖のXX」と書いてある本を見て「恐竜のXX」と誤読したり、「マリアXX」と書いてある本を見て「マリアナ沖海戦」の本かと誤読する自分が「シャーロット」を「シャーロック」と誤読するのはいとも容易いことだから。
「シャーロック・ホームズが登場するSFか」と勘違いして買って、期待はずれに終わったのでした。
それに

シャーロットは名探偵ではない。


オスカーって奴の方が優秀だ。

それでも、シャーロック・ホームズが出てこなくても、面白ければそれでいいのですが。
「とても、つまらなかったです」


書名 月世界へ行く
著者 ジュール・ヴェルヌ
訳者 江口清
出版 創元推理文庫
分野 SF

執筆当時の最新の知識を駆使して執筆された、月旅行SF。
出版当時は恐ろしくスリリングでエキサイティングな小説だったのだろうと感じる。
無事月に到着していたら、どうやって帰るつもりだったんだろう。無鉄砲万歳


書名 世界のレシプロ軍用機
著者 野原茂
出版 グリーンアロー出版社(2002/03/14)
分野 軍事他

ドラキュラが暗躍する平行世界物ホラー「ドラキュラ戦記」でけだものと化したリヒトホーフェンと戦うイギリスの精鋭戦闘機隊員達が最初に搭乗しているのが"スナイプ"っていう飛行機で返り討ちにあってから"キャメル"に乗り換えて戦うんですが。
オレ"スナイプ"って飛行機知らなかったんだよね。
第一次世界大戦中のイギリス戦闘機といえば"キャメル"や"SE5"や"パップ"って所が有名どころでしょう。
第一次世界大戦の航空機の本なんて物置に放りこんであるので、探して調べるのも面倒だし、そのままスナイプって何よ−?。と思いつつ「ドラキュラ戦記」は読んだのですが。
やっぱり気になったので、シミュレーション・ゲーマーの人達に聞いた所、皆さん「知らないなー」との答えが返って来て、「オレだけじゃなかったー」とか少し思ったんですが。一人だけ「ソッピース・スナイプのことですか?」と答えてくれた方がいまして。
さらに詳しく聞くと「複座(二人乗りのこと)の偵察機で、当時は戦闘機と偵察機の区別があまりついてないから、戦闘機として使われていたかもしれない」と教えてもらい。
気がかり?はれたのです。
その後本屋でこの本を見て、"スナイプ"が載っていたので買ってきたのですが、"スナイプ"は複座の偵察機ではありませんでした、単座の戦闘機でしかも、"キャメル"の後継機種で第一次世界大戦には終戦直前ちょっと間に合っただけで余り使われていない飛行機でした。
エンジン出力がキャメルの倍ある戦闘機で、「ドラキュラ戦記」でも、"キャメル"で返り討ちにあってから"スナイプ"に乗り換えて戦うのが、収まりの良い順番だったのではないかと思ったりした。
史実でリヒトホーフェンが"キャメル"との空中戦中に対空砲火によって撃墜されたので、("キャメル"が撃墜したと主張する人もいます、特に当の"キャメル"に搭乗していたブラウン氏)。"スナイプ"で返り討ちってことになったんでしょうね。

本自体の評価ですが、1914年から1945年までの軍用機をたかだか一冊のムック本で扱うには無理がありすぎて、物足りません。
後書きに「この本は初心者のための本です」と書いてあって、常に初心者のための入門本が必要があることが説かれていますが。
初心者用の本が必要なのは認めますが、その用途に充てるにはこの本は高価すぎます。
本気で新規の読者層を発掘する気なら、紙質を落としてもいいから、2400円ではなく1000円程度で売るべきだと思う。



書名 銀色の恋人
原題 THE SILVER METAL LOVER(1981)
著者 タニス・リー
訳者 井辻朱美
出版 ハヤカワ文庫SF(1987/07/31)
分野 SF

精巧なアンドロイドに恋する少女の物語。
タニス・リーの始めて読む長編だった、”教育ママ”と子供という配役は短編の「雨に打たれて」と同じです。
甘いストーリーに驚く、いくつかの短編を読んだ限りでは、この著者はもっと辛口の小説を書く作家だと思っていた。
魂の問題をSF的に処理していないのが少し残念ですが。
面白い小説でした。


