2001年2月の読書感想


書名 革命・大戦・平和
著者 ゲ・カ・ジューコフ
出版 朝日新聞社
分野 軍事

ソ連の名将ジューコフの回想記。
第2次世界大戦勃発時のドイツのポーランド侵略については記述していながら、ソ連のポーランド侵略には触れていないので、いきなり胡散臭さを感じた。
その後も1941年度のキエフでの大包囲戦や、ヴィヤジマや、ブリャンスクでの敗北にも触れなかったりしているので、こういった有名な出来事ばかりでなく他のもっと知られていない出来事に関しても、隠蔽しているんじゃないかと勘ぐってしまう。
1943年のハリコフ戦に関してもどうせ触れていないんだろうと思っていたら、2行ほど触れてあった、その後のクルスクでの戦いについて書きたいので仕方なく状況説明用に書いたんだろう。
クルスクでの戦いが戦争の帰趨を決したという点については、『焦土作戦』の著者パウル・カレルと意見が一致している。
1944年のワルシャワ蜂起についても触れていないと思いきや、触れてあったが、ソ連側の意向を無視して勝手に蜂起するほうが悪いといった書き方でした。
触れたくなかったが、人道的に有名な事件なので触れずにおくことができなかったのだろう。
貴重な資料であることは確かではあるが、取り扱いには要注意といったところか。


書名 ワルシャワ反乱
著者 ギュンター・デシュナー
訳者 加藤俊平
出版 サンケイ第二次大戦ブックス56(1973/9/30)
分野 軍事

「1944年8月、ドイツ占領下のポーランドのワルシャワにおいてポーランド人の地下組織が蜂起した、ソ連軍がドイツ軍を押し返して来てワルシャワ解放の時が迫って来たためポーランドの戦後の立場を良くするために、前もってワルシャワを確保しておきたかったのだ。
しかし、ソ連はそれを望まずワルシャワ前面で停止、蜂起も作戦ミスにより失敗。
それに対応するドイツ側も囚人部隊、ウクイライナ人を主体とする部隊など、軍規の芳しくない部隊を投入したため、初動に失敗、市民20万人の命を巻き込んだ2カ月に及ぶ市街戦が始まった。」


読んだきっかけはジューコフの回想記を読んで、本当の所はどうなのかと興味を持ったことでした。
著者はドイツ人だが、ドイツ側に都合の悪いこともしっかり書いてあり、ジューコフの回想記と反対に信頼を置いて読めた。
この事件についてはかつて、シミュレーションゲーム雑誌の「シミュレータ」に掲載されていた記事を読んでいた程度の知識しかなかったので、いろいろ興味深かったです。


書名 神々の山嶺 上、下
著者 夢枕獏
出版 集英社(1997/8/10)
分野 その他

『白き嶺の男』谷甲州著の読書感想文を書いたときに、「これ以上山岳小説にかかわるつもりはない」と書いたのですが。普段お世話になっている掲示板で、この本も読んでみないかと教えていただいたので読んでみた。多分「かかわるつもりはない」などといって、読まずにいるのはもったいないと思って、教えてくれたのでしょう。
面白かったです。こんなことがなければ、読まずに死ぬところだった。

「失敗したエヴェレスト登山隊にカメラマンとして参加していた深町誠は、ネパールの古道具屋でカメラを見つけた、それはエヴェレストで消息を絶ったマロリーの持っていったカメラと形式のものだった、中にフィルムは入ってなかったが、もしマロリーがエヴェレスト登頂に成功して写真を撮っていたら、登山史は塗り替えられることになる。
なんだかんだあって、(←ここらへんをうまくまとめられないところが、本の編集者との大きな違いだ)。
カメラは持ち主のピカール・サンが持ち去ってしまう。
そしてピカール・サンの姿をみて深町は気付く、彼は日本の有名な登山家 羽生丈二ではないのか?。日本に帰ってから、深町は羽生の行動を追い始める、カメラの謎を解くために」


