2003年1月の読書感想
書名 雷撃
原題 War In Stringbag(1977)
著者 チャールズ・ラム
訳者 宇田道夫、光藤亘
出版 朝日ソノラマ(1982/7/30)
分野 軍事
英国の雷撃機ソードフィッシュの搭乗員の手記。
港湾への機雷投下作戦、空母イラストリアスの被爆、タラント空襲、北アフリカにおける作戦と縦横無尽の活躍をみせるソードフィッシュという兵器の威力を当事者ならではの筆致でみせつけられる。
書名 ドイツ最強戦闘機フォッケウルフFw190 −第二次世界大戦空戦録7−
原題 Focke Wulf 190 at war
著者 アルフレッド・プライス
訳者 土屋哲朗、光藤亘
出版 講談社(1984/4/15)
分野 軍事
原書は写真集的性格を持つため、掲載されているエピソード一つ一つをとってみれば、どことなくとりとめのない印象を受けるのだが。
反面掲載されているエピソードについての写真が掲載されているので驚きを感じる。(逆だが)。
Fw190の機体自身に関する情報は色々あるが、その搭乗者の談話は現在においても貴重であるところにこの本の価値がある。
余談だが、さすがにバウアー少佐が一般的にハインツ・ベアと訳されている方の事だと気付くにはその撃墜機数を見ることが必要でした。
書名 彗星の核へ
原題 Heart of the Comet(1986)
著者 グレゴリイ・ベンフォード、デイヴィッド・ブリン
訳者 山高昭
出版 ハヤカワ文庫SF(1988/01/31)
分野 SF
「2061年、エドマンド・ハレー号は、近日点通過の後再び太陽系外へと向かうハレー彗星核とのランデブーに成功した。調査隊400人のメンバーは、これから彗星に乗って、約80年に及ぶ調査研究の旅にでるのだ!地下における居住・研究施設の建設、旅のほとんどを隊員が眠って過ごすためのスリープ・スロット、及び軌道制御用ランチャーの設置…やるべき仕事は山のようにあった。だが、ほとんどの隊員が眠りにつき、第一当直が万事順調にスタートしたと思われたまさにその時、恐るべき災厄が隊員たちを襲った…」
裏表紙作品紹介より
本当に予期せぬ展開の連続で意表をつかれどおしだった。
バイオハザード物かと思えば、植民闘争物、かと思えば、世代宇宙船物、そして……。
巻末の解説によると続編の構想はあるそうで、舞台は一万年後だそうだが。
読みてえ、このラストなら、その一万年後どうなってるか、ぜひとも続編読みてえよ。
この本は分厚い本ばかり書いている2人の作家の競作ということで、分厚いのが難点ですが、分厚い小説でも面白く読ませるブリンの長所と、宇宙物のハードSFが得意なベンフォードの長所が現われている本でもあるので、地味−な題材にも関わらず、案外良かったです。
とはいえ、やっぱり長過ぎるのは何とかして欲しい。
書名 戦うスピットファイア −第二次世界大戦空戦録8−
原題 Spitfire at war
著者 アルフレッド・プライス
訳者 大出健
出版 講談社(1984/02/15)
分野 軍事
一貫性はないが色々なエピソードが満載の本、元々写真集的性格が強い本なので写真が多い。
太平洋戦域に関しては写真はあれど文章が無いので多少残念に思う。
書名 栄光のメッサーシュミットBf109 −第二次世界大戦空戦録5−
原題 Messerschmitt Bf109 at war
著者 アーマンド・ファン・イショフェン
訳者 川口靖
出版 講談社(1983/11/18)
分野 軍事
入手が最近だったので読むのが今ごろになったのだが出版された当時買って読んでいたら驚きの連続だったろう。
Bf109が手練な搭乗員にかかればスピットファイアと格闘戦を行い勝利できる格闘能力を持った機体であることはレン・デイトンの『戦闘機』などによって知られていることではあるが、そのことを搭乗員の談話として読むことはこの本が初めてだったと思う。