書名 旅立つ船
原題 THE SHIP WHO SEARCHED(1981)
著者 アン・マキャフリー&マーセデス・ラッキー
訳者 赤尾秀子
出版 創元SF文庫(1994/11/04)
分野 SF

「原因不明の病に襲われ全身運動麻痺となった7歳の女の子は、脳を宇宙船に移植され、宇宙船の体を持つこととなった。」
マキャフリーの「歌う船」の続編です、新人養成も兼ねているようで様々な作家の手になる続編が他に数種類翻訳出版されています。
この巻の著者はマーセデス・ラッキーです。
私は読んだことはありませんが、創元推理文庫よりファンダジーが数冊出版されています。
ヒロインの女性が宇宙船の体になる決心をする時も訓練が終わって宇宙船として独り立ちしてからも、前向きでうじうじしておらず、読むこちらも、暗い気持ちで読まずに済みました。


書名 トンデモ怪書緑
著者 唐沢俊一
出版 光文社文庫(1999/09/20)
分野 その他

著者が収集した風変わりな本達が紹介されている。
後書きで「読まなければいけない本と読まなくてもいい本」と書いてありますが、この本はSFファンの私は読まなくてもいい本となりますが、でも笑えて面白い。
著者の紹介のしかたが上手いのだろうと思う。


書名 炎の記憶
書名 ブルースカイ・ドリーム
書名 緑の草原に・・・・・・
著者 田中芳樹
出版 中公文庫(2001)
分野 SFなど

田中芳樹初期短編集。
中期短編やそれ以降の短編も読んでみたいと思いますが、たぶん本にまとめるほどの量を執筆していないんでしょうね。
3作の連作短編となっている「炎の記憶」に登場する主人公のその後が気になる。


書名 マンモス/反逆のシルヴァーヘア
原題 MAMMOTH BOOK1:SILVERHAIR(1999)
著者 中村融
出版 早川書房(2001/07/15)
分野 SF

「雪と氷にとざされた人跡未踏の孤島−北極海に浮かぶこの島に、はるか昔に絶滅したと思われていたマンモスが、今もまだ生き延ぴていた。
長い毛で全身を厚くおおわれ、長い鼻と巨大な牙、入間の百倍の体重をもつマンモスたちは、〈家族〉の〈母長〉アウルハート〈フクロウの心〉に率いられ、太古の昔からの伝承と知恵を歌と物語で連綿と伝えながら、生き長らえてきたのだ。
雌でありながらまるで雄のようにふるまうので、祖母のアウルハートから反逆者と呼ばれているシルヴァーヘアー〈銀の毛〉は、ある日〈家族〉から遠く離れて放浪しているときに、島の南西端の岬で、だぶだぶの奇妙な皮を体にまとった奇妙な生きものを見つけた。
だが、その遭遇がマンモスの〈家族〉に恐るべき運命をもたらすことになったのだ……!」
折り返しの紹介より抜粋

動物小説です、シートンや椋鳩十が書くような。動物小説が好きな人は読もう。
オノレ人間メー、皆殺しにシテヤルーという気になる。
現在の地球は野生の動物が生きるには過酷すぎる、読後感は苦い。
シートンや椋鳩十の動物小説でも同じく読後感が苦いものが多かったからね。
マンモスに関する最新の研究成果を反映したマンモスの生態が描写されているそうです、まるで象そのものです(当たり前か)。


書名 リングワールドの玉座
原題 THE RINGWORLD THRONE(1996)
著者 ラリイ・ニーヴン
出版 早川書房(1998/04/30)
分野 SF

SFを本格的に読み始めた頃、ニーヴンかホーガンかというほど好きだった作家の代表作の続編だから4年前に出版された時には、即買って、身構えて読み始めたものだった。
所が、どうにも退屈なんだ、これが、読み始めては途中で挫折し、今回が4度目のトライにして始めて読みきった。
好きな作家の著作とはいえ、つまらないものはつまらない。
リングワールドにおいて新たな発見や新展開があったわけでなく、終わり方も中途半端だし。
この本に関してはダメだ。
しかし、ニーヴンが終わった作家だとは思わない、単独作の翻訳が絶えて久しいニーヴンだが、いつか再び感動させてくれる作品が現れることを願ってやまない。


書名 虚空のリング 上、下
原題 RING(1994)
著者 スティーヴン・バクスター
訳者 小木曽絢子
出版 ハヤカワ文庫SF(1996/05/31)
分野 SF

