2002年4月の読書感想


書名 スポーツ名勝負物語
著者 二宮清純
出版 講談社(1997/11/20)
分野 スポーツ・ノンフィクション

もう5年前の本なのでちょっと古めの記事ばかりですが。
ラグビー、柔道、ボクシング、400メートル障害についての記事が面白かった。
試合のリプレイを画面で見て確認したくなる。
特に柔道の試合においてオリンピック代表選手の古賀選手に勝ちながら、
オリンピックには出場 できなかった堀越英範選手についての次の文章はかっこいい。
「ただノドがヒリヒリするような、真剣勝負がしたい。それをかなえてくれる相手が、「柔道は殺し合い」といってはばからない古賀だったというだけのことなのだ。」
野球の記事についてはもう食傷気味です。


書名 宇宙からオーロラは見えるの? −宇宙飛行士が答える300の質問−
著者 R・マイク・ミュレイン
訳者 金子浩
出版 ハヤカワ文庫NF(2001/06/30)
分野 ノンフィクション

スペースシャトルに乗っていた宇宙飛行士が講演で米全国を回り受けたよく質問の答えを本にまとめたもの、単行本版は500の質問だが、かえってくだらない質問が減ったぶん文庫版の方がいいかもしれない。
月をめざした二人の科学者の感想 で「いやです、こんな宇宙船乗りたくありません、よく搭乗したな。」と書きましたがこの本にこんな記述があった。
「宇宙空間で死んだのは、一九七一年に死亡した三人のソ連の宇宙飛行士だけだ。
軌道離脱のための噴射の直後‐‐まだ宇宙空間にいるあいだに‐‐彼らのカプセルは空気漏れを起こした。
彼らは与圧服を着ていなかったから、コックピットの減圧のせいで死亡したんだ。」

やっぱり、死んでいたんですね。


書名 蒼海の尖兵5、6、7
著者 横山信義
出版 中央公論新社
分野 仮想戦記

設定は無茶苦茶だが
この著者の仮想戦記のシリーズ「八八艦隊物語」「修羅の波涛」よりは面白い、
だんだん成長してきている証か?。
空母機動部隊というものは本書で書かれているものより強力なものと考える、戦力の集中という点において基地航空部隊を遙に凌駕しているからだ。


書名 機神兵団8、9
著者 山田正紀
出版 中央公論社
分野 SF

だんだん面白くなってきました。
だんだんSFっぽくなってきたし。
次の10巻がラストですが、10巻だけ持っていないことが判明、どうする?。
9冊も読んで最後だけ読まないのもしゃくだなあ。


書名 さまよえる海 上
著者 草上仁
出版 ソノラマ文庫(2002/03/31)
分野 SF

「生物資源取り扱い会社ゼネラル・ブリーディング社(GBC)に所属する新米異
生物訓練士のミりは、就職先の選択に激しく後悔していた。なぜなら、
GBCにはまともな人材は誰一人いないし、回ってくる仕事もおかしな
ものぱかりだったからだ。今回の社命も、惑星ウィニヤードの海と川と
水溜りを飼い慣らせという、甚だ不可解な代物……。果たして・人生、
”谷あり谷あリ”のミリに、安息の日日は訪れるのか?痛快スベオペ新
喜劇待望のエピソード2、開幕!!」

裏表紙解説より

スターハンドラーの続編、新たに登場する人物がかなりユニークなのでマンネリになっていない。「売れ」「買え」「クビ」「イカ」「無し」「消せ」

生きていて動く海がどうして動くのか始めて原理的に説明しているSFを読んだように思う。

ポチのイラストを見てかわいいと思うようになってしまっている、感覚を矯正せねば(どうやって?)。

上下巻に分かれるのは一向にかまわないのですが、同時に出版して欲しいと切に願う。
早く下巻を出してもらわないと気になって仕方がない。


書名 竜の反逆者
原題 THE RENEGADES OF PARN(1989)
著者 アン・マキャフリイ
訳者 小尾美佐
出版 ハヤカワ文庫SF(1995/08/31)
分野 SF

