ミルン湾を攻撃する飛鷹攻撃隊
オロ湾攻撃の飛鷹攻撃隊に続いて、イ号作戦時にミルン湾を攻撃した飛鷹攻撃隊の編成を紹介します
この後飛鷹飛行機隊は昭和19年2月のラバウルにおいて再び戦線に顔を出すことになりますが、顔ぶれはがらりと一新していました。
なぜなら、イ号作戦に参加した飛鷹飛行機隊は丸ごと龍鳳に移籍し、飛鷹飛行機隊は新たに編成されることになったからです。
龍鳳に移籍した彼らは昭和18年7月連合軍の反抗が始まって激戦が始まった中部ソロモンの戦いに身を投じることになります、そして現地での2航戦飛行隊の解散と共に他部隊に吸収され戦い続けることになります。
『日本海軍戦闘機隊』秦郁彦、伊沢保穂著から中部ソロモンにおける龍鳳戦闘機隊の戦没搭乗員を見てみますと以下の方々がおります。
大谷貢 上飛曹 18/07/07,レンドバ
岩瀬治助 二飛曹 18/07/11,レンドバ
鈴木泰二 二飛曹 18/07/15,レンドバ
中囿 芳男 二飛曹 18/07/17,ブイン
平本 政治 上飛曹 18/07/17,ブイン
イ号作戦時の飛鷹の飛行機隊そのままであることが見てとれると共に、中部ソロモン航空戦の恐るべき消耗の激しさがみてとれると思います。
しかし、あれですね、豊田中尉の2番機だった土屋孝美さんはこの時点で一飛曹ですね、作家の豊田穣さんは記憶だけで書くことも多かったようで、間違いは所々であるなあ、今の今まで二飛曹だとばかり思っていました。
豊田さんにとって書きたかったことは戦史云々といったことより、もっと他のことにあったのでしょう。
豊田さんの話が続きますが、豊田さんの小説に「宇垣司令長官突入す」という短編があるのですが、宇垣長官と共に特攻出撃した方の名前を挙げてからこう書いています。
「このリストを見て、筆者は、感慨深い名前が二つある。大木正夫、山川代夫の二人の上飛曹である。
二人共、著者が飛鷹乗組で分隊士と飛行隊士を勤めていた時の艦爆隊員である。大木は偵察員であるがひょうきんなところがあり、佐世保上空を飛行するはずのものが、長崎上空を旋回したりして、隊長に叱られたことがあった。
山川は無骨で無骨で精悍な操縦員であった。二人とも、イ号作戦のときは一飛曹で、筆者と共にガダルカナルの攻撃に参加した。筆者は捕虜となって生き残り、大木と山川は終戦の日に、宇垣長官と行を共にしたのである。
私はこの二人の命日は忘れないであろう。」
今回も60kg爆弾を装備しての出撃です、やっぱり飛行距離が長かったでせいなんでしょうか?。
前月に582空の艦爆隊がオロ湾攻撃に250キロ爆弾装備でラバウルから出撃し、帰途スルミ(ニューブリテン島の真中当り南岸にあります)で補給してラバウルに帰還していることがあるので、250キロ爆弾装備では後続距離不足気味のようですが、582空の例のように帰途、中継点を使うこともできたはずです。
輸送船相手には60キロ爆弾で充分だと考えていたのか、はたまた中継基地の収容力の問題なのか
消耗弾に20mmが混じっているのも変ってます、記録上でのミスでしょうけれども。
4/14 ミルン湾敵艦船爆撃
参加機数 零戦20、九九艦爆12(飛鷹所属機のみ、全体で零戦129機、艦爆23機、一式陸攻44機参加)
撃墜戦果 P−38 1、P−39 1、P−40 1撃墜
P−38 1不確実撃墜
下記隼鷹との合同戦果
大型輸送船2、中型輸送船1撃沈
大型輸送船、中型輸送船3、小型輸送船1 大破炎上
消費爆弾60kg x 20
900 攻撃隊合同ラバウル上空発進
1140〜1150 爆撃
1600までに零戦20、艦爆11ブナカナウ帰着 行方不明1
艦爆隊編成、操縦員、偵察員の順で書いてあります。
1D
池内利三大尉(兵65)、河合治郎少尉(乙2) 60x1 20x50 7.7x100 被弾1
沓名達夫上飛曹(甲4)、有本静二飛曹(乙10) 60x2 20x150,7.7x270 被弾5
留田義信飛長、久原滋二飛曹(偵51) 60x2 20x60 7.7x150 P−39 1撃墜
2D
松本幹夫中尉(兵69)、水谷廣恵一飛曹(偵41) 60x2 7,7 x 250
坪井勝久飛長、山口浅次郎飛長 60x2 20x300 7.7x200
3D
大木忠一飛曹長(操32)、浜田徳夫飛曹長(乙5) 60x2 7.7x50(?)
斎藤信一二飛曹(乙11)、浜田寛二飛曹(乙11) 行方不明
4D
沖田修三飛曹長(操)、村上俊博中尉(兵68) 60x2 7.7x100 被弾?
土屋孝美一飛曹(操48)、宮本博光二飛曹 60x2 7.7x150 被弾1
5D
鞘野宗夫上飛曹(操21)、井上泰雄上飛曹(乙7) 60x2 7.7 x 250
苗代正雄飛長、藤本正幸二飛曹(乙11) 60x2 20x30 7.7 x 300
山口護二飛曹(乙11)、橋本満明二飛曹(乙11) 60x2 20x100 7.7x100
2/1D,1/2D,4D,5D 大型輸送船2撃沈(隼鷹合同)
2・3/1D,1/3D 中型輸送船大破炎上
2/2D 小型輸送船大破炎上
大型輸送船、中型輸送船大破炎上
戦闘機隊編成
藤田怡与蔵大尉
平本政治上飛曹
宮西利雄飛長
大島末一中尉
岩井二郎二飛曹
森鳰英雄飛曹長
西元久男飛長
岩城万蔵中尉
小川清飛長
増山保雄中尉
馬場武産一飛曹
大谷貢上飛曹
田中喜作飛長
関谷丈雄中尉
安達繁信一飛曹
中囿芳男飛長
森貢飛曹長
鈴木泰二飛長
松本秀頼飛曹長
二木正美二飛曹
米側記録では40機のP−40及びP−38が迎撃し3機を失い、弾薬運搬船が沈み、掃海艇2隻輸送船1隻が損傷したとしている。
参考文献 『日本空母戦史』 木俣滋郎
「飛鷹飛行機隊行動調書」
『AIR WAR PACIFIC CHRONOLOGY』ERIC HAMMEL』
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