「3953年。人類はワームホール・テクノロジーの開発により、着々と版図を拡大しつつあった。
ところが、太陽をはじめとする主系列星に思わぬ異常が発見された!。
恒星の進化過程が何百倍にも加速され、恐るべきスピードで銀河が老化しているのだ。
このままでは、遠からず宇宙は死滅してしまう!
この異変の謎を探るべく、最新鋭の宇宙船くグレート・ノーザン〉が、ワームホールを利用して五百万年後の未来へと旅立つが……?」
裏表紙紹介より

「凄い、痺れるー。」


バクスターの想像力は私の想像力をピョーンと飛び越して遥か彼方までいってしまっています。
オレ的巨匠決定。

この本を読む前に「時間的無限大」は読んでおくべきです、「天の筏」「フラックス」を読むつもりがあるのなら、そちらを先に読んでおいた方がいいですが、「虚空のリング」を読む上では読んでおく必要はありません。


書名 ジャンパー −跳ぶ少年- 上、下
原題 JUMPER(1992)
著者 スティーヴン・グールド
訳者 公手成幸
出版 ハヤカワ文庫SF(1997/10/31)
分野 SF

テレポート能力を手に入れた少年(18歳なので題名から想像した年齢よりかなり高齢でした)がニューヨークへ家出して生きて行く活劇。
テレポート能力を生かして銀行からお金を盗んで生活資金にしてるんですけど、しかも罪の意識はあまり持ってないし。
いいのかなあ、小中学生には読んで欲しくない類の本。
(と書くと小中学生のモラルをバカにすることになるんだろうか?。)
おじさん向けの願望充足小説。


書名 血風インドネシア空戦緑 1、2、3
著者 川又千秋
出版 二葉社
分野 仮想戦記

電装品と機銃を中国から密輸した米国製品に変え、140オクタンの燃料で飛ぶ四式戦闘機がP51と空戦する。
この部分以外はつまらなかったかなあ。
表紙の出来は「ラバウル烈風空戦録」よりも向上している。


書名 戦う都市 上、下
原題 THE CITY WHO FOUGHT(1993)
著者 アン・マキャフリイ&S・M・スターリング
訳者 嶋田洋一
出版 創元SF文庫(1995/02/24)
分野 SF

今回の"ブレイン"は宇宙船でなく宇宙都市に収まっている。
しかも女性でなく男性で、既巻2冊「歌う船」「旅立つ船」と異なり恋愛物としての要素は少なくなっている。
今回は襲撃してきた海賊との戦いの話となっているので殺伐としている。(現実に比べれば長閑なものだが)
万骨枯れた後の”ブレイン”の感慨に注意を惹かれる。
”ブレイン”は戦争ゲームを趣味としていて、ゲームからは判らなかった戦争の酷さを嘆くのだが、かつて私はシミュレーションゲーマーであったこともあり、戦争ゲームに取り組むゲーマーたちの姿を見ているのだが。
彼らのうち何人かは戦争ゲームが人間の殺し合いを抽象化したものだとの意識が”ブレインと同じく”希薄すぎるのではないかと感じているのだ。
例えば、昭和20年8月に日本が降伏せず、連合軍が本土に上陸してくる状況を扱ったゲームがあるのだが、その中のルールに都市を占領されると連合軍に得点を与えることになり、それを防ぐためには都市の人民を自決(自殺)させれば良いとするルールがあるのだが、幾人かのゲーマーはそのルールの実行を躊躇うことがないのである。
それを見るにつけ、戦争ゲームでは戦争の悲惨さは実感できないものなのだなと感じるのだ。
この本事態は面白いですよ、「歌う船」「旅立つ船」(とおそらく他の巻)と趣向が変わっていて。
毎度”ブレイン”と”ブローン”との恋愛物じゃ飽きてしまうだろうから。


書名 かめくん
著者 北野勇作
出版 徳間デュアル文庫(2001/01/31)
分野 YA

かめくんよー幸せになあー。ちょっと淋しくなっちまったよ。


書名 ダーティペアの大脱走
著者 高千穂遙
出版 ハヤカワ文庫JA(1995/07/15)
分野 YA

息をつかせぬ展開、面白い。
感想は特にないや。


書名 ざりがにまん
著者 北野勇作
出版 徳間デュアル文庫(2001/01/31)
分野 YA

「かめくん」世界物、ざりがにつりってのは一回もやったことはないなあ、もっぱらタモですくっていたのことよ。
”めだか”や”たがめ”が絶滅危惧種だって?、信じがたい時代がきたものよなあ。
小説の感想になってないなあ。