「他の本と比べてけなしたりせずに、その本の良いところを見つけ出す」と教えてもらいながら、今回は読みながら『白き嶺の男』と比べずにいられませんでした。
読む前は『白き嶺の男』より面白かったらどうしようと、思っていました。
谷甲州のファンですから、それより面白いと書きたくはないな,などと考えたのです。
こう考えるあたりはHPを作って読書感想文を発表しはじめた弊害ですね。
そうじゃなきゃこんなこと考える必要ありませんから。
読み始めて比較が無意味なのに気付きました、同じ山岳小説でも手触りが違うのです。
ひたすら山に昇りつづける『白き嶺の男』と推理物の要素を含んだ『神々の山嶺』は同じ事を扱いながら、違うものでした。
同じ事というのはある一人の天才クライマーの姿を周りの人々の証言によって浮かび上がらせてゆくという手法がです。
ただ『白き嶺の男』が主人公とかかわりあったクライマーの一人称形式の連作短編集形式をとるため、主人公の姿はかなり鮮明なのに対して、『神々の山嶺』の羽生丈二の姿は、深町が羽生にかかわった人々から取材しているため、よく見えてきません。
ですが、これはどちらが良い悪いといった問題ではないでしょう。
私がこの小説で一番興味深かったのは、この上巻の羽生についての取材部分でした。
この小説には、もう一人の天才クライマー長谷常雄が登場します。
社交力のある長谷は羽生より一歩進んだ実績をみせるがゆえに、羽生の行動に大きな影響を与えます。
この長谷を実在の人物だと勘違いして読んだために、実在の人物の行動を元にうまく物語を作るなあと感心していたのです。
長谷常男の名前を山際淳司のノンフィクション『みんな山が大好きだった』で見た覚えがあったのですが、これは間違いで、長谷川恒男という実在の人物をモデルに長谷常男というキャラクターが作られたみたいで、山際淳司の本に載っていたのも当然長谷川恒男でした。
下巻の後半はひたすら山昇りです。ここらへんは、ここまで読んできた人のお楽しみということで、気になる人は読んでください、山っていうのは厳しい所だなあ。
それと『白き嶺の男』では高所で苦労しながらインスタントラーメン作って食べるシーンが沢山出てくるので(短編集ですから)、何でラーメン?、もっとお湯わかさなくていい食料じゃだめなの?って思っていたのですが、『神々の山嶺』はラーメン食べてません。
ラーメンは谷甲州が山に登るときに食べているのかな
『白き嶺の男』とどちらが面白かったかというと、どっちも面白かったんですが。
「これ以上山岳小説にかかわるつもりはない」と書いておかないと『白き嶺の男』が負けたような気になるので書く。(←勝ち負けの問題じゃないだろうオレよ)。 でも今ボブ・ラングレーの『北壁の死闘』がとても気になっているんだよな。
カメラのアイデアに関しては、村上もとかが『クライマー列伝』で書いてますね、いいマンガなんで『神々の山嶺』が面白かった人は読んで見てください。私の山のイメージはほとんどがこのマンガから来ています、画の威力は大きい。
『神々の山嶺』の舞台となった『南西壁』も画になってますよ。
それから今回感想文中に出てきた山際淳司の『みんな山が大好きだった』は山男たちに関するノンフィクション『白き嶺の男』の主人公や羽生丈二、長谷常男のモデルとなった人も出ています。
気になった人はどうぞ


書名 撃墜王
編者 スティーブン・クーンツ
訳者 高野裕美子 出版 講談社文庫
分野 軍事

最初書店で手にとった時、帯びに「航空小説の第一人者が編集した航空小説アンソロジー」(帯がもうないので文章は不確かです)という文章を目にして、へっ?クーンツって航空小説の第一人者だったの?。っていう事が念頭に浮かびました、この時私の頭の中にあったのはクーンツはクーンツでもホラー小説家のディーン・R・クーンツなのでした。
結局家に帰って解説読んで『デビル500応答せず』の文字が目に入るまで誤解に気付きませんでした、『デビル500応答せず』は『レッドオクトーバーを追え』とかのハイテクスリラー小説(っていうのか?)がブームだったころに出版された小説の一つで、それらの小説群の中で一番好きだった小説だったのです、そのころはクーンツっていう文字を書店で見かけるたびに、おっ『デビル500』の作者か!と手にとっては違う、これはオレが読みたいクーンツではないと、放り出していました(本当に投げてはいません)。
いつの間にかデビル500の作者のことは忘れてしまい、今回は逆の勘違いをしてしまったのです。
話を『デビル500応答せず』から『撃墜王』に戻しまして。この『撃墜王』が本当に帯に書いてあるとおりに”航空小説アンソロジー”なら、買わなかったでしょう。
それなら私の興味の範囲外です。ですが目次を開いて目に飛び込んできた著者名は・・・マッカデン、リッケンバッカー、フォス、プランゲ、トリヴァー・・・有名な航空機搭乗員や戦史家ばかりじゃないか、そう、これは”航空小説”ではなく”航空ノンフィクション”アンソロジーだったのです。
喜んで買って帰りました、やるじゃねえかクーンツ(←この時点では未だ誤解している)。