戦時中に命を落とした搭乗員の方々の手記や生存者の談話など生の話に触れることができるのがあり難い。
書名 人喰い病
著者 石黒達昌
出版 ハルキ文庫(2000/10/18)
分野 SF
とてもSFらしいSFでした、SFマガジン掲載の「希望ホヤ」がとても良かったので読んでみたのですが、こちらも負けず劣らず素晴らしい短編ぞろいでした。
とはいっても、『人喰い病』は星雲賞候補作だそうで、自分が気付いてなかっただけのようだ。
「雪女」は低体温症の人間に関する観察記録の発掘の体裁をとっている。
低体温の人類が存在したらどんな生物であるか、考察しながら観察してゆく、これこそSFの醍醐味の一つではないか。
実際どのような生物であったのか調査が完結せぬまま記録者が亡くなるためどんな人類であったのか詳しく知りたくて欲求不満になりそうだが、このぐらいがちょうど終わり方でもあるのだろう。
山田正紀の「氷河民族](ハルキ文庫版では「流氷民族]の吸血人類と読み比べてみるのも良いと思う。
「人喰い病」は題名からは人が人肉嗜好になってしまう病気の話かと勘違いしたが、潰瘍が体中に蔓延してゆき人が死んで行く話だった。
その潰瘍の原因を追求してゆく記録なのだが、その原因を考察してゆく様子が面白い。
調査によって病の原因が判明してゆかれるにつれ、段段と恐怖が募ってゆきます、原因がはっきりしているだけにホラーより恐いです。
自分がホラー読者でなくSF読者であることを強く感じました。
やっぱりSFはいい。
「水蛇」は水蛇という未知の生物の観察を行う人物の一人語り、途中でファーブル昆虫記を連想してしまった。
「蜂」は希少種の蜂に追われ悩まされる人物の話だが、その人物の妄想の産物ともとれる、その分収録された4篇中では物足りなく感じた。
4篇に共通するのが未知の生物の生態を究明しつつもそれが完全に追求されず頓挫してしまっていることで、もうちょっと読みたいといった感覚が刺激される、文学的に出来が悪くなろうとも、その生態を突き詰めて提示してくれればもっと良かったのですが。
SFとしてわくわくできれば文学的完成度などどうでもいいし、つまんなくっても退屈でも関係ないよなと、そう思いました。(この本がつまらないとか退屈とか言っているわけでないよ)。
「希望ホヤ」と同じやんかと思ってしまった短編もありましたが、気に入った、「雪女」と「人喰い病」に関しては大満足だ。
書名 万能戦闘機P‐51ムスタング −第二次世界大戦空戦録6−
原題 Mustang at war
著者 ロジャー・A・フリーマン
訳者 大出健
出版 講談社(1984/1/)
分野 軍事
欧州戦線におけるP−51の最大の敵はBf109だそうだ、引用されている複数の文献や証言にそのことが出てくる、Bf109の初期加速度がP−51を凌駕していることが原因なようで、Fw190は歯牙にもかけられていないようだ。
意外といえば意外な評価だったが、この本は出版当初古書店で入手していたので、すぐ読んでいれば、とうの昔に知ってたことだった。
運用者の証言が豊富なのがこのシリーズの魅力でこの本もその例に漏れない。
ずっと古書店では見なかったシリーズだが、なぜか最近良くみかけるようになった、オスプレイの航空戦史の邦訳が刊行されだしたからだろうか?。
見かけたら買ってみて欲しい。
書名 太平洋戦争の研究 −こうすれば日本は勝っていた
原題 Rising Sun Victorious(2001)
編者 ピーター・G・ツォーラス
訳者 左近充尚敏
出版 PHP研究所(2002/12/04)
分野 仮想戦記
アメリカの仮想戦記、あちらの仮想戦記でも栗田提督は提督として正常な判断力を持っていないのですね。
書名 木星プロジェクト
原題 Jupiter Project(1980)
著者 グレゴリイ・ベンフォード
訳者 山高昭
出版 ハヤカワ文庫SF(1988/08/31)
分野 SF
「太陽系最大の惑星─木星。神秘に満ちたこの巨大惑星に、
はたして生命は存在するのか?
