2000年3月の読書感想


書名  ドリームマスター
著者  ロジャー・ゼラズニイ
出版  ハヤカワ文庫SF
分野  SF

せっかく図書館で借りて読んだのだから、もうちょっと注意深く読めばいいのに流し読み、おまけに途中で集中力がなくなって、どんな話かわからず、おかげでちっとも面白くなかった。もったいない

書名  外宇宙の女王
著者  A・バートラム・チャンドラー
出版  徳間書店
分野  SF

宇宙艦隊の一艦長が辺境の惑星で、帝国の支配を脱し自ら支配者となろうと試み、帝国の女王自ら反乱を鎮圧、反乱者達の処刑を実行中の場面より物語が始まる。
そして反乱の首謀者が、女王のヨットを奪い逃走、女王自ら軽巡洋艦を指揮して追跡を開始する。

読み始めの頃に舞台がリムワールド・シリーズと共通だとわかる。
それもあいまって、いつものチャンドラーのスペースオペラが楽しめるのではないかと期待が膨らんだのだが、結論としては駄作中の駄作だった。
とにかくストーリーがくだらない、一応主人公たちが窮地に追い込まれるものの都合が良すぎる話の展開でサスペンスがない、主人公を悩ませる女王の行動はバカそのものと、もうどうしようもなかった。
リムワールド・シリーズ以外の初めて読む長編という事で期待したのだが、がっかり。

書名  地球巡礼
著者  ロバート・シェクリイ
出版  ハヤカワ文庫SF
分野  SF

短編集 シェクリイが本領を発揮する分野だ。
強烈に印象に残る作品こそ無いが、それぞれ楽しませてくれた。

書名  「日本有事」って何だ
著者  兵頭 二十八
出版  PHP
分野  雑学

『たんたんたたた』以来、この作者の本は、たとえ、あぶなそうな内容でもつい買ってしまう。
国防関係の作者の意見は面白いのだが、それが正しいのかどうか、私自身の判断基準がないので、私にはさっぱりわからない。
疑問に思ったことがひとつ、太平洋戦争が発生しなかったとしたら、昭和23年頃には現実よりさらに悲惨な飢餓が待っていた、とする所なのだが。
戦争で国内が。がたがたになり一億弱の人口中280万人が死亡した現実より、国内が荒廃せず、一億弱の人口がそのまま残った状態の方が悲惨な状態に なるとは、私には、考えにくい。一億弱の人口中280万人が減ったからといって、それがどれだけの口減らしになったと言うのか。

書名  怒りの神
著者  フィリップ・K・ディック & ロジャー・ゼラズニイ
出版  サンリオ
分野  SF

面白くともなんともなかった。
ミュータント化した生物など興味をそそる所はあったのだが、それにしても、退屈で読むのが苦痛だった。
そもそも作者達は何を訴えたかったのだろう。
ウォルター・M・ミラー・ジュニアの『黙示録三千百七十四年』に舞台 設定は似ているが、そもそも『黙示録三千百七十四年』にしてからが、何が名作なのか理解できないでいる。
(2001/01追記、悪口書いてすいません、本当はじっくり読まなかった自分が悪いんです)

書名  影よ、影よ、影の国
著者  シオドア・スタージョン
出版  朝日ソノラマ文庫
分野  SF

これはなかなか面白かった、「嫉妬深い幽霊」が印象に残る。

書名  宇宙播種計画
著者  ジェイムズ・ブリッシュ
出版  早川SFシリーズ
分野  SF

4編の短編を集めた連作短編集
この作品がなぜSF史に残る名作になっていないか、不思議なほどの傑作だった。
連作短編集中のテーマは表題の通り、宇宙播種計画、
その方法は、テラ・フォーミングして惑星を居住に適するものにするのではなく、人間自体を変える事によって行われる。
ただ、その方法は改造といった言葉が、ふさわしくないほど、徹底していて、文字通り、人間を変える事によって行われるます。
遺伝子工学が進歩してきた現代になって、ますますリアリティを感じられる作品になってきている気がします。