「 史上初の空のエース」 アーチ・ホワイトハウス
第一次大戦中最初にドイツのツェッペリン飛行船を撃墜したレギー・ウォーンフォードについての話です、この人はその直後に事故死しているので推定も混じっているのですが、その部分はきちんと推定であると断り書きがしてあります。
ここらへんが小説とノンフィクションの違いです。この話は知りませんでした。

「誇張されたゲーム」 ジェームズ・マッカデン
第一次大戦中のイギリスのエース、マッカデン本人によるもの。
これがこのアンソロジー中、一番印象深かったです、何しろ第一次大戦中の空戦記などお目にかかったことはありませんでしたから、空の狩の様子は私の想像と大きく相違があって、大変興味深かったです、YA小説で何度か目にしたことがある第一次大戦中の空戦場面とは全く異なったとだけ書いておきましょう。

「英雄的人生」 エディ・V・リッケンバッカー
これまた第一次大戦のアメリカのトップエース、リッケンバッカーの書いたものですが、こちらは映画の撮影の話というところが変ったところ。
終わりの方に奇襲をしてきたフォッカーとの空戦場面も出てきますが。
マッカデンの手記とはだいぶ感じは異なります

「死刑執行猶予」 アラン・C・デーア著
時は第二次大戦に移ります、バトル・オブ・ブリテン時のイギリスのエース、ディーアの手記。
この人の本は翻訳されていませんが、あちらこちらで少しずつ紹介されている人です。
最初に作ったスピットファイアの模型はこの人の搭乗機に塗装したものでした。

「スピットファイアー、指揮官を撃墜せり」 エドワード・H・シムズ
航空戦史家がある日のアドルフ・ガーランドについて書いたもの。
ドイツの有名なエース、ガーランドも一日に2度も撃墜されたことがあるという話。
それでもガーランドの闘志は衰えなかった。

「君が代」 ゴードン・W・プランジほか
プランゲはアメリカの真珠湾、ミッドウェー作戦研究の第一人者。
その著書『ミッドウェーの奇蹟』からの抜粋。
この本は翻訳されてますね。

「この命、明日のために」 ジョー・フォス ドナ・ワイルド・フォス
この本で一番期待したのは、このフォスの手記とリッケンバッカーの手記でした。
結論としては、はずれで、フォスの手記のこの部分はかつて航空雑誌に翻訳されているんだよな。
別の日の部分を抜粋してあればよかったのに。

「ターゲットは香港」 ロバート・L・スコット・ジュニア
有名な『神こそわが副操縦士』よりの抜粋、これも『フライイング・タイガース』の名で翻訳がありますね。

「戦闘機パイロットのクリスマス」 グレゴリー・“パピー”・ボイントン
バーバー・ブラックシープからの抜粋。これまた『海兵隊撃墜王空戦記』の名で翻訳され今でも入手可能です。

「星は輝きつづける」 フィリップ・オードリー
アメリカの重爆搭乗員による手記、これは読んだことがなかったので、興味深かったです。

[ザ・ランナー」 ハンス・ウルリッヒ・ルデル
ドイツの急降下爆撃機搭乗員による手記、この本も『急降下爆撃』の名で翻訳があります。
なぜランナーかって、それはひたすら地上を走る(ソ連兵から逃れて)部分の抜粋だからです。

