1999年10月の読書感想


書名 太平洋戦争米海軍作戦史3
著者 モリスン
出版 改造社
分野 軍事

印象に残った事
珊瑚海海戦におけるレキシントンの沈没による36機を除く33機の損害は全て海戦2日目における損害である。
海戦1日目の損害は別に存在する。それだけ確認できた。

書名 修羅の戦野 4
著者  横山信義
出社  中央公論新社
分野 仮想戦記

2、3巻の感想で、登場人物が勝手に動き出したとよくいうではないか、この本の登場人物にはそれが無いのではないか。と書いたが。
この本の著者後書きで、パットンが勝手に動き出したと書いていて、びっくりした。登場人物はやっぱりロボットっぽいのはなぜだ?。
登場人物に感情移入できないから、登場人物の生死を心配することが全く無いのだ。
実在の人物でさえそうなのだ。
なぜ自分がこの人の小説を読むかと、考えると、作戦の推移を読むのが面白いからだと思う。

書名 奴隷狩りの惑星
著者 A・バートラム・チャンドラー
出版 ハヤカワ文庫SF
分野 SF

リムワールドシリーズの6冊目、長い間この巻を放り出していたため、 このシリーズを読むのも、多分7年ぐらいぶり。
でもいざ読み出したらすらすら読めた。
最初に読んだ連絡宇宙艦発進せよから数えると15年ぐらい経過しているため多分以前登場していた人物もどんな役割の人だかすっかり忘れてしまっている。
その代わりお楽しみは後9冊も残っている。
それにしてもクライムズってこんなに助平な人だったっけ?。
お話は、事故にあった宇宙船が不時着して、その乗員が築いた文明を発見、その惑星の人々を奴隷として連れ去ろうとする小輸送会社の宇宙船と、その惑星を観光地化したい中輸送会社の宇宙船、それにその2隻が不法行為を働かないか、監視すべくグライムズの宇宙船が惑星に向かう。
その惑星の住人はネコの卵子から生まれたもののため、人類ではないとして奴隷狩りが正当なものとなりかかるが、というもの。

書名 ローマ人の物語IV (ユリウス・カエサル ルビコン以前)
著者 塩野七生
出版 新潮社 分野 歴史

この人の書いた文章で歴史について多くのことを知って来た。
裏を返せば自分がいかに、SF関係、太平洋戦争航空戦関係以外で無知かということである。
この人の書いた本も結構文庫本になっているので。これをできるだけ読んでみようかと思う。

書名 星ぼしのフロンティアへ
出版 早川書房

SFマガジン別冊。
超機甲戦士・野谷(ナノボーグヒーロー・ノタニ) 岡本賢一は 変身ヒーロ、ドタバタもの。変身ヒーロものであるがゆえに、日本人以外には、なかなか、かけないだろう。
太陽の簒奪者 野尻抱介は、こんな話を読みたいがためにSFを読んでいるんだ、と意を強くさせてくれるような作品。
太陽の回りのリング状構造物の話であるがゆえに、リングワールドを連想するが。ナノテクノロジーが使われている分だけ、なにか太陽の簒奪者の構造物の方がちゃちな印象があった。
特に印象に残ったのは上記の2作品だが、読まなかった高千穂遙の作品以外はみな面白かった。
(2000年12月追記、高千穂遙のを読まなかったのは長編の一部の先行掲載のためだったと記憶している。)

書名 SFスナイパー
出版 ミリオン出版
分野 SF

同人誌掲載作品を集めて出版された本。
こういった本も出版される様になるといいんだけど。
岡本賢一のロボットの話が一番印象に残る。メンテナンスできなくなったロボットはだんだん動けなくなる話。
同じ日に高河ゆんのマンガで「ロボットと人間が恋愛関係になり、長寿のロボットだけ生きてゆかなければならなくなった」話を読んだだけによけいに強く印象に残る。
メンテナンスなしで数十年生きてゆける人間の体に感謝したくなる。

書名 ローマ人の物語V(ユリウス・カエサル ルビコン以降)
著者 塩野七生
出版 新潮社
分野 歴史

この本を読んでカエサルと言う人が好きになった。
本来ローマ帝国や、ローマ人は嫌いだったのだが・・・。
志なかばで暗殺された人だと思っていたのだが、彼は自分が実行したいと思っていた事を全てやり遂げて歴史の舞台から去っていったんだと思った。