「女だって城砦ノ太守になれる−
野心を胸に秘め、縁談を断わって城砦を飛び出したテルガー城砦ノ太守の姉セラ。
男まさりの彼女はやがて無法者たちを従え、近隣の集落を襲撃しはじめる。
ある日、竜の声を聞くことができる少女の噂を聞いたセラは、
この少女を味方に引き入れようと奸策をめぐらすが……
”反逆の女太守"が引き起こす事件を軸に、南ノ大陸の探険を続けるピイマアの活躍などを描く、
人気シリーズ正篇第七弾!」

裏表紙解説より。

マキャフリイは娯楽作を書くのが上手だと思う
この著者の本は随分読んだが。飽きんなあ。


書名 機神兵団10
著者 山田正紀
出版 中央公論社
分野 SF(1994/08/25)

10巻だけ持ってなかったが、新古書店で入手できた。
しかし400円、痛い出費だった。
結局10冊読む労力に見合った作品ではなかったというのが私としての結論です。
1940年代の技術で製作されたロボット兵器にリアリティが感じられなかったのが痛かった。


書名 剣の女王(紅衣の公子コルム2)
原題 THE QUEEN OF THE SWORDS(1971)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1982/06/15)

書名 剣の王(紅衣の公子コルム3)
原題 THE KING OF THE SWORDS(1972)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1982/10/31)

書名 雄牛と槍(紅衣の公子コルム4)
原題 THE CHRONICKES OF CORUM THE BLUE AND THE SPEAR(1973)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/12/15)

書名 雄羊と樫(紅衣の公子コルム5)
原題 THE CHRONICKES OF CORUM THE OAKE AND THE RAM(1973)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1984/02/15)

書名 雄馬と剣(紅衣の公子コルム6)
原題 THE CHRONICKES OF CORUM THE SWORD AND THE STALLION(1974)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 斎藤伯好
出版 ハヤカワ文庫SF(1984/06/15)

分野 ヒロイック・ファンタジー

「剣の騎士をたおした後,ようやくめぐってきたコルムとラリーナの安逸な日々も,旅人ジ ャリーの告げる不吉な知らせによって破られた。リル大王が大軍を結集し、ラリーナの故 国リウム・アン・エッシュに攻めいるというのだ。急を知らせに,リウムヘかけつけるコ ルムら。だが,その大軍の前に味方の軍勢はあまりにも少ない。かれらに残された唯一の 道は,救援を求め隣りの次元界へおもむくことだった。しかし,その次元界こそ,恐るべ き剣の女王キシオムバーグの支配下にあるのだl<法>と<混沌>の神々の戦いを華 麗な筆致で描きあげた傑作シリーズ第2弾!」
剣の女王扉(2巻)解説より。

「愛妻ラリーナの死に意気消沈する<紅衣の公子>コルムを襲う悪夢一一だがそれこそ.コ ルムに助けを求める,後世の人びとからのメッセージだったのだ!旧友ジャリーの忠告 を受け,コルムは自分を招請する人びとのもとへと旅立った。ラリーナの一族の子孫であ るかれらは,東の海の彼方から来たくフォイ・ミョーア>という妖かしの民に,滅ぼされ ようとしていた。かれらを救うためには,失われた宝物,名槍<ブリオナック>を捜さな ければならぬ。コルムは凍てつく雪原を,新たな探索の旅に出発するのだった……<紅衣 の公子>コルムの冒険が,ふたたび始まる!」
雄牛と槍(4巻)扉解説より

コルムは全6巻構成で1〜3巻と4〜6巻の2部構成となっていた。
1〜3巻の部は混沌と法の争いの中均衡を釣り合わせるための法の側の戦士エターナル・チャンピオンとしてのコルム伝。
4〜6巻の部は1〜3巻での事件を無事切りぬけ安寧の日々を送るコルムが未来の人々の呼びかけに答え彼らにとっての半神として未来に赴き敵と戦う。