「地上最強のエース」 レイモンド・F・トリヴァー トレヴァー・J・コンスターブル
戦史家によるドイツのトップエース、ハルトマンについての伝記からの抜粋。
この本も2度にわたって翻訳あり『鉄十字の騎士』だったかな?。

「鉛の十字章」 アドルフ・ガランド著
中隊長で開戦を迎え中隊長で終戦を迎えた。アドルフ・ガーランドの手記『始まりと終わり』からの抜粋、フジ出版の本は最近復刊相次いでいるのでそのうち、復刊するんじゃないのかな。

「最後のサムライ」 坂井 三郎ほか
日本の撃墜王坂井三郎の手記からの抜粋。
このアンソロジー読みながら自分ならどんなアンソロジーになるだろと考えたときに、思い浮かべたの中の一つがこのエピソードでした。
あとは、582空の明慶兵曹の帰投シーンと、244戦隊の丹下少尉とお父さんのエピソード、702空の丸山少尉機の夜間爆撃、『私はゼロと戦った』よりラボール空襲、ついてないカタヤイネンについて、エゴン・マイヤーについての話も欲しいね。

「エノラ・ゲイの飛行」 ゴードン・トーマス著 マックス・モーガン・ウィッツ
アメ公が編纂したアンソロジーなんだから、この話も当然入ってくるだろうね。

「スパッド・パイロット」 ロザリオ・ラウサ
「泥沼の戦争」 ジャック・ブロートン
「ザ・プロフェッショナル」 ジョン・B・ニコラス、バレット・ティルマン
「艦載機パイロット」 フランク・エルキンズ
「アクロバット飛行」 ヒュー・L・ミルズ・ジュニア、ロバート・アンダーソン
「最後のエース」 スティーブン・クーンツ
以上朝鮮戦争1篇、ベトナム戦争5篇が収録されているが、興味がないのでざっと、目を通しただけ。「アクロバット飛行」ヘリコプターによる対地銃撃を扱った、この話だけは、殺す対象の人間を実際に視認しつつ殺傷して、平然としている。読んでいて、おぞましさを感じた、エノラゲイの搭乗員でも、殺傷する対象は視認していないのだ。
編者はマッカデンと比較しているが、比較してはマッカデンがかわいそうだろう。
この件に関しては、戦争でためらいを感じる方がおかしいと、言う方もいるだろう、だが、戦記を読んでいると、実際に相手の姿を認めた時に、躊躇する例はいくらでも存在するのだ。
例として、宮崎勇氏の回想記や坂井三郎氏の回想記など


書名 みんな山が大好きだった
著者 山際淳司
出版 中公文庫(1995/7/18)
分野 スポーツ・ノンフィクション

再読
『神々の山嶺』の登場人物のモデルとなった人がどんな人だったのか、その部分だけピックアップして読むつもりが、読みはじめたら、つい全部読んでしまった。
長谷常雄のモデルは長谷川恒男の他に加藤保男も混じっているようだ。
1996/9/10の5版となっているので、その頃読んだはずなので、約4年半経過していることになるのだが、たかだか4年でも、その間にこの本で注意を惹かれる所は異なってきている、今回思ったのが、「人間は死んだら天国で親しい者と会えると慰めを感じているものなんだな」ということで。
山で遺体が見つかった時に残されていた遺書に、そのことを匂わす文章が複数出てきていた。
現在の私は天国の存在を信じられずにいるので。うらやましいような気がした。
私が注目したのが、この部分だということで、山際さんの注目していた所は別にあります。
まえがきの章題である「いまこそ鮮烈な生き方を」というのが、そこだと思うのです。ただこれだけ抜粋すると山際さんが「鮮烈な生き方」をしなければいけないと書いていると、思う方がいらっしゃると思いますが、そうではなく、そんな生き方もあり。それも悪いことではないと言っているのです。
あと、平田恭助氏の父親の手記(P268)が心に響きます


