2004年3月の読書感想


書名 マインドスター・ライジング
著者 ピーター・F.ハミルトン
訳者 竹川 典子
出版 創元SF文庫(2004/02/)
分野 SF

地球温暖化の結果、極地の氷が溶け、地形が変わってしまったイギリスが舞台となっている。
このこと自体は別に温暖化してなくとも一向に構わないぐらい、
ストーリーには関係していないのだが、そのぶん、水位の上がったイギリスの様子が
構えるでもなく、さらりと描写されてゆくところが良いと思う。
しかしなー、読んでいると、企業間謀略小説を読んでる気分で、SFを読んでいるって気に全然なってこないことには難があると思う。
リアリティがなくとも、『コーポレート・ウォーズ』のように
放射能を撒き散らしながら原子力自動車を運転してくれる方が好きだな。

ともあれ、こうして新たなSFが読めることには感謝です。

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書名 地球間ハイウェイ
著者 ロバート リード
訳者 伊藤 典夫
出版 ハヤカワ文庫SF(2004/02/)
分野 SF

目新しいSFが読めて良かったなという以外特に感想がない。
舞台は魅力的だが、役者は大根というべきか。

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書名 超・空の要塞:B−29
著者 カーチス・E・ルメイ、ビル・イェーン
出版 ソノラマ新戦史シリーズ(1991/04/)
分野 軍事

B-29についての戦記です。
アメリカ側の事情は(自分が)なかなか判っていなかったりするので。
色々と興味深いところもあったりする。
余談になるが、戦後政府がルメイに勲章をくれてやった件については怒りを感じる。
この感情は理屈じゃないから、正当な理由があっても関係ないのだ。


書名 若草野球部狂想曲EX―アンサンブル
著者 一色銀河
出版 電撃文庫(2002/01/)
分野 小説

EXは脇役を主人公とした短編集です。
番外編とはいえ、これがあってようやく、このシリーズも完成したと言えるのではないでしょうか。
ぬるめの野球小説でしたが、今はこのぬるさが良いと感じる。

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書名 ドイツ空軍地上攻撃飛行隊
著者 ジョン ウイール
訳者 阿部 孝一郎
出版 大日本絵画(2004/02/)
分野 軍事

ドイツ空軍の地上襲撃機部隊についてコンパクトな一冊に一冊に纏められています。
類書が今までに翻訳がなかったために非常に有難い本です。
コンパクトに纏められているとはいっても地上襲撃機部隊全般を網羅しているので
読んでいてこんがらがってくる。

毎月刊行されてきたオスプレイの航空戦記ものの出版も今後隔月になるということで残念でならない。
売れ行きが悪かったのだろうか。

書名 地獄の海 ―レイテ多号作戦の悲劇−
著者 岸見 勇美
出版 光人社(2004/02/)
分野 軍事

米軍が上陸して来たレイテ島への増援作戦についての本です。
レイテ島に関わって亡くなられた方々には申し訳ないとは思いますが。
これでは無駄死にだと、そう思えて仕方がない。
増援に失敗しても死、成功しても最後に待つのは玉砕というこの作戦については。
虚しさばかりがつのるばかりで、作戦立案者達にはなぜ、もうちょっと正常な判断力を持てなかったのかと、問うてみたい気分です。

読んでいて非常に強く印象に残ったエピソードが一つあります。
第八次の輸送作戦において、輸送艦2隻が米軍が上陸している最中のオルモック湾に部隊を上陸させるために進入します。
護衛の駆逐艦は敵艦と交戦し一時湾外に出ますが、敵艦撃退後輸送艦の収容のため再び湾内に向かいます。
敵征圧下の湾内です、収容に向かっても、無駄足になるんだろうな、そう漠然と読む私は思っていました。
しかし、駆逐艦は発見するのです、湾外に脱出しようと低速で航行中の1隻の輸送艦を。
”早く、早く!、早く逃げて”そう思うばかりです、無事脱出に成功した時は胸をなでおろす気持ちでした。

私は『レイテ戦記』など、この輸送作戦に触れた他の本もいくつか読んだことがあります。
その割に輸送艦が脱出できたことを知らなかったのは、読む時の注意力不足や、記憶力不足が一番大きな原因ですが、この『地獄の海』が船に乗って実際にその場にいた者の視点ら描写している割合が多いため特に印象が鮮烈だったこともあると思います。

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