1部については不満は感じなかった、非常に良い出来のヒロイック・ ファンタジーでした。
2部に関しては、戦争しているだけという感が強かった。
多少の不満が残る。
唯、短命な人と長命なコルムの関係から産まれる生きることに対する感慨のようなことに触れられているところなど2部にも良い点はあったので、こちらも評価したいと思う。

書名 永遠のチャンピオン
原題 THE ETERNAL CHAMPION(1970)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 井辻朱美
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/09/30)
分野 ヒロイック・ファンタジー

「二十世紀に生きる平凡な男ジョン・デイカーを夜ごと襲う悪夢一一エレコーゼ……
エレコーゼ……執拗に囁くその声に耳をかたむけた瞬間、かれは異世界に
古代の英雄エレコーゼとして生まれ変わった!邪悪なエルドレン族を殲滅するために、
人類軍の総大将リジナス王に呼ぴ出されたのだ。英雄エレコーゼの名のもとに、
人類軍は結集し、エルトレンの本拠へ進撃を開始する。先頭にたつは、
名剣カナヤーナをたばさんだエレコーゼその人だ……
ムアコックの数あるヒロイック・ファンタジイ・サーガの中でも、
自らの転生の記億をすべて持つ最も重要なヒーロー遂に登場!」

扉解説より。

「なんだ、コルムの第2部と同じパターンじゃないか」
そうあなどっていたのも僅かの間だった。
何しろ、エレコーゼを救世主として呼び出した人類は、極悪非道を絵に描いたような者達で、戦う相手側の方がモラル的には遙に正しい道を歩んでいるのです。
エレコーゼは悩みます、こんなことでいいのか。
しかし、エレコーゼは人類を率いて敵を殺戮してゆきます。
なぜかというと、王女様の関心を惹く為、「全ての敵を抹殺します」と約束したためなのです。
違うぜ、同じパターンでもコルムの第2部と違う、こちらの方が出来がいいんじゃないか。
そう思いました。
多少ディフォルメされているかもしれませんが、人類の戦争観なんてものはこんなものだと思ってしまう、私も又人類の一員なんですねえ。
そしてエレコーゼも又人類の一員だったことが最後まで読むことによって明白となるのです。

女性の関心を惹くために敵を皆殺しにしようとするぐらい、公私混同が著しい人に、
最終兵器が委ねられてしまったのが人類にとって命取りでしたね。
キXガイに波動砲だなあ。


書名 負けたらあかん!−野球人ブチの反撃−
著者 南淵時高
出版 星雲者(01/12/25)
分野 スポーツノンフィクション

マリーンズファンもしくは南淵ファンが読者のほとんどだろうから、文句つける人はあまりいないだろうから問題ないだろうけど。
この大きいというより巨大な活字で1500円という値段は、ファンじゃなきゃ怒るよ、きっと。
自分はオリオンズファンだし、南淵も好きな選手なので何の問題もありません。
おまけに社会人野球の東芝も好きなチームなのである。
(パワーペースボールというシミュレーションゲームの僕のチームには東芝の選手名からとった選手がかなりいる)

マリンスタジアムで引退セレモニーを開いてもらっていると知って安心する、幸せな気持ちにもなる。
トレードで他チームに出されたまま、それっきりというのは寂しすぎるからねえ。
なんか野球選手をやめた後の失敗談を中心に話せと言った人のアドバイスに忠実に執筆してあるようで、野球に関して詳細な記述がされているわけでないので、次ぎに本を出版される時はそこらへんに力を入れた本が読みたいものだ、それだけの経験がある選手であるし。
特に東芝時代のことが知りたい、この本にもちょっと触れられていた都市対抗の決勝は見ごたえのある素晴らしい試合だったもんなあ。
(そんなニーズはないだろうけど)。