書名 クロノス・ジョウンターの伝説
著者 梶尾真治
出版 ソノラマ文庫NEXT
分野 SF

若い頃に読んでいたら、とても大事な本になっていたと思う。
失敗したのはまたしても解説を先に読んでしまった事。
第3話の裏ストーリーが書いてあるのを見てしまったため。
第2話と第3話のオチが予想ついてしまい、感動半減してしまった。
もう解説を先に読む悪いくせはやめよう。
3人の主人公のうち最も好感がもてたのは、第1話の主人公、
自分にもこの様な行動がとれるか、考えこんでしまった。
(結論、肉親のためならとれますね)。
好感をもてたのは第1話の主人公でも、うるうるしてしまったのは、第3話だった。
だから、一番よかったのは第3話となるかもしれない。
第3話で重要な小道具になっている「タンポポ娘」は、時間に関する恋の話として、クロノス・ジョウンターの伝説と良く似た話なのだが、自分が「タンポポ娘」を読んだ時の驚きは、クロノス・ジョウンターの伝説ではもう得られなかった。
これは長年SFを読んできて、この様な話になれてきているのが大きな理由だと思う、今「タンポポ娘」を初読したとしても、いい話だった。
で終わってしまうだろう事がさみしく感じると共に、「タンポポ娘」を読んで得られた感動が恋愛物語を読んで得られた感動だけでなく。
「センス・オブ・ワンダー」を感じての感動だったんだなあと思った。

書名 躁宇宙・箱宇宙
著者 梶尾真治
出版 徳間文庫 分野 SF

クロノス・ジョウンターの伝説が面白かったので勢いでこれも読んだ。
この短編集は梶尾真治が得意とする時間に関する恋愛物から下ネタが入ったコメディまでいろいろなタイプの小説が収録され、みな楽しめた。
現在印象に残っているのは。時間に関する恋愛物、夫婦仲がうまくいかなくなっている主人公が過去にタイムスリップ、体も若返ってしまった話。

書名 リメイク
著者 コニー・ウイリス
出版 ハヤカワ文庫SF
分野 SF

自分はコニー・ウイリスが好きだ。「見張り」や『ドゥームズ・ディ・ブック』「クリアリー家からの手紙」などみな忘れがたい。
でもこの小説はつまらなかった。映画ファンが読んだら楽しいのかもしれないけれど。

書名 ディファレンス・エンジン 上、下
著者 ブルース・スターリング & ウィリアム・ギブスン
出版 角川文庫
分社 SF

上巻の途中でこの話は最後までつまらないだろうなとわかってしまったのだが、長年探していて、やっとみつかったのに、途中で放り出すのもなんだかなと思ったので、がんばって最後まで読んだ。
それに、最後まで読めばつまらなかった小説として、自分の中で整理がつくし。
とにかく実際の歴史とどこが違うか、わからなければ、ただの普通小説と同じです。
それともこの小説の面白さを読み取れていないだけなのだろうか。 それともなにか根本的に読解力がないのか?。
(2000年12月追記、どうもこの話はコンピューターがどうのこうのといった話らしい、全然気づかなかった)。

書名 夏の災厄
書名 篠田節子
出版 文春文庫
分野 その他

リメイクとかディファレンス・エンジンとかつまらないと感じた小説をむりやり読んだ直後のせいか、意外と面白かった。
でも何かものたりない。
これが半分のページ数だと気楽に読めるんだけど。
それとカタツムリが気色悪かった。

書名 デューン砂の惑星3
著者 フランク・ハーバート
出版 ハヤカワ文庫SF
分野 SF

砂の惑星を緑の惑星にするためにフリーメンが備蓄し続けて来た地下の水の描写には圧倒される。

書名 クレギオン2 フェイダーリンクの鯨
著者 野尻抱介
出版 富士見ファンタジア文庫
分野 YA

途中で読むのを中断したためどんな設定だったかおぼろげになってしまったがオールト雲内に住む人々が追い出されない様にするために、主人公たちの乗るスペースシャトルをガス・ジャイアント内に住む生物に偽装させ、生物保護の観点からガス・ジャイアントの再開発を中止させよう とする。
特に感想なし。

書名 地球軍独立戦闘隊
著者 山田正紀
出版 集英社文庫
分野 SF

表題作は豊田穣の影響を感じる、面白いとは言えなかったけれども。
一番印象に残ったのは「かまどの火」山田正紀のライフテーマとも言える神についての話。
仏教物理学とか宇宙の解脱とかいろいろ面白い話が出てくる。
「霧の国」は精神生命とコナン・ドイルと切り裂きジャックを絡めた話、シャーロック・ホームズを絡めた話は「星ぼしのフロンティアへ」のバーサーカー物で読んだばかり、今回はホームズではなく、ドイルとチャレンジャー教授物の絡みだが、さすがドイルと思ってしまう。
「恋のメッセンジャー」は人間に花粉を運ばせる花の話。
でもこの話オチとしては面白いけど、この植物の命運も尽きてしまうのでは?。
全体的に楽しめる作品集だった。

書名 ドイツ空軍全機発進せよ
著者 ジョン・キレン
出版 ハヤカワ文庫
分野 軍事

細かい文字で500ページにも及ぶ文章量なので、読むのに時間がかかった。
しかしドイツ空軍史を記述するにはこの量では圧倒的にページ数が足りない。
特に東部戦線、地中海戦線、スカンジナビア戦線などの記述がおざなりになっている。
これ以上の情報を求めるにはもっと扱う範囲の狭い書物を読めということ。