第1作では人間が宇宙に進出してゆく、きっかけとなる事件が描かれます。
このあたり、”オーキー”シリーズ中の『宇宙零年』と印象が重なって 同じ作者の本だなあといった印象を受けます。
第2作は宇宙播種計画中の一惑星でのエピソードです。
小人化した人々の物語は、オールディスの『地球の長い午後』を連想させます。
第3作では水棲人類の物語、SFマガジンで2度に渡り掲載されるほどの傑作です。
第4作でエピローグを迎えます。短い話ですが、連作短編中の結末を 飾るにふさわしい作品となっています。

書名 きみの血を
著者 シオドア・スタージョン
出版 早川書房
分野 その他

最初は裏表紙の説明を読んで、吸血鬼物だと思って読み始めた、そしてなぜこういった題材がファンタジーやSFに分類されないのか不思議に思いながら、読み終わった結果、ファンタジーやSFではない事がわかった、心の病を扱った、ちょっと変わった話だった。

書名 一角獣・多角獣
著者 シオドア・スタージョン
出版 早川書房
分野 SF

『影よ、影よ、影の国』より、少しおちるような気がする。
(2001/01追記、なんだか随分そっけない感想ですが、 面白かったですよ、『影よ、影よ、影の国』の方が良かったというだけの事です。)

書名 千億の世界
編者 福島正実
出版 講談社文庫
分野 SF

「宇宙翔けるもの」 イワン・エフレーモフ
「最初の接触」 マレィ・ラインスター
「宇宙の漂泊者」 アレキサンドル・コルパコフ
「創世紀」 H・ビーム・パイパー
「黒い破壊者」 A・E・ヴァン・ヴォクト
「逃亡者」クリフォード・D・シマック
の6編を収録、「最初の接触」と「黒い破壊者」「逃亡者」は既に読んでいたので、残り3編を読んだ、3編とも昔読んだ福島正実の『SFの世界』に紹介されていたので、初読にもかかわらず、なつかしささえ、覚えた
「宇宙翔けるもの」はファースト・コンタクト物、「最初の接触」と 読み比べると興味深い。
「宇宙の漂泊者」は浦島効果で世代のずれを生じた宇宙飛行士達が集う永遠市より話が始まる、そうか、こういう話だったんですね、
「宇宙の漂泊者」は惑星間移民船が到着寸前に事故を発生し、生き残ったわずかな人が、惑星に不時着してサバイバルを始める、ラストにはやられました、どこかで読んだようなオチですが、たぶんこの話の方がオリジナルですからね。

書名 デリラと宇宙野郎たち
著者 ロバート・A・ハインライン
出版 ハヤカワ文庫SF
分野 SF

創元SF文庫の『月を売った男』が概読だったので、それと重複しない2編のみ読んだ、いちばんおいしい「月を売った男」を除いてしまえば、残った作品はさほど面白い印象を受けなかった。

書名 ミクロ・パーク
著者 ジェイムズ・P・ホーガン
出版 創元SF文庫
分野 SF

『内なる宇宙』以来久々のホーガンだった。大がつくぐらい好きな作家なのに、こんなに間が空いてしまったのは美味しい物は最後に食べる心理と同じなのだが、それにしても、随分未読の本がたまってしまった。

人間が数センチの機械を自分の手足の代わりに直接操作する(この直接操作と言うのは、自動車などを運転すると言う意味でなく、人間の意識通りに文字通り手足の代わりに動かすのです)主人公の少年がマイクロ・マシンを使って遊ぶ事によってマイクロ・マシンの事を読者に説明してゆく、この部分が本書で一番面白かった。
ひょんな事で自分の父親に対する陰謀を知ってしまい。
それに対抗する物語部分もハラハラしながら楽しめる。

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