この問題の究明こそ、地球を遥かに離れ、木星軌道上をめぐる
観測ステーションで暮らす人々にとって、最重要の課題だった。
木星をとりまくメタンやアンモニアの大気の奥深くまで、
いくつもの探査機が投入された。だが生命はもちろん、その存在を
暗示する証拠すら、なにひとつ発見されなかった。
ついに地球の国際宇宙局は、経済的な理由からプロジェクトの中止
を決定したが…」
裏表紙作品紹介より
自分は精神年齢が幼いのだとの認識はある。
そのせいかどうか、ジュブナイルはこの歳になろうと面白く読める、そうでないものよりも好きな程だ。
この小説もジュブナイルだが、そのせいかベンフォードの小説の持つどことなく鈍重な感覚がなく、読みやすくとてもよかった。
その軽快さと、人類が生息するにはあまりに過酷な宇宙の環境について描くことを両立することにこの小説は成功している。
読んでいて『サターン・デッドヒート』と『軌道通信』を思い出した。
書名 僕はイーグル 1
著者 夏見正隆
出版 徳間書店(2000/06/30)
分野 小説
自衛隊の戦闘機F-15の搭乗員を主人公に据えた小説。
1巻なので今後どう話が転んでゆくのかわからない。
内容の割に400ページとは長過ぎる、これなら1/10の40ページぐらいに納めて欲しかった。
書名 哀しからずや予科練は
著者 菊岡襄治
出版 柳原出版(2000/11/20)
分野 小説
この本を見つけた時は嬉しかった、元戦闘機搭乗員である鹿野氏に取材して執筆された短編が収録されていたから。
しかし、巻頭の「らをや物語」が現実には存在しない戦闘機搭乗員の父親を主人公にした小説であることからみられるとおりに、全篇を通して
フィクション色が強い。
この鹿野氏を主人公にした小説にしてもどこまで本当でどこからフィクションなのか?。
書名 スターリングラード
原題 STALINGRAD(1998)
著者 アントニー・ビーヴァー
訳者 堀たほ子
出版 朝日新聞社(2002/10/30)
分野 軍事
第二次世界大戦時ドイツの第6軍がソ連軍によってスターリングラードで包囲され失われた戦いについてイギリス人の著者が執筆した本。
この本の特徴は戦いの現場において、両軍の兵士が、民間人が何を思い感じていたか、残された手記や手紙を紹介し、積み重ねることによってスターリングラード戦がどのような戦いであったか紹介してゆく手法です。
誰も幸せになることのない、何の感動もない、戦争の様子が紹介されてゆく。
スターリングラード戦に関する書籍が少ない現状において翻訳されたことを喜びたい。
書名 ドラムビート
原題 OPERATION DRUMBEAT(1990)
著者 マイケル・ギャノン
訳者 秋山信雄
出版 光人社(2002/05/13)
分野 軍事
第二次世界大戦の米独開戦当初ドイツの潜水艦数隻が米東海岸で通商破壊任務についた、その中の一隻U−123についての本。
米独双方の記録や証言を対照し詳細に書かれている。
訳者がU−ボート戦記の決定版と言うのもむべなるかな。
とはいってもこの本で扱っているのは戦争の一局面なので、もっと沢山の決定版が欲しいと欲望に果てはないのであった。
書名 日米開戦の謎
著者 鳥居民
出版 草思社(1991/12/20)
分野 軍事
なぜ日米開戦に至ったのか?。
決定の下す立場にあった指導者達がその当時何を考え決定したか、誤魔化しなく本当の所を書き残していないゆえに。
残された文書だけから追求することは難しいと著者は書きます。
著者は当時の指導者が何を考えていたか推論を綴ってゆきます。
もちろんそれが、本当の所に近いかどうかはわかりませんが、納得のゆく推理です。
近衛首相が三国同盟になぜ同盟したか、それはソ連との四国同盟に発展させることにより日米戦争へ発展することを阻止することを考えてのことだったが、四国同盟が実現しなかったゆえに、百害あって一利なしの三国同盟のみが残された。とか。
海軍が南部仏印進駐を誘導したのは、それにより、米国の経済制裁を招き陸軍の対ソ戦争を阻止しようと考えてのことだった。