書名 北壁の死闘
著者 ボブ・ラングレー
出版 創元ノヴェルズ(1987/12/18)
分野 冒険小説

『神々の山嶺』の感想で『北壁の死闘』がとても気になっていると書いたのですが、普段お世話になっている掲示板で面白いとお墨付きをもらったので、読んでみました。
『鷲は舞い降りた』が好きな人にはお勧めだそうで、確かに似た所はありました。過去の事件を掘り起こして物語ってゆく所などが。
ちなみに『鷲は舞い降りた』は大好きです。これと『女王陛下のユリシーズ号』『深夜プラス1』は私の冒険小説3大巨頭です。
『北壁の死闘』は・・・、この3つにはちょっと落ちるかな、でもちょっとだけだ。
冒険小説といっても最初から最後までずっと山に登りっぱなしで、しまいには任務を忘れてしまってますが冒険小説読みの人は怒らないのでしょうか。私は怒りません。
こういった話が読みたかったのです。
『みんな山が大好きだった』と連続して読んで思うことが、現実も小説に劣らずドラマチックだということなんですが、ノンフィクションの場合、その人の死に悲しんでいる人がいるはずで、それゆえに軽々しく感動しただの、面白かっただの、思うことすら、憚れるのですが。
こちらは小説なので、軽々しく言えます、偉いぞヘンケよ。
最後に、この『北壁の死闘』中の計画立案者として、スコルツェニーが登場し、ムッソリーニ救出の立役者として紹介されているのですが、「降下猟兵が主役として行なった作戦であって、その計画から実行に至るものである」つまりスコルツェニーはついてきただけである、と降下猟兵側は主張しています。(『ストーミング・イーグルス』、大日本絵画刊より)。参考までに。


書名 アポロの彼方
原題 BEYOND APOLLO(1972)
著者 バリー・N・マルツバーグ
出版 ハヤカワ海外ノヴェルズ(1980/7/31)
分野 SF

カバーにあらすじが書いてあるのですが、あまり関係ないと思います。
発狂して地球に帰還した宇宙飛行士の手記、独り言などを中心に67にも分割された細かい章に別れているので、一つ一つがジグソーパズルのピースで、それぞれ興味深かったり、意味不明だったり、さまざまな模様をみせるのですが、そのピースを組み合わせて絵を完成させることができない様なイメージを持ちました。絵を組み立てることができないのは、私の読解力不足ですが、それでも一つ一つのピースの模様が楽しめればいいかと思う。なんかよくわからないけれど、凄いような気がします。

2001/02/18追記
その後、ピキーンときて、完成しないと思っていた、自分なりのパズルの絵が完成してしまいました。「火星探検隊、金星探検隊が遭遇したのは前宇宙からの残滓であるM・Eで、発狂しているかのようにみえた、帰還した宇宙飛行士のエヴァンズは、M・Eでありエヴァンズでもある」っていうのが私が組み立てた絵です。そうか、そうだったのかー、これですべての辻褄が合うぞー。この本は絶対に読まねばならない本だったのだー。


書名 図解雑学 重力と一般相対性理論
著者 二間瀬敏史
出版 ナツメ社(1999/12/16)
分野 その他

SF読む時の予備知識用に読んでみた。
結果だけはSF読んでいると自然に頭にはいってくるようで、知らなかった新事実的なことはほとんどなかったのですが、結論が導かれた経過などは知らなかった事がほとんどでした。図解があるのでわかりやすかったです。


書名 魂のラリアット
著者 スタン・ハンセン
出版 双葉社(2000/10/20)
分野 スポーツ・ノンフィクション

不沈艦の異名をもつ日本を主戦場としてきた外人レスラーの自伝。
本人が自分のことを語ったものなので、私がとやかく言うことは何もありません。
ただ25年以上もレスラー生活をしてきた人のことを、たかだか200ページの文章で語り尽くせるはずもなく、これだけでは物足りない。
今になって思うとこの人の試合を生で見たことは一回もなく終わってしまったのだが、この人がどれだけ素晴らしいレスラーでも試合をする相手が役不足では見ても仕方がなかったと自らを慰めておこう。
この人のベストの試合は、現役を終えた団体で行った試合ではないと思うのです。