書名 機械の耳
著者 小松由加子
出版 コバルト文庫
分野 YA

作者が後書きで童話が好きだと書いている様にこれは童話ですね。
普段殺伐としたものばかり読んでいる自分にとってほのぼのした 気分になれてとても良かったです。
機械の耳とかえるの皮の2作が収録されています。
機械の耳に関してはこの後どうなったの?という気持ちにさせられますが、名残惜しいような所で終わる、この終わりかたは秀逸ですね。
次回作が多分出ているだろうと思って探してみたら、『図書館戦隊ピブリオン』...題名からみると、自分の読書範囲から完全に逸脱している。
買おうかどうかどうしましょう。

書名 カエアンの聖衣
著者 バリントン・ベイリー
出版 ハヤカワ文庫SF
分野 SF

この本、以前3回に渡って途中まで読んで、なぜか途中で放り出していた。
しかもつまらなくて放り出したのではなく、面白そうという感触をもちつつ読むのを中断していた。(それが証拠に3回もリトライした。)
多分読む気分になっていなかったんでしょうね。
実際読んでみた感想は。
正統派?のファースト・コンタクト物ではないですか。
めでたしめでたしで終わっても、少しの不安感を残してのラストがGOOD、すばらしい。

書名 不思議な猫たち
編者 ジャック・ダン&ガードナー・ドゾア 出版 扶桑社ミステリー 分野 SF

魔法の猫に続くネコアンソロジー第2弾
全体として面白かったし、気になっていたジャガー・ハンターも読めたし。
言うこと無し。
次回は犬アンソロジーだそうだが、願わくばこの本も次回作も売れて、シリーズがもっと続きますように。

書名 デューン砂の惑星4
著者 フランク・ハーバート
出版 ハヤカワ文庫SF 分野 SF

この巻で一応の大団円を迎える。続刊がなければこれでめでたし、めでたしという感想をいだきそうだが、まだまだ続きがある。
読んでみて思ったのは巻末の注釈を参照しながら読むのが結構苦痛だったこと。
面倒になって途中から注釈を見ずに読み進んでしまった。
次回作からは、巻末の注釈を前もって読んでから読むことにしましょうか。
こんな読み方邪道なんだろうけど。

書名 ブルー・ホール1〜2
書名 ブルー・ワールド1〜4
書名 未来の2つの顔1〜2
書名 イワン・デ・ジャビュの一日
著者 星野宣之
分野 SF

大型書店でも見かけなくなって久しい星野さんの作品群、出版社もわからないしさあどうしようと思っていたんだけれど。
3年位前星野さんの作品がたくさん置いてあった書店(春日井の青木書店)に行ってみるかと、重い腰をあげてみた。
さすがにもう無いだろう、もう3年前の話だもんなあと観念しつつ行ってみたならば、星野さんの作品があるわあるわ、上記の9冊以外にも2001夜物語、サーベルタイガー、宗像教授シリーズ、ヤマタイカ、スターダストメモリーズなどなど。
どうなっているの、この店は?。
この店なら持っていないことが判明しているイティハーサ10、11巻 もあるかなと探してみたが、影も形も無し、残念。
宗像教授シリーズ3巻以降やヤマタイカ単行本で3、5巻も持っていないんだけれど、今回買った9冊で約7000円、資金難で挫折しました。
でも買っとけばよかったかな?遠い本屋だったし。
さっそく読んでみたならば、凄いよ星野さん。
ああ、でももったいない。
このすばらしい作品群をわすか数時間で一気読みしてしまった。
一番素晴らしかったのは、ブルーワールド。恐竜世界のサバイバルストーリー、何といっても生きている恐竜たちがビジュアルに迫ってくる。
主人公もかっこいい。ブルーホールの続き物だけどブルーワールドを読むとブルーホールが霞んでしまう。
イワン・デ・ジャビュの一日は読んだことがないのが後半の2作品のみでちょっと損した感じがする。
未来の2つの顔はホーガンの原作をかなり忘れていた分余計にたのしめた。
あんな地味な作品をよくマンガ化するものよ、と読むまでは思っていたが、相当派手なドンパチ物になっていた。

書名 恋人たち
著者 フィリップ・ホセ・ファーマー
出版 ハヤカワ文庫SF 分野 SF

ファーマーは好きな作家である。恋人たちの場合あらすじが作品紹介などで分かっているため、本来読むのをためらう所だが(実際ためらっていたため、今まで読み残していた)
やはり好きな作家の作品を、いつまでも読まずに放っておくわけには いかない。
でも、あらすじがわかっていなければ、もっと楽しめたろうにな、というのが正直なところ。
結構面白かったです。

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