など一々頷きたくなることが書いてある。
結局の所陸海軍の縄張り争いが昂じて日本を破局に導いていったことになるのだが、そうかもしれませんね。
書名 ガダルカナル勝者と敗者の研究
著者 森本忠夫
出版 光人社(2002/05/31)
分野 軍事
ガダルカナル戦の開始から第一次ソロモン海戦まで扱っている、今後ガダルカナル戦の終結まで続けてゆく構想があるらしい。
連合軍側からの記録をも使ってこの戦いを再現してくれていることがあり難い、扱っている範囲も比較的狭いので、けっこう詳細に書かれているし。
ただ、航空作戦についてはあまり詳しくないのが残念だ。
書名 逃げ出した秘宝
原題 WHY ME(1983)
著者 ドナルド・E・ウエストレイク
訳者 木村仁良
出版 ハヤカワミステリアスプレス文庫(1998/03/31)
分野 ミステリ
宝石店に泥棒に入って、大き過ぎるのでイミテーションだと思いつつも、なんとなく持って来た指輪が大変貴重な秘宝で、警察方面が大騒ぎになったため売り払うこともできず、うっかり指にはめて抜けなくなった所に警察官が尋ねて来る。
コメディミステリです、あくまで不運であって不幸なわけではないので、泥棒の不運を笑って楽しめる。
ページ数も300ページ弱と手頃な所もいい、もうちょっとダイエットしてあればなお良かったのだが。(これなら30ページぐらいで収まる内容だろう)。
最近スペースオペラばかりでユーモアSFが翻訳されないからなあ、翻訳件数の多いミステリファンが羨ましいよ。
書名 八百万の死にざま
原題 EIGHT MILLON WAYS TO DIE(1982)
著者 ローレンス・ブロック
訳者 田中俊樹
出版 ハヤカワ・ミステリ文庫(1988/10/15)
分野 ミステリ
何処で何食べて飲んだかなどと詳細に記述するのはやめれ、シャワー浴びたとか誰に会ったとか詳細に書くのもやめれ、そんなことそうでもいいことだろう。
うまくまとめれば、30ページぐらいに収まっただろうに。
そのくどくど延々と綴られる主人公の日記の如き文章を読んで行くのが面白かったのも確かなので、強くは言えないのだが。
山場で主人公が取る行動はスリルがあって良かったしね。
書名 アヌビスの門
原題 THE ANUBIS GATES(1983)
著者 ティム・パワーズ
訳者 大伴墨人
出版 ハヤカワ文庫FT(1993/07/31)
分野 ファンタジー
SFマガジンを読み始めた頃のSFマガジンにおける識者の投票で1位になっていた本です、これがFTで出たのを問題にしていた方もいらっしゃいましたが、SFと言えばSFで通るし、ファンタジーと言えばファンタジーで通るので、いいじゃないか別にFTで、おかげでこの月は他に『辺境の人々』など3冊もSFが出版されたんだし。
歴史学者が過去に行ってコールリッジの講演を聴きに行ったはいいけど、拉致され過去に取り残される、彼を付け狙う連中から逃れつつ、コールリッジやバイロンの生きるロンドンで生きてゆくが…。
過去のロンドンの姿が魅力的です、特にその底辺に生きる者達の社会が。
読んでその緻密に構築された世界を満喫すると良いと思う。
書名 日本一短い「家族」への手紙
編者 福井県丸岡町
出版 角川文庫(1996/06/25)
分野 その他
無理やり”うるうる”したければこんな本を読むのが最適だが、別に”うるうる”したいわけでもないのにこんな本読んでんじゃねえ、オレ。
SFを読めSFを。
書名 帝都東京分裂 −レヴァイアサン戦記1−
著者 夏見正隆
出版 徳間文庫(1994/09/15)
分野 小説
普段遊ばせていただいている掲示板で以前”面白いから読みませんか”と勧められた本です。
読みたくもない本なので、普通は読んでみますとか適当にお茶を濁す所ですが、その時はそのような態度を取るのはかえって失礼ではないのか?、そう考えて”読みません”とか返事してしまいました。
自分としては真剣に応対したつもりですが、いかんよ、やっぱりダメだよそれじゃ、相手に失礼だよ。