書名 フリーウェア
原題 FREE WARE(1997)
著者 ルーディ・ラッカー
訳者 大森望
出版 ハヤカワ文庫SF(2002/03/15)
分野 SF

「時は2053年。地球では、知性をもち、身体の形態を自由に変える能力を具えた人工生命体モールディが、市民権を得て、人間と共存している。
サンタクルーズのモーテルで働くモニクも、この新しい種族のひとり。
ところがある日、彼女はモールディ好きの変態に誘拐されてしまった!
しかもこの事件は、人間とモールディの関係を揺るがすとんでもない大騒動に発展していくことに……」
裏表紙解説より

待ちかねてましたの、「ソフトウェア」「ウェットウェア」の続編なのですが。
だめだ、のれない、「"くねくね"で、"りんりん"になれない」
たぶん読み手の私の感性が旧弊化しているせいだ。
”くねくね”ってセリフは一回も出てこなかったので、くねれなかったのはそのせいかもね。
しかし、「フリーウェア」がつまんなかったってのは思いもしなかったことだなあ。


書名 シビュラの目
著者 フィリップ・K・ディック
訳者 浅倉久志、他
出版 ハヤカワ文庫SF(2000/06/15)
分野 SF

表題の「シビュラの目」が特に面白かったか、後は「待機員」か。
どこが面白かったかっていうと。エート、よくわかってないです。


書名 西部戦線のメッサーシュミット Bf109 F、G、Kエース
原題 BF109F/G/K Aces of the Western Front 1941-1945
著者 ジョン・ウィール
訳者 阿部孝一郎
出版 大日本絵画F(2002/04/08)
分野 軍事

重爆44機を撃墜したと言われるロールヴァゲの記録がおそらく原資料からの記載ミスあるいは誤読による間違いで、実際には14機だとの記述にはホォーと思ってしまった。
著者はそれでも賞賛に値すると書いているが、それは私もそう思う、重爆14機もの撃墜を果たした人物は多くはないのだから。

第8航空軍のP−51マスタングエースの感想でドイツの戦闘機搭乗員中最も尊敬するエゴン・マイヤーと書いたが。
P92の西部戦線での撃墜数リストに私がそう思っている理由が書いてある。
西部戦線での撃墜数102機はアドルフ・ガーランドの104機に次ぐものであり。
しかも彼の撃墜戦果の多くは1944年春に戦死するまでの大戦中期から後期にかけてのものであるうえに、ドーバー海峡方面の唯2つの戦闘航空団の指揮官の一人として強大な米第8空軍に立ち向かい、対重爆戦法を確立させていった一人であるのだ。

P72に書かれているビューリゲンの語ったことが西部戦線の過酷さを物語っている。
「東部戦線から私のところへやってきた部下のパイロットは、みな西部戦線で撃墜された」


書名 天界を翔ける夢
原題 CURCUIT OF HEAVEN(1998)
著者 デニス・ダンヴァーズ
訳者 川副智子
出版 ハヤカワ文庫SF(2000/11/30)
分野 SF

ロミオとジュリエット物なんて面白いとは思えず、
期待なぞかけてもいなかったのですが、案に相違して面白かったというのが素直な感想です。
思ったことを3つ書いておきます。
作中遺伝子などには意味がないというセリフが出てくるように、仮想世界の人達は人間に似て非なるものだなと思う。

主人公達よりもっと可哀相な境遇のコンストラクタ(人間に奉仕するよう構築された生命)達が前向きな姿勢で人生を謳歌している様子がさわやかな印象だった。

仮想世界に入れば永遠の生命が手に入るというがその仮想世界を構築するハードの保全はどうなるのだろうか?。
文中に書かれていない対策されていると考えるべきなんでしょうか。



書名 ノービットの冒険 −ゆきて帰りし物語−
原題 THERE AND BACK AGAIN(1999)
著者 パット・マーフィー
訳者 浅倉久志
出版 ハヤカワ文庫SF(2001/06/15)
分野 SF

「アステロイド・ベルトでひっそりと暮らす軌道生活者の
ベイリー・ベルドンは、ある日日課の小惑星めぐりで、
打ち捨てられたメッセージ・ポッドを拾った。
律儀なベイリーは、宛名人にメッセージを拾った旨通知した‐
まさかそれがきっかけで、女性探検家ギターナやファール一族とともに、
驚くべき冒険の旅にでるはめになるとも知らずに…」
裏表紙解説より