書名 明日を越える旅
原題 JOURNEY BEYOND TOMORROW(1962)
著者 ロバート・シェクリイ
訳者 宇野利泰
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/04/30)
分野 SF

「今を去ること1000年ものむかし、21世紀のことであった。
ジョーンズという名の若者が、アメりカめざし旅立った−電力会社を支配する
アーサー理事長と≪円卓の男たち≫、刑務所にもぐりこもうと悪戦苦闘する
エドモン・ダンテス、ひもを片手に複雑怪奇な政府の建物をさまよい歩くテセウス……
多彩な登場人物にいろどられたジョーンズの驚異にみちた旅行記を収録した本書は、
21世紀という霧のかなたの遠い過去、その時代の風俗と文化を知る上て・最適といえるだろう……!?
遙かなる未来から眺めた21世紀のアメリカを、SFの名手シェクリイがおもしろおかしく描いた傑作長篇!

裏表紙解説より

風刺の対象となっているのはおそらく執筆された1960年代のアメリカなので、2002年に生きる私にとっては、正直なところ興味深い話ではなかった。
ダンテスにしろ、テセウスにしろ変な人だったとしか思えない。


書名 天使墜落
原題 FALLEN ANGELS(1991)
著者 ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル&マイクル・フリン
訳者 浅井修
出版 創元SF文庫(1997/06/27)
分野 SF

「地球と敵対する軌道上の宇宙ステーションから、宇宙船が墜落した。
飛行士の暗号名は〈天便〉。
究極の環境保護政策を掲げ、科学技術を憎悪する連邦政府に捕まりでもしたら一
大事だ。だが地球にも味方がいる一一宇宙ステーションが助けを求めた相手とは、
科学の信奉者と罵られ弾圧されながらも、性懲りなく地下活動を続けるSFファンたちだった!
巨匠たちが贈る、空前絶後のドタバタSF大作!」

裏表紙解説より。

著者たちの雑談中に生まれたヨタ話をそのまま小説にしてしまったんじゃないかといった感のある、冗談のような話ですし。
虐げられたSFファンが圧制を行う愚民共を出し抜くといった構図に反感やくすぐったさを感じる人もいると思う。
ですが、私はそういったことは脇に置いておいて、SFファン達の行動に共感を覚える。
SFファン達の言葉に自分の気持ちを再確認する。
なぜなら、私もSFファンの端くれだからだ。
もちろん、SFファンこそが優秀だと言うつもりもないし、著者たちもそのような意図は持っていないだろう。


書名 極微機械ボーア・メイカー
原題 THE BOHR MAKER(1995)
著者 リンダ・ナガタ
訳者 中原尚哉
出版 ハヤカワ文庫SF(1998/08/31)
分野 SF

「天才分子デザイナーでテロリストのポーアが作った違法な分子機械
ポーア・メイカーは、適応性人工知能をもち、宿主の肉体はもちろん、
他人の精神や肉体まで自由に改変できる。使い方しだいでは、
連邦の存在さえ危うくしかねない驚異の極微機械だ。
このボーア・メイカーが盗みだされ、偶然のことからスラム街の女性フォージタ
のものになるが……究極のナノテクがもたらす未来世界の驚異を描く、
ローカス賞処女長篇賞受賞作」

裏表紙解説より。

ナノマシンについて「充分に進んだ科学は魔法と変らない」という意味のクラークの言葉がよく引用される。
ナノマシンがどのような技術を背景に実現しているかにきちんと言及してあれば、
このような言葉はあてはまらないのだが、この小説については、やはり「充分に進んだ科学は魔法と変らない」といわざるを得ない。
ですが、冒険小説としては面白かった。
ナノマシンによって社会が変化ではなく変貌していたらもっと面白かっただろうと思うが、贅沢を言うのはやめようと思う。


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