2002年12月の読書感想


書名 陸軍重爆隊
著者 伊澤保穂
出版 朝日ソノラマ(1996/07/10)
分野 軍事

再読、素晴らしいです。
さすが、航空戦史家の第一人者のうちの一人の作品です。
必読の書です。古書店で見つけたら迷わず買うべし。

大戦初期においてレーダーを使用していない夜間迎撃を受けた際に、排気炎を視認されて撃墜された機が多かったことに今更ながら気付く。
消炎排気管の有効性を実感する。

しかし、伊澤保穂さんももうすぐ60歳になるのか。
歳月の過ぎ去るのは早いものだ。

書名 フィリップ・K・ディック・リポート
編者 早川書房棒編集部
出版 ハヤカワ文庫SF(2002/11/30)
分野 SF評論

ほとんどSFマガジンに掲載された記事の再録ばかりの感があり、お買い得感皆無です。
本邦初訳短編が1編掲載されていては買わざるを得ないけど、これを目 玉に持ってこられても寂しいなといった感じです。
この短編の出来事体はけっして悪くはないんだけどねー。


書名 A君(17)の戦争 4
著者 豪屋大介
出版 富士見ファンタジア文庫(2002/11/25)
分野 YA

この巻は必要ないんじゃないのかなー。
趣向が変わっていても、この巻単独で素晴らしい出来になっていれば、文句は言わないんだけども、そうじゃないもんなー。
文化祭物は料理次第では大好きになれそうな題材なんだが。


書名 真珠湾の暁
著者 佐藤大輔
出版 徳間文庫(2002/11/15)
分野 軍事、その他

面白いねー、一見の価値ありです。さすがだ。
後半の小説はどうでもいいけどね。


書名 ミゲル・インデュライン
著者 クリスティアン・ラボルド
出版 未知谷(//)
分野 スポーツノンフィクション

私はペドロ・デルガド選手のファンで、インデュラインはそのチームメイトだった。
というわけで読んでみたのだが、デルガドにはほとんど言及されていなかったとかそんな理由でなく。ダメな本だった。
変に文学指向で、インデュラインという人物の経歴の上っ面だけ紹介してゆくにとどまっている。
ツール・ド・フランスという自転車競技の舞台のひとつについて、著者なりに考察したところを読ませてもらいたかった。
日本ではツール・ド・フランスについての書籍事体が珍しいので、あり難いといえば有りがたいのですが。


書名 ツール・ド・フランス物語
著者 デイヴィッド・ウォルシュ
出版 未知谷(1997/07/05)
分野 スポーツノンフィクション

新人、ボス、スプリンター、勝者、ジャーナリスト、アシスト選手、監督、クライマー、リタイア選手、ドクター、最下位選手、妻、チャンピオン。
ツール・ド・フランス物語の参加者の中から、それぞれに該当する人を一人選び出して、ツール・ド・フランスという競技を紹介してゆく。
クライマーの章で選ばれているのはキアプッチであるが、デルガドについて、ちょっとだけ言及されている言葉が、私がデルガドのファンである理由を代弁してくれている。
「デルガドの人気は彼の気取らない性格にもよるが、やはり彼のパフォーマンスによるところが大きかった。ピレネーやアルプスの峠で彼がいきなりスパートして、急な斜面を信じ難いスピードで上がってゆく。
これは見ものだった。沿道であれテレビ画面を通してであれ、われわれはその果敢な逃げに眼を見張る。彼はこのまま行けるだろうか?早く飛び出し過ぎたんじゃないだろうか?結果はどうあれ、彼の勇気に喝采するのだ。」



書名 まろうどエマノン
著者 梶尾真治
出版 徳間デュアル文庫(2002/11/30)
分野 SF

ありふれているって言えばありふれている。
けれど、ここは、素直に感動しよう。
そして、直樹君と、鄙子さんに言ってあげたい。
よかったね、と。


書名 陸攻と銀河
著者 伊澤保穂
出版 朝日ソノラマ(1995/10/10)
分野 軍事

再読、この人の書いた本は全て必読の書です。
欠陥機と言う他ない機体で戦わざるを得なかった陸上攻撃機隊の搭乗員達が可哀相すぎる。


書名 ゼロファイター 大空を翔ける男
著者 茶木寿夫
出版 長崎出版(2002/12/08)
分野 小説

この本の主人公粒針氏は実在の人物で、短いながらも手記を発表されているので、わざわざこんな小説なんか読む必要はないんじゃないかな。
えっ、それじゃオマエは何故読んだかって?、一応本人に取材して書かれた本だし、何か少しは新たな情報が書かれてないかと思ったのさ。