トールキンの「ホビットの冒険」を下敷きにしたスペースオペラです。
かなり忠実に「ホビットの冒険」をなぞっているため。
「ホビットの冒険」を読んだ後では、ストーリー展開に驚きはなく、
原型をどのように翻案しているかという点に読む楽しみがある。

竜の正体が脱力してしまう程陳腐なため、「ホビットの冒険」の山場の一つに相当する部分が山場になっていなかったり。
最後の戦闘場面がゲームの画面を見ているようで「ボビットの冒険」で感じられた戦争の非人間性が感じられなかったり。
(ゆえに、ドワーフのリーダーに相当する人物の最後も無感動に感じられた)、
原型に劣る部分もあった反面。
SFならではといえる部分も存在した。
ウラシマ効果のせいで、強く感じとれるようになった郷愁などはその一例です。


書名 バーチャライズド・マン
原題 THE SILICON MAN(1991)
著者 チャールズ・プラット
訳者 大森望
出版 ハヤカワ文庫SF(1992/12/15)
分野 SF

「21世紀のロサンジェルス、FBl捜査官ベイリーは
ハイテク武器の闇取引を調べていた。
やがてその捜査線上に航空宇宙研究所の研究員たちが容疑者として浮かんだ。
地位にも給料にもめぐまれている科学者たちがなぜそんな犯罪にかかわっているのか?
ベイリーはノーベル賞を受賞した天才コンピュータ科学者が黒幕であると突き止めたが……
バーチャル・リアリティとコンピュータの未来をサスペンスフルに描く傑作長篇SF!」

裏表紙解説より

10年前に邦訳出版された作品を今ごろ読んでいるため新鮮味はかなり薄れている。
まして最近同じ分野のSFといえる「天界を翔ける夢」を読んだばかりだ。
「天界を翔ける夢」と異なり、仮想世界を維持するハードウェアの保守に言及されている点では、こちらの方が評価できる。


書名 エイリアン・チャイルド
原題 ALIEN CHILD(1988)
著者 パメラ・サージェント
訳者 森のぞみ
出版 ハヤカワ文庫SF(1991/04/15)
分野 SF

「わたしの名前はニ夕。
15歳になったばかりの女の子。
”研究所”と呼ばれる建物で、猫型エイリアンのリペルと暮らしている。
リペルは外に出ちゃダメっていうし、
わたし以外に人間はいないしで、毎日たいくつ。
でも、リペルに入ってはいけないといわれた建物に行ってみたら、
同じ年ごろの男の子がいたのだ!
その子と二人でリペルを説きふせ、
わたしたちは人間がいなくなった理由を調べに、
研究所の外へ冒険の旅に出た…」

裏表紙解説より

何も考えずに読んだ。
考え出すと、人類が全滅するような戦争でその施設だけ無傷で残るはずがないとか、
考えてしまうから。


書名 剣の騎士
原題 THE KNIGHT OF THE SWORDS(1971)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1982/04/30)
分野 ヒロイック・ファンタジー

「あまたの空に光の海と都市があり,
空を飛ぶ青銅色の野獣がいた時代−
五つの次元界を自由に移動できるヴァドハー族と
ナドラー族は,自らをマブデンと呼ぶ人類を,
獣とさげすんでいた。
だが,両種族を憎悪する人類はまずナドラー族を滅ぼし,
ついでその矛先をヴァドハー族に向けた。
マブデンに襲われ,次々と炎上するヴァドハーの城砦。
偶然.難をのがれたエローン城砦のコルム公子は,
復讐に燃えるが,マブデンの大軍が行く手に立ちはだかる・・・・・・
ヴァドハー族最後の一人く紅衣の公子>コルムの
辿る数奇な運命を描く」

扉解説より

エレコーゼをまだ読んでいないのだが、日本での出版は
コルムの方が早かったそうなので、こちらを先に読む。
アリオッチに一矢報いているぞ!。
やるじゃないか、コルム。