断ったとはいえ、本の題名は記憶に留まるもので、新古書店に行くたびに探して、100円でこつこつ買っていたんです、この前晴れて1巻を入手したので読んでみました、人に勧められるという本というのは、やっぱり勧められるだけの理由はあるんだなと思いました。
『逃げ出した秘宝』、『ポップ1280』、『神々の山嶺』、『北壁の死闘』とか普段読まないような類の本だが皆面白かったしなあ。
(『僕はイーグル』は中身がスカスカだったので大幅にダイエットするように)
そうだよ、基本的には面白いんだよ、人から勧められる本ってのは。
とか本の感想も書かずにこんなことを書いているということは、やっぱり、”読みません”と答えたことを、気に病んでいたらしいな。
コメディ小説として読めば笑えて楽しい小説でした。
100円で入手出来次第続刊も読もう。
セコイって?。仕方ないだろう、SFと軍事関係の本を買ってしまうと予算はほとんど残らないんだから(本当)。
そういや、勧めてくださった方も”笑った”と書いておられたなあ。
書名 最後の艦上戦闘機 烈風
著者 松岡久光
出版 三樹書房(2002/08/05)
分野 軍事
戦争には間に合わなかった零戦の後継艦上戦闘機烈風についての本。
開発メーカーの三菱の立場から見た開発史。
それだけに、押しつけられたエンジンの選定ミスを惜しむ色が強い。
書名 ジャングルの国のアリス
原題 Alice in Jungleland(1927)
著者 メアリ・H・ブラッドリー
訳者 宮坂宏美
出版 未知谷(2002/12/25)
分野 手記
著者がアフリカへ研究に赴いた際に6歳になろうとする娘をアメリカに置いておくに忍びず、娘を連れてアフリカへ行った。
その娘を主人公にしたアフリカでの日々を描いた手記。
読者の対象はおそらく娘のアリスと同年齢の子供を対象にしているため文章は平易となっている。
アリス・シェルドンのセンス・オブ・ワンダーに満ちたアフリカでの日々。
彼女にとって、おとぎ話の世界もアフリカもアメリカも等しく現実のもの。
アリスにとって驚きの日々だったろうなと感じるので面白いのであって、別にアフリカに興味があるわけでもない私にとってさほど魅力があるわけでもない本でもあり、面白さと物足りなさが同居する本でした。
アリス・シェルドンは後日SF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアとなるのであるが、それは又別の話。
書名 遠い島ガダルカナル
著者 半藤一利
出版 PHP研究所(2003/01/08)
分野 軍事
手堅くまとまったガタルカナル戦についての本。
唯、単行本のため割高感はある、文字も巨大だし。
亀井宏の『ガダルカナル戦記』が文庫本で入手可能な今、どちらかを選ぶなら、安価で情報量の多い亀井宏の『ガダルカナル戦記』を選ぶ方をお勧めしたい。
安いし
書名 レイテ戦記
著者 大岡昇平
出版 中公文庫(1974//)単行本1971/10
分野 軍事
再読、20年ぶりぐらいか、これが個人で書かれたものだということに驚愕する他ない。驚く程の労作。
太平洋戦争に興味を持つ者必読の書の一つです。
レイテで戦った日本兵は、持てる力をすべて出し切り戦った。
その点において賞賛に値すると思う。
しかし、適切でない指導下での作戦であったため、あたら無駄死にに終わっている。
レイテ島の戦いに関わり命を落とした人の数は日本兵だけでも9万人に及ぶ、この本は、そのレイテで命を落とした人々の碑として読むべき本だと考える。
書名 決戦兵器陸軍潜水艦の記録
著者 土井全二郎
出版 光人社(2003/01/14)
分野 軍事
陸海軍間のいがみ合いの象徴のような存在である陸軍の潜水艦も、出現時期が遅過ぎ労多くして実り少ない結果となった。
戦争に限らず、結果の出ない苦労など賞賛される事もないのであるが。
関係者の方々に、せめて一言声をかけてあげたい、ご苦労様でしたと。
書名 レヴァイアサン戦記 2、3、5BR>