書名 タンクバトルI
著者 斎木伸生
出版 光人社(2001/3/1)
分野 軍事

以下に著者の後書きより抜粋します。
「筆者のフィールドは両書のように、(引用者注「異形戦車ものしり百科」「ドイツ戦車発達史」)かつてのプロモデラー時代から引きずってきたメカそのものなのは確かで、それが先の著書につながりました。とはいえ戦争をメカニカルな興味だけで語るのは間違いだと思います、戦争がどんなにメカニズムが発達しても、実際に戦うのはやはり人間です。戦車のカタログ的な本だけではわからない利点、欠点、魅力、その存在意義などを十分に理解するためには、どうしても実際の戦いの中で戦車兵たちがどのように戦車を使いこなし、勝利あるいは敗北し、悲喜劇を演じてきたかを知ることが必要だと思います」
雑誌丸への連載記事を中心に19章にわけて、1941年までの戦車戦を戦術レベルで紹介している。地図も適切に付加されており、状況を把握しやすく、読みやすいので良いと思う
丸自体を購読していないので、このような記事が掲載されていたとは全く知りませんでした。
雑誌の記事も一冊にまとまると壮観だ。
私は著者と反対にメカニックがどうのこうのといった事には興味がないので、著者の先著2冊は読んでもないし、買ってもいません。逆に実際の戦いはどうだったかには、興味があるのでそれに焦点が当てられた本書は買って読みました。

書名 2001年版プロ野球問題だらけの12球団
著者 小関順二
出版 草思社(2001/2/20)
分野 スポーツ・ノンフィクション

前年度に出版された同一タイトルの本の2001年度版。
著者は2年続けるのは苦しいと書いていますが、OKでしょう。このミステリが面白いとかが毎年出版されているようなものですから。最も買うかどうか迷ったのも確かなのですが、(ロッテにおいて)「現場よりフロントに意識革命が必要なチームかもしれない」という文章に共感して買ってしまいました。前年度版と比べて技術的な事にも言及しており、マンネリにならないよう気を使っていることが見うけられ、好感がもてました。
各球団の戦力状況、チーム作り構想が読みやすくまとめられています。
それにしても広岡GMを解雇したのは、痛恨の出来事だったなあ。
一旦チーム作りを任せたのだから、外野の声などに惑わされず、我慢強く待っていれば良いのに、だから、意識革命が必要なのはフロントなどと、言われるんだよ。


書名 ルソンの砲弾
著者 河合武郎
出版 光人社NF文庫(1999/6/14)
分野 軍事

電車の中で読んだのですが、どうも電車の中で読むと頭に入らなくて困る。
著者の所属した野砲兵第8連隊のフィリピンでの戦いについて、著者が調べて書いたもの。
どうも、この本の前に著者自身の回想記もあるらしい。
日本陸軍の砲兵、又は野砲兵第8連隊について、又は1944年〜45年のフィリピン戦に興味のある方はどうぞ。
私自身は、この本を読む前にルソン島の戦い全般の概要を把握して、この本で扱っている部分がルソン島全般の戦いにどのような影響を及ぼしたか、おおまかに把握してから読むべきでした。

書名 フラッシュフォワード
原題 FLASHFORWARD(1999) 著者 ロバート・J・ソウヤー
訳者 内田昌之
出版 ハヤカワ文庫SF(2001/1/31)
分野 SF

ほかの素粒子に質量を与えるヒッグス粒子を発見する目的で行われた実験をきっかけにして、全人類の意識が数分ほどの間、21年先に飛んでしまった。その間は現時点での意識は空白になるので、離着陸中の飛行機は墜落するし、走行していた自動車もドカーン。
こんな大事故が起こったら当然政治的な問題が起こるんですが、この本は政治的な事には必要最小限以上立ち入りません。事故を起こしたものを裁くのは、人間の感情です。
この話の設定上いくらでも政治的な物語に発展してゆけるので心配したのですが。これは私としては嬉しいです、普段軍事関係の本を(SF読みとしては)かなり多く読んでいるので、SFの本でまで政治の話は読みたくないのです。
物語はロイド・シムコーとヒロコ・コムラ、テオ・プロコピデスを中心にして進んでゆき脱線することがないので、理解しやすく、またなぜこのような事故が起こったのか、未来は確定したものなのか、変えられるものなのかといった議論も、それらしい理論付けの元に進むので楽しいです。
分厚い本ですが、私の場合でたかだか4時間で読み終える事ができました。
朝電車の中で読んでいて、あまり面白いので、会社サボリたくなったぐらいなので。読んで損なしだと思います

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