書名 ハイブリッド・チャイルド
著者 大原まりこ
出版 ハヤカワ文庫JA(1993/08/31)
分野 SF

「長期にわたるアディアプトロン機械帝国との闘いに
終止符を打つベく、最終兵器が軍の施設内でひそかに研究・開発された。
組み替え自在の特殊金属ユニットの骨組みに、バイオ技術で創り上げた
細胞を肉付けした宇宙戦闘用生体メカニックのサンプルB群。
そのうちの一機が意志を持ち、軍から脱走した。
さまざまな形にメタモルフォーゼしながら逃亡の旅を続ける
脱走者の運命は…
幻惑の未来を描く星雲賞受賞の本格SFの傑作」


大原まりこの代表作だそうだから、どんなに凄い作品かと期待していたのですが。
珍しくもない小説のような気がする。
執筆された時点で読んでおくべき種類のSFだったのかもしれない。


書名 ストーカー
英題 (ROADSIDE PTCNIC)
著者 A&B ストルガツキー
訳者 深見弾
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/02/15)
分野 SF

「何が起こるか誰にも予測のできない謎の地帯、ゾ一ン
それこそ、地球に来訪し地球人と接触することなく去っていった
異星の超文明が残した痕跡である。
ゾ一ンの謎を探るべく、ただちに国際地球外文化研究所が設立され、
その管理と研究が始められた。
だが警戒厳重なゾーンに不法侵入し、
異星文明が残していったさまざまな物品を命かけて持ちだす者たち、
ストーカーが現われた。
そのストーカーの一人、
レドリック・シュハルトか案内するゾーンの実体とは?
異星の超支明が来訪したその目的とは?
ソ連SFの巨匠が追力ある筆致で描く
ファースト・コンタクト・テーマの傑作」

裏表紙解説より

原題は「路傍のピクニック」という意味で文中登場人物がこう語ります。
「ピクニックだよ。こんなふうに想像してみたまえ−‐森、田舎道、草っ原。
車が田舎道から草っ原へ走り下りる。
車から若い男女が降りてきて、酒瓶や食料の入った籠、トランジスターラジオ、カメラを車からおろす……
テントが張られ、キャンプファイヤーが赤々と燃え、音楽が流れる。
だが朝がくると去っていく。
一晩中まんじりともせず恐怖で戦き(おののき)ながら目の前で
起こっていることを眺めていた獣や鳥や昆虫たちが隠れ家から這いだしてくる。
で、そこで何を見るだろう?。
草の上にオイルが溜り、ガソリンかこぽれている。
役にたたなくなった点火プラグやオイルフィルターがほうり投げてある。
切れた電球やぼろ布、だれかが失したモンキーレンチが転がっている。
タイヤの跡には、どことも知れない沼でくっつけてきた泥か残っている……
そう、きみにも覚えがあるだろう、りんごの芯、キャンデーの包み紙、罐詰の空罐、空の瓶、だれかのハンカチ、ペンナイフ、引き裂いた古新聞、小銭、別の原っぱから摘んできた、しおれた花…」
「わかりますよ。道端のキャンブですね」
「まさにそのとおりだ。どこか宇宙の道端でやるキャンプ、路傍のピクニックというわけだ。きみは、連中が戻ってくるかどうか知りたがっている」

ゾーンの中に見ることができるものが何なのか?この推定が合っているかどうかも、わからない。
ゾーンやゾーンの中に残されているものが何か?、自分たちが何を理解していて何を理解していないのかすら判らない。
スタニスワフ・レムといいストルガツキー兄弟といい東欧系のSFは未知の物に対する接触を未知のままとして扱う場合が多いのはそういったSF風土を持つのだろうか。

ゾーンに入った人間から生まれてくる子供は生物的に人間とは言えない状態となる。
なぜ、それでもなおかつ、ゾーンに侵入し未知の物体を持ち出そうとする人がいるのだろうか。
日々の生活のためではない、普通に働く環境がないわけではないのだから。
さりとて知識欲のためでもなさそうだ、ゾーンの中の物体を調べる学者達は自らゾーンの中に入ろうとはしていない。
理由は無さそうだ、そこにゾーンがあるからなのだろう。


書名 死者の書
原題 THE LAND OF LAUGHS(1980)
著者 ジョナサン・キャロル
訳者 浅羽莢子
出版 創元推理文庫(1988/07/15)
分野 ホラー

「ぼくの目の前で、少年がトラックにはねられた。
事故のあと町の人間か聞いてきた。
「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」
笑って?…ここはアメリカの小さな町。
一人の天才作家が終生愛した町
ぼくは彼の伝記を書くために逗留している。
だが知らなかった、この世には行ってはならない町があることを。」

裏表紙解説より。

読むだけ時間の無駄な気がする。
なぜ”死者の書”(という名ではないが)に書かれているとおりに現実が推移するのか、疑問に思ったりしないのか?。
この人達は。


書名 遺響の門 −サイレント・ゲート−
著者 中井紀夫
出版 徳間デュアル文庫(2000/11/30)
分野 YA

「なにかを理解すること、理解してもらうことなんて
本当にできるんだろうか。
惑星グレイストームで暮らす高校生・遥は、
街で出会った少女ヴィオレッタとともに、
原住種族ウルボアイの村近くにある巨大な<門>を訪れた。
その場所は、ウルボアイと奇妙な交流をもつ謎の種族クランガの
領域であった。
クランガの抜け殻が、人類と星間戦争を続ける異星種族
キラーバグの姿に酷似していることに気がついた遥。
<門>で得た宇宙創世のヴィジョンは、
遥の心に新しい意志を芽吹かせた。
驚きに満ちた本格SF長編!」
裏表紙解説より

品の良いジュブナイルSF。
話す言葉が全部嘘になると、人とのコミュニケーションを避けていた少年が、自分の言葉で戦ってみようと考えるようになる。
著者独特の変な世界が舞台ではないが、登場して来る人達はかつての中井ワールドの登場人物そのままでした。
気が良くて、こだわりを持って生きている。

さわやかな終わり方をしますし、著者もそう終わらせたつもりでしょうが、少年のその後を思うと暗澹たる気持ちになってくる、そう甘いもんじゃないぞ。
うまく切り抜けてくれ。


書名 テラプレーン
著者 ジャック・ウォマック
訳者 黒丸尚
出版 ハヤカワ文庫SF(1992/09/)
分野 SF

地味そうな表紙の本なので敬遠していたのですが。
これは思わぬ拾い物の良い作品でした。
あまり名前を聞くことのない作家と作品だっただけに、意外な感はありましたが。
古書店ではけっこう見かける本なので、秀作だと知らなかったのは私だけかもしれません。
読みどころは、私の住む世界より未来に住む主人公達の話し方と、
私達の知る1939年の米国と微妙に異なる、悪夢のような古き良きアメリカの世界に住む人の姿でしょうか。
その世界では奴隷制度の撤廃が遅れ人種差別による暴力が横行し、未来からやってきた有色人種の主人公もいきなり暴力に遭遇して困惑します。
そして過去にやってきた主人公達を助ける黒人医師とその妻、彼らがいなければこの小説を良いなどと感じなかったでしょう。
未来にあこがれ、主人公に質問する黒人医師の気持ちはSFファンの私にはよく理解できるような気がします。
もちろん彼が登場してきたのは、こんな些細なエピソードのためでなく、悪夢のような 古き良きアメリカの姿を描写するためなのですが。


書名 世界の会戦 こう戦えば勝てた
著者 柘植久慶
出版 中央公論社(1999/12/20)
分野 軍事

題名のとおりの本です。
章題を以下にあげます。
カルタゴのローマ攻略
呉の存続
へイスティングス会戦の逆転
コンスタンティノープルの防衛成功
北方の獅子王、リュッツェンに死せず
ワーテルロー会戦の逆転
ブルランー南軍のワシントン占領
旅順のより容易な攻略
タンネンベルク会戦の逆転
ガリポリ上陸作戦の成功
ダンケルクの包囲成功
スターリングラード攻略
ノルマンディー上陸阻止
ルソン島の確保
ディエンビエンフーの防衛

読み物としてはけっこう面白いものでした、書いてあることも納得のいく場合が多く、「そんな無茶な」と思えることは少しでした。
ただし、「こうすれば勝てる」と言えるのも史実の経過を知っていればこそ言えることで、現実にそううまく事が運ぶかどうかは難しいと思う。
あと知恵なしに筆者の言うとおりに実行できる者は、それこそ不世出の名将となれる。
それとその戦場で勝てるように行動を変えたとしたら相手の行動にも変化が現れると考えるべきで、例えばフィリピン防衛の項でレイテより部隊を引き揚げたとしたら、連合軍のルソン島の攻撃スケジュールは早くなったはずで、そうなれば、筆者の言うとおりに11月までゲリラ討伐をやっている余裕は無くなってくるはずだ。


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