著者 夏見正隆
出版 徳間文庫(1996/11/15 (5巻))
分野 小説
SFマガジンで仮想戦記と見せかけておいて途中で怪獣小説となると紹介されていたが、最初から最後まで怪獣小説であって、仮想戦記の要素はどこにも無いのであった、好古真之さんの”仮想戦記目的にこの本を買う人はいない”の言葉は正しかった。
私自身も眼中になかったし。
笑える小説、どう笑えるかは、上手に紹介されているサイトを見つけたのでそちらを参照してみてください(←人に頼るな)。
MURAJIさんの書評
しかし、この本、笑えるは言っても、我が人生においてどうでも良いというか読まなくても損した気分にならない本ではあるなあ。
しかし無駄の中にこそ楽しみがあるのも確かで、うーむ。
書名 ルソン海軍設営隊戦記
著者 岩崎敏夫
出版 光人社(2002/06/23)
分野 軍事
前半部は設営部隊の一員としてフィリピンに赴いた著者の手記。
後半部は著者の所属していた部隊を調べ上げて書いた部隊の記録。
著者の鎮魂の記、多くの命を亡くされた方についての記録。
書名 最後のユニコーン
原題 The Last Unicorn(1968)
著者 ピーター・S・ビーグル
訳者 鏡明
出版 ハヤカワ文庫FT(1979/04/15)
分野 ファンタジー
SFマガジン掲載の「ゴッテスマン教授とインドサイ」が良かったので同じ著者の本を読んでみた。
名作の誉れ高い作品でしたが最初、別に普通だよなあー???と思いながら読んでいました。
非常に美しい話ではあるのですが、何か作為的なものを感じて心を打たなかったのかなあ???。
後半1/3ぐらいからそんな感も失せました、評判通りこれは名作だわ。
これはおすすめのファンタジーです、最初に書いたとおり非常に美しいファンタジーでした。
とはいえ私的には醒めた気持ちでいるのは確かで、同じユニコーン物でもスワンの短編「ユニコーンの谷」の方が好みだなあ。
書名 虚構戦記研究読本 戦術・作戦篇
書名 虚構戦記研究読本 兵器・戦略篇
著者 北村賢志
出版 光人社(1999/08/27)
分野 軍事
仮想戦記でよく取りあげられるifをとりあげ検証してゆく本。
例えば珊瑚海海戦において攻撃を続行していたらどうなったか、など。
書いてあることは非常にまともかつ良質なので、太平洋戦争に興味を持ちはじめた方にぜひおすすめしたい。
ただ参考文献から見てとれるとおり、書いてある内容は薄口なので、私としては得るところが無かったような気がする。
書名 宇宙戦記 超戦士コブラ
原題 Cobra(1985)
著者 ティモシィ・ザーン
訳者 野田昌宏
出版 ハヤカワ文庫SF(1989/08/31)
書名 宇宙戦記 コブラ部隊出撃!
原題 Cobra Strike !(1986)
著者 ティモシィ・ザーン
訳者 野田昌宏
出版 ハヤカワ文庫SF(1991/02/28)
書名 宇宙戦記 コブラの盟約
原題 Cobra Bargain(1988)
著者 ティモシィ・ザーン
訳者 野田昌宏
出版 ハヤカワ文庫SF(1991/09/30)
分野 SF
体内にコンピュータやレーザーガンなどの各種兵器を組みこんだ、サイボーク兵士コブラが活躍するスペースオペラ。
一応ドンバチだけでなく、サイボークとなった主人公が故郷に帰ってのち娑婆の生活に適応できなかったり、サイボーグ手術の後遺症で身障者になったり味付けはしてあるけど、今一つだなあ。
『死者たちの星域』のザーンだからなあ、個人的には苦手な作家かもしれない。
書名 ラバウル航空隊の最後 −陸攻隊整備兵の見た航空戦始末−
著者 渡辺 紀三夫
出版 光人社(2002/03/12)
分野 軍事
751空の整備員だった方の手記、最前線の基地に居たので空襲にも遭遇されていますが、連合軍の空爆威力を思い知らされる。
日付についての記憶はかなりおぼろげになっているようだ。
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