書名 ゲートキーパー 上
著者 草上仁
出版 ソノラマ文庫(2002/11/30)
分野 SF

わかってるなら、上下巻同じに刊行してください。
お願いしますよ。
記憶力ないんだから、下巻が出るころには忘れちゃってるよ。


書名 ラベンダー・ドラゴン
著者 イーデン・フィルポッツ
出版 ハヤカワ文庫FT(//)
分野 ファンタジー

騎士がドラゴンを退治しに行ったところ、そのドラゴンは平和主義者なドラゴンだった。
面白そうだと思ったんです、ページ数も180ページぐらいで手頃だし。
だけど、期待通りとまではいきませんでした。
ユーモアファンタジーを期待した私が悪いんです。
生真面目な硬たーい感じのするファンタジーでした。
私には合わなかったけれど、 そんなに悪くはないと思う、たぶん。


書名 零戦の誕生
著者 森史朗
出版 光人社(2003/01/14)
分野 軍事

本屋の棚の前で声を出すことなどない、ぶつぶつ独り言を言っていたら変な人に見えるだろうから。
しかし、この本の著者名を目にした時には、思わず声が漏れてしまった。
「おっ、森史朗やんか!」。
何しろ、名著『敷島隊の五人』以来16年ぶりの新刊です。
実のところ、私この著者の方の消息をかなり真剣に心配していました。
『敷島隊の五人』を出版されてから後、「天皇の若き獅子たち」というような題名の連載を短期間行っていて、それ以来全く音沙汰無しでしたし、ネット上で検索しても森史朗氏のことに触れたコンテンツは全く無いので、この方どうなさっているのだろう、まさか、もう亡くなられているのではあるまいか?。不安がかきたてられます。
よかった、健在でいらっしゃったのですね。

この森史朗という方は、知っている方でも、『敷島隊の五人』という本の著者という認識しか持っておられない方が多いのではないかと思われますが、『敷島隊の五人』の前にも著作はありました。
その一つに『海軍戦闘機隊』1〜4巻があります。
この『海軍戦闘機隊』は私のバイブルと言える本です(沢山バイブルあるけどね)。
私のサイトのコンテンツ海軍水上戦闘機隊はこの本から勝手に名前をいただいている程です。
『海軍戦闘機隊』は当初3巻構成で昭和20年の敗戦に至るまでの日本 海軍の戦闘機隊史になる予定でした、残念なことに、この企画は4巻の珊瑚海海戦を扱った所で頓挫してしまいますが、その詳細さは柳田邦男氏の『零戦燃ゆ』(私の感想)を遙に凌駕するものでした。
この企画の完遂の暁には海軍戦闘機隊史の決定版といえるものが完成していたことでしょう。
完成していれば……、死んだ子の歳を数えるように、この企画の頓挫を惜しんでいました。

今回刊行された、『零戦の誕生』は『海軍戦闘機隊』を改稿のうえ再刊したもので、1巻の2/3程を扱ったものです。
『海軍戦闘機隊』刊行後20年以上が経過し、著者の後書きによるとその後新たな資料が出て来たり、新たに談話を寄せていただいた関係者の方もいらっしゃったそうです。
そういった、加筆修正を加えつつ、海軍戦闘機隊の1〜4巻に相当する部分を順次刊行後未完に終わった5巻に相当する部分も完成させるつもりだそうです。
これが、4巻の予告にあったミッドウェー海戦を扱って完結とするのか、敗戦まで扱うのか、どちらになるのかはわかりませんが。
今度こそ完結することを願う。
搭乗員達の生をなるべく紹介しようとしている姿勢が強いゆえに、海軍戦闘機隊搭乗員達への碑として、相応しい本となっているのだから。


書名 黄泉がえり
著者 梶尾真治
出版 新潮文庫(2002/12/01)
分野 SF

良かったよー、家族の暖かさが身に沁みるよ、カードが好みそうな感じだなと思う。
ちょっと安易な感じのエンディングな気はするけど。
みんな幸せにな。


書名 幻の大戦果 大本営発表の真相
著者 辻泰明
出版 NHK出版(2002/11/25)
分野 軍事

ネット上で読めるようになった「海軍戦闘機隊史」にも本書で触れられている内容はほぼ網羅されているのだけど、当事者の談話が掲載されている点においてこの本はやはり読んでおきたい本でした。
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