2000年1月の読書感想


書名 サンドキングズ
著者 ジョージ・R・R・マーティン
出版 ハヤカワ文庫SF
分野 SF

短編集 再読
「龍と十字架の道」
ユダって何者なの?といった程度の知識量の自分にはこの話の良さがわからない。
これでラストが別の方に転がっていったなら、異教徒の自分にも、オー スゲーといった感想が得られたのだろうが。
この終わりかたなら、フーン ソウナンデスカで終わってしまう。
これでもキリスト教徒には十分ショッキングな話なんだろうけれども。
その他の収録作名
「ビターブルーム」
どこかで読んだ様な童話をSFに置き換えた様な話???
「蛆の館にて」
「ファスト・フレンド」
「ストーン・シティ」
「スターレディ」
「サンドキングズ」
この話を読むだけでもこの本を読む価値があると思う。

書名 窒素固定世界
著者 ハル・クレメント
出版 創元推理文庫
分野 SF

あらすじ
何かが原因で窒素が酸化窒素となり大気中に酸素が無くなった未来の地球 現在の生物種のうち、人類だけが、酸素生成植物と、窒素生成植物を 育てることにより生き残っていた。

感想
現在の大気成分における常識にとらわれた自分の思考に対して、 酸素が大気中にない、もしくは人工的に作られた酸素濃度の高い、 状態の物質のふるまいが、とても面白く感じられた。
大気中に酸素がないとわかっていても、読んでいるときについつい忘れてしまっていて、あっ、そうだ、酸素がなかったんだと、気づかされる事がしばしばで、そこの所がよかったです。(私の読み方が注意深くないだけですが)
なぜこのような世界になったのか、これからどうなるのかについて、この本ではあまり詳しくふれられていないが、もっとページを増やして 書き込んだとしても、間延びした感じにならないであろうほどの、 素晴らしいアイデア小説だ。

書名  パッチワーク・ガール
著者  ラリー・ニーヴン
出版  創元推理文庫
分野  SF

あらすじ
月で殺人未遂事件が起こった。レーザーで狙撃されたらしいのだが、その頃狙撃可能な位置に外出していたのは唯一人主人公ギルのかつての知り合いだった。

感想
不完全な死体の主人公ギルが再び登場する、ミステリSF。
この世界における臓器バンク制度を糾弾する、ジグソーマン系列の小説かと、勝手に想像していたのだが、なぞ解きがメインの話だった。
面白いのだが、やはりニーヴンはノウンスペース物の短編SFが良いと思った。

書名  星は人類のもの連盟
著者  ジョン・ブラナー
出版  創元推理文庫
分野  SF

あらすじ
中間管理職の主人公は突然地球を訪問する宇宙人を迎える事を命じられた。
感想
短編を含めて、ジョン・ブラナーを読むのはこれが初めて。
中間管理職の悲哀をSFでやる話と思っていると、この主人公、優れた仕事の手腕を発揮して問題を解決してゆく。
痛快な娯楽SFなはずなのだが、読んでいていまひとつ壮快感がない。
読まずとも良いタイプのSFだった。

書名  宇宙のウィリーズ
著者  エリック・フランク・ラッセル
出版  創元推理文庫
分野  SF

中編「宇宙のウィリーズ」と6つの短編よりなる「遥かなる六つの星」からなる。
これはダメだ。宇宙のウィリーズの印象が悪すぎて、「遥かなる六つの星」まで楽しめなかった。
宇宙のウィリーズが駄目な理由を一言で表すなら、ご都合主義が過ぎる。ということ。

書名  魔法の国よ永遠なれ
著者  ラリー・ニーヴン他
出版  創元推理文庫
分野  SF

短編集
前2作と比べると、多少面白さに欠ける。
この世界の物語を読むのに、慣れてしまったためだろうか。

書名  ジャガー・ハンター
著者  ルーシャス・シェパード
出版  新潮文庫
分野  SF

短編集
収録作のうち「龍のグリオニールに絵を書いた男」と「ジャガー・ハンター」は前に読んだ事があるので今回はパス。
前々から読みたかった本だったんだけれども、読んでいる内に集中力が散漫になって、どんな話なのか途中でわからなくなった。
がんばって全部読んだが字を追っていっただけといった状態になって、感想すら書けない。
この作家の本は以前にも『戦時生活』で同じような状態になって途中で ほうり出した事がある。自分には向いていないのかもしれない。

書名  観察者の鏡
著者  エドガー・パングボーン
出版  早川SFシリーズ
分野  SF

ブライアン・オールディスの「一兆年の宴」において、クリフォード・D・シマック、ゼナ・ヘンダースン、H・ビーム・パイパー、そしてエドガー・パングボーンが一つの一派として紹介されていた。
クリフォード・D・シマックは私にとり大事な作家の一人であり、 ゼナ・ヘンダースンのピープル・シリーズも好きだ。
残った2人も ずっと読みたかったのだが、パイバーは最近図書館で読む機会を得て、残った最後の一人、パングボーンの「観察者の鏡」もやっと読むことができた、
自分好みの話だとは、想像できていたし、現にそうだった。
クライマックス前までの、ほのぼの路線で登場人物に感情移入できていた所にクライマックスで大惨事が発生してしまい、この時の自分の心の動きは、ネタバレになるので書けないのだが、しみじみした余韻を残して読み終わった。
気に入った一冊になったのだが、なぜか読み終わるまで10日以上かかっている、つまらなかったわけでもなし、他の本を読んでいたわけでもない、『ジャガー・ハンター』も読みづらかった事を考えると読書する精神状態になかったのだろう。

書名  ありえざる宇宙
著者  ブライアン・オールディス
出版  創元推理文庫
分野  SF

短編集
注意力が散漫で、どんな話だかわからなくなるのは、『ジャガー・ハンター』の時と同じ、こんな状態では無理して本を読んでも、仕